2016年10月27日木曜日

GOEMON 新橋演舞場

話題のGOEMON見てきました。面白かったよ〜。

とーってもお金のかかった大衆演劇という、ある意味歌舞伎のルーツ的作品。
伝統的な演目とは違ってセリフも歌詞も全部聞き取れるし、内容はわかりやすすぎるほどわかりやすく、色彩は派手で美しく、演出はもちろん、装置や照明もすごく工夫されていて、飽きさせない。花道だけでなく、宙乗りや客席を駆け抜けたりと観客サービスもたっぷり。芝居の進み方もゆっくりで年配にもわかりやすい。

客席に入ると緞帳は開いていて、野外コンサートの照明を仕込むようなメタリックな柱が並び、真ん中が少し高くなっていて真ん中に階段。下手は少し前に出て階段。電飾のアルファベットでGOEMONの字が赤く光るという、ロックコンサートのような感じの舞台。

この舞台が化けるのだ。メタリックな柱は電飾で十字架が浮かび上がり、バックに金色の幕や格子、桜の模様などが降りてきて、場面を表していく。

話自体は荒唐無稽。石川五右衛門はイエズス会神父と明智光秀の家来の娘の間にできたハーフで、父はフラメンコを踊った、って、すみません、この時代、フラメンコはまだ生まれてないんですけど。。。なわけで、ぜーったいにありえない話。でもいいんです。フィクションなんですから。

歌舞伎の衣装にボータを履いた愛之助さんのサパテアード!にも感心させられたけど、翼くんのファルーカ、男らしくてよかったし、マラゲーニャ歌ったのにもびっくり。歌舞伎役者さんに混ざってお芝居するのは大変だったと思うけど、しっかりこなしてた。プロだなあ。欲をいえば、衣装のせいもあるかとは思うけど、顎をもっと上げ、胸を開いて肩を後ろの方に持って行く方がカッコよさがより際立つかな。

回り舞台、せり、すっぽん、花道といった日本の舞台の仕掛けってやっぱりすごい。これを何百年も前からやっていたって本当すごい。
でメタルの足場みたいなのが楼門になって、有名な「絶景かな、絶景かな」、をやるとか、 洒落ている。
メタルな、スーパーモダンなセットと、純日本的なお衣装がこれまた合うんですよ、意外なことに。

また、個人的にはフラメンコと長唄の掛け合いの最後、ホセ・ガルベスのシギリージャを引き取った歌の方がシギリージャのメロディをなぞるような感じで歌われたのが面白かった。
ホセは歌だけでなく、ギターも弾いて(これがうまいんだよね)、セラットが歌ったをマチャードのサエタ弾き語るところなどマヌエル・モリーナが降臨したかのようだった。

音楽も弦楽あり、邦楽あり、フラメンコあり、で楽しい。
邦楽いいですねえ。去年、小松原舞踊団の公演の時も思ったけど、いやあ、もっと知りたくなりまする。

徳島での初演のビデオが昔新聞社のウエブに上がっていてそれで見たときも、歌舞伎役者さんがフラメンコの型、ポーズが綺麗に決まっていてるので、小島先生に練習期間を聞いたら数日ということでびっくりしたんだけど、やはり普段から鍛錬して、体幹がすごいのと、音楽舞踊のエキスパートだからかなあ。日本舞踊も、扇のいろいろな使い方とか、フラメンコの踊り手が見たらいろいろアイデア盗めるかも。遠く近い日本とスペイン、でございますね。

その昔、先代の猿之助さんが、義経千本桜での宙乗りやスーパー歌舞伎でヤマトタケルとかやって、ケレンだ、なんだと批評を浴びた時代があったけど、そういうものがあってこそ、こんな作品もできたんだろうな。
伝統と革新。
こういうのもフラメンコに通じますね。

今日千秋楽だけど、また再演されたら是非お出かけくださいまし。
楽しいよ。

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