2012年3月8日木曜日

ヘレス・フェスティバル2012 13日目夜マヌエル・リニャン「タウロ」

モネータと同じくグラナダ生まれのバイラオール、マヌエル・リニャン。
ビジャマルタ劇場での初のソロ公演「タウロ」

鈴をならしながらマティアス・ロペスの歌うトリージャではじまる。
上手に4人の踊り手
下手に歌い手
女たちはエプロンをつけ
カンポ(畑、野原)の雰囲気だ。
畑の仕事歌を歌いつぐ。

全体と個。
一人一人の動きがよく整理され
舞台での位置もよく考えられた
ちゃんとした構成の振り付けで
振付家としての才能をみせる。
Foto;Javier Fergo

  下手奥に下がった6本の布の帯を弦にみたてた
ギターへのオマージュ。
Foto;Javier Fergo

二人の女と一人の男。
クリスティアン・マルティンが踊る。

続くタラントはリニャンのソロ。
美しく説得力のある踊り。
ひとつひとつの動きに感情がこもっており
訴えかけてくるものがある。
見事!

Foto;Javier Fergo
最後のタンゴもグラナダ風でさすが。

続く曲はガルシア・ロルカへのオマージュで
リニャンとマルティン
男二人のデュエット。

Foto;Javier Fergo
フラメンコなリニャンとよりクラシコなクリスティアンの対比
 一人の男の二つの自我のようにも
恋する二人のようにもみえる。
切なくも美しい。

Foto;Javier Fergo
 メルセデス・コルテスのグラナイーナのソロのあと、
再びリニャン。
バストンでのソレア・ポル・ブレリア。
これまた秀逸!
Foto;Javier Fergo
バストン、というとマノレーテだが、
リニャンは故郷の先輩マノレーテの技を
さらに発展させた素晴らしいバストンづかいをみせる。
自由自在。
生き物のように動きあやつられるバストン。
感服。


中幕の真ん中を少しあげて洞窟にみたて
その前でインマ・リベラがコプラを歌う。
洞窟でのフラメンコ、
サンブラへのオマージュだ。

メルセデスが歌うファンダンゴ・デ・アルバイシン。
女たちはカスタネットで。
大舞踊団時代へのオマージュでもある?
と思わせる振り付けだ。

アルボレアを白いドレスにマントンでグアダルペ・トーレスが魅せる。
カチューチャは男二人で。
タンギージョはチェックにいろいろな色のフリルがついた
まるであまり布でつくったようなバタ・デ・コーラのバネサ・コロマが
スカートをまくったり、花を投げ捨てたりとユーモラスに踊る。
洞窟のおばあちゃんたちのカリカチュア。
でもバタさばきもきちんとしていて観ていて楽しく気持ち良い。
おばちゃんたちが輪になって踊る、
グラナダ名物モスカは全員で。
これらの曲と曲の間にはマティアスのプレゴンがはさまれる
観光客向けの絵はがきのようなフラメンコを
高い技術とセンスの良さで上質な場面となった。

Foto;Javier Fergo
最後は録音のソレアレス・デ・アルカ。
グラナダの伝説のフラメンコに捧げられた、
カスタネットをつかいクラシコ・エスパニョールのように踊るリニャン。 
それを見守っていたクアドロがやがてさっていき
一人踊る


Foto;Javier Fergo

久しぶりにていねいにつくられた上質のフラメンコを観た!
という気持ち。

1時間半があっという間。
もう一度みたい。
今年のフェスティバルでのベスト3確実です。

それにしても昨年のオルガ・ペリセ、今年のマルコ・フローレス、
そしてこのマヌエル・リニャンと、
いい踊り手たちがきっちりと
それぞれに個性的な作品をつくりあげているのは頼もしい限り。
フラメンコ舞踊の未来も、安泰でございます。

0 件のコメント:

コメントを投稿