2019年3月4日月曜日

へレスのフェスティバル10日目 ホセ・マルドナード『ボデゴン』

フェスティバルも半分を過ぎ、残り後1週間。

19時からのサラ・パウルでの公演はホセ・マルドナード『ボデゴン』
ボデゴンとは静物画の事。踊りだけでなく、絵も描くホセらしいタイトル。

一昨年、マヌエル・リニャン『レベルシブレ』で強い印象を残した彼は、昨年『フラメンコナウタ』で帽子を使ったソロンゴで魅了した。
実は2012年振り付けコンクールで入賞し、翌年には自分のカンパニー公演も行っていたという。さらにこの作品も2016年にゲストにカルメン・アングーロとアントニオ・カナーレスを迎え行っていたのだという。それがカルメン・コイとハビエル・ラトーレに変わった。

いやあ、なんとも趣味のいい佳作小品。
こないだのアナ・モラーレスもそうだけど、語りたいことがあって、それを語れるだけの言葉/技術を持っている人は最強。
見終わった後の心地よさと言ったらない。


多分、ボッケリーニのファンダンゴ。
クラシック曲だけどフラメンコに響く、ビクトル・グアディアナのバイオリンの調べで裸足で踊る。形が綺麗だ。
きちんとしたスペイン舞踊の基礎が感じられ里う。感じられ里う。
やがて舞台奥の黒い幕を剥ぎ取ると白い大きなキャンバスが現れる。
ハビエル・ラトーレが現れ、踊りの心得を話し始める。
キャンバスに躊躇なく、描き始めるホセ。
その線の勢い。下書きも何もなくても彼にはすでに全てが見えているようだ。

絵筆を持って踊る。今度は靴を履いて、サパトでのスペイン舞踊。

© Javier Fergo / Festival de Jerez

暗闇の中、現れるのはミューズ。カルメン・コイ。
内側に電気が仕込まれ、そこだけ見える、という美しい仕掛け。
絵の構図で切り取っていくように、額縁に縁取られ、そこだけがアップで見える感じ。
美しい。

© Javier Fergo / Festival de Jerez
 カルメンは元スペイン国立バレエ団だけに、とにかく動きが美しい。そして同時にセクシーだ。
カスタネットでのシギリージャ。
コンテンポラリーの中でクラシックバレエの素養のある人たちが踊るものをネオ・クラシコとスペインで言っているのだけど、これは純フラメンコと言うより、ネオ・クラシコ・フラメンコとでも呼びたくなる。
ホセは絵に影を加えていく。
© Javier Fergo / Festival de Jerez
カルメンはバロックスカートの下に履くようなパニエをつけ
赤い絵筆を持ったホセとのデュオ。カルメンの体にも描いていく。

© Javier Fergo / Festival de Jerez
 ホセのソロはソレア。con mucho coraje、憤りのような強い感情が伝わってくる。

© Javier Fergo / Festival de Jerez
 そしてハビエルのタラント。優雅さは健在。重み、深み。涙が出るようなタラント。
© Javier Fergo / Festival de Jerez
最後は3人で同じパソを。
導く者も導かれる者も皆同じ。

ビデオはこちら

それにしても今年のへレスはクリスティアン・ロサーノ、ヘスース・カルモナ、アナ・モラーレス、そしてこのホセと、バルセロナ出身者の活躍が目立ちますね。
アナの共演者のフアン・マヌエル・アルバレスもそうだし。

21時からのビジャマルタはマルコ・フローレスでした。
コンテンポラリー系スペイン舞踊のダンサー、サラ・カーノと組んで。
コンテンポラリーぽい動きで見せるときこそ音楽が大切と痛感。

© Javier Fergo / Festival de Jerez

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