2016年10月1日土曜日

パトリシア・ゲレーロ「カテドラル」

パトリシア・ゲレーロの新作「カテドラル」はロペ・デ・ベガ劇場で。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero.
幕があくと暗い舞台に、黒装束にペイネータとマンティージャをつけたパトリシアが座っている。鐘の音のようなパーカッションで、カウンターテナーとテナーによる聖歌(?)で踊るパトリシア。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero.

中世風の衣装をつけた3人の女性がいきかう。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero.

ホセ・アニージョが歌うブレリア・ロマンセアーダ、ロマンセ。パトリシアと元国立バレエのモニカ・イグレシアスのデュオ。3人の踊り。シギリージャ。黒い衣装の前をはだけ、ベージュのスリップというかネグリジェというか、の衣装になった女性3人のタンゴ…。カウンターテナーとテナーの歌や台詞で踊る。最後は黒い服を脱ぎ捨て赤い衣装で。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero.


雰囲気はロルカの作品「ベルナルダ・アルバの家」そのもの。黒い衣装で抑圧されている女たちの内なる叫び。欲望。自由への希求。
実際プログラムでも、自由についての考え、だとか、女性の自由について、などとかかれているので、伝えたいことは伝わったといえるのだろう。

パトリシアは若手の筆頭ともいうべき踊り手で、その技術のすばらしさはこの作品からでもわかるし、群舞の3人の女性も技術はしっかりしている。パトリシアの振り付けは、エバ・ジェルバブエナやルベン・オルモの影響もあるのだろうか、ちょっとコンテンポラリー風。セビージャの演劇界ではちょっと知られた演出家がついていることもあり、最初から最後まで作品としてのはたんはない。緊張感を継続して作品は進む。テナーたちのおごそかさ。スルバランの絵から抜け出たような衣装。雰囲気づくりは成功しているのだろう。



だが、パトリシアの魅力を最大限にいかす作品ではない。
抑圧から解放されて、次作では自由にはばたく彼女がみたい。

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