2012年3月2日金曜日

ヘレス・フェスティバル2012 7日目夜 パストーラ

初日アンダルシア舞踊団で好演したパストーラ・ガルバンが
「パストーラ」でビジャマルタ劇場にかえってきた。

2009年のヘレス・フェスティバルで初演された作品、
初演はサラ・ラ・コンパニアだったが
それから2010年のビエナルのため修正を加えたのが
今回のバージョン。
出演者や衣装も初演のときとは違っている。

オープニングはタンゴ

Foto;Javier Fergo

上手よりのテーブルに歌い手、ギタリスト、そしてボボーテ。
パストーラは水玉の短い衣装にフリルのついたエプロン。
衣装の裾からペチコートがのぞく。
気分は下町トリアーナの長屋の中庭。
トリアーナのじいさんばあさんのグループ
トリアーナ・プーラがみせた、
お尻をつきだしたユーモラスなタンゴの振りが
天性の踊り手の手によって新しく花開く。
ちなみにこの振りの起源は黒人の踊りだそうな。
トリアーナ・プーラご本家の踊りはこのビデオの中にたっぷりはいってます。
彼らの踊りをみたことがある人ならすぐに
彼女の踊りがそれをなぞっているのがわかるはず。

机を叩いてのコンパス。
ブレリア。
パストーラはテーブルにこしかけて。
早いブレリアをきいている。
ゆっくりとしたリズムにかわるとパストーラがおどりはじめる。
くつを右左にけっとばし
(見事な放物線を描いて袖にとびこんでいった!)
古き良きトリアーナと
兄イスラエル(この作品の構成、振り付けをしている)のスタイルが
交差する。
Foto; Javier Fergo
ひいてあった絨毯をもって袖にひっこむその姿まで
 ムイ・フラメンカだ

クリスティアン・ゲレーロの歌うマリアーナ
クリスティアンはパストーラの旦那様。
ちょっとミゲル・ポベーダみたいな感じ。
きれいに歌ってくれます。
トリアーナのソレアはホセ・バレンシア。

赤いペチコートがのぞく黒い衣装。

Foto; Javier Fergo

シギリージャ
ファンダンゴ
シギリージャ
ここでもクラシックなかたちと
アヴァンギャルドが同居する。

クリスティアンの歌うマラゲーニャ/ベルディアーレス

上手より椅子を持って登場したパストーラは鮮やかな赤のバタ・デ・コーラ
椅子にのぼりポーズ
椅子にマントンをかけ
また椅子に上る。

Tócame  Ramón!
の声ではじまるカンティーニャス
ここでもいにしえの香りに今が花咲く。
Foto; Javier Fergo

Foto; Javier Fergo
シレンシオでは
ボボーテが闘牛士のようにパストーラと絡む。
そのフラメンコさに思わずオレ!

セビジャーナス
ラモンが弾いて歌うタランタ!
この人の、古風な香りのギターは昔から大好きだが、
歌も味がある。
さすがアマドール家!

そして再びタンゴ
水玉の衣装に赤のシージョ
ボボーテが歌い踊り
パストーラとパレハで踊り
トリアーナが再び香る。

全員が舞台前面にでてアルボレア

暗転をうまくつかって
フラメンコの小さな情景、スケッチを次々にみせる。
机を叩き歌うパストーラ。
櫛をずーっとみて投げ捨てたり。
酔っぱらい風の動きから踊り出したり。


いや〜堪能させてくれました。
これぞ21世紀のフラメンコ!
昔と今が共にある。
パストーラは何を踊ってもパストーラ。

おきゃんな、
という言葉がぴったりなパストーラ。
そう、活発で、おてんばで、いたずらで、
おしゃれで、はなやかで、ちょっとどじなとこもあって
つい人の目を集める感じ、というのかな。
バタ・デ・コーラやマントンも、
いわゆる“エスクエラ・セビジャーナ”風の、
おっとりした優雅さとはひと味ちがい、
もっと勢いがあって生きのいい、粋な感じ。
トリアーナのタンゴも
トリアーナの振りをなぞってはいても
踊り手ならではの美しいブエルタやかたちによって
再創造されている。
いやあ本当に誰よりもフラメンコらしさと、
セビージャらしさにあふれる
得難いバイラオーラでございます。

イスラエルお兄ちゃんもさすがによく彼女をわかってて
彼女の良さを存分にひきだしている。
ところどころにみえるイスラエルの刻印も
パストーラ風になってるのもすごいよね。

去年9月に長女パストーラちゃんを出産し
さらにパワーアップした感じ。
これからも長く長くみつづけたい踊り手だ。







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