2018年3月8日木曜日

アントニア・ラ・ネグラ逝く

アントニア・ラ・ネグラが亡くなった。
82歳。
トリアーナのフラメンコの象徴的存在だった一人。
ずいぶん前から会っていなかったが、突然の訃報はやはりショックだ。

1936年、トリアーナ出身の父とヘレス出身の母が働きに行ったアルジェリアのオラン生まれ。その後モロッコのタンジェルで少女時代を過ごしたため、アラブ語に堪能。
12歳でトリアーナへ。16歳で踊り手フアン・モントージャと結婚。
1972年、夫フアン、その妹で歌い手のカルメン・モントージャ、その娘カルメリージャらとファミリア・モントージャを結成。レコード「トリアーナ」(1976)、「エン・ファミリア」(1978)録音やフェスティバルなどの舞台で活躍した。
一糸乱れず進む完全無欠なコンパス。

動画うまく貼れなかったのでリンクでみてください



1983年にはグラナダで、モロッコのミュージシャンとフラメンコ・アルティスタの競演、「マカマ・ホンダ」にも出演している。
ビデオですが、レコードの声だけです。


個人的には88年にセビージャで上演された「カスタ」という作品での彼女が忘れられない。フェルナンダやマリア・ソレア、マリア・ラ・ブーラ、ランカピーノらが出演していた伝説的な作品。
幕あきに無伴奏で、歌いだす、その声の力強さ。夜明けを告げるような、あの熱い声。

「カスタ」左からマリア、ソレア、ラ・ネグラ、フェルナンダ、ラ・トレア
©Kyoko Shikaze


ローレ・イ・マヌエルのローレ・モントージャは娘。娘がアラブ語で歌ったりするのは明らかに母の影響だろう。他の娘たち、アンヘリータやアンディーナらも歌う。
ローレの娘アルバ・モリーナも歌手だ。
今頃、数年前に亡くなったフアンと会っているのかな、とか思いつつ、
また子供達や孫達を通して、彼女がともした灯火が消えるわけではない、と思いながらも、トリアーナのフラメンコが寂しくなる、と実感している。
安らかに。



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