隣に座った方、ごめんなさい。さぞうるさかったことでしょう。
でも声でちゃうんです。オレ!が自然に。で、ついつい。。。
のっけのグアヒーラ。
そのまた最初、名手アルフレド・ラゴスの美しいファルセータで
ゆっくり、ゆったりと動き出した石井さんの美しさ!
これだけでもう来た甲斐はあったというもの。
エバ・ジェルバブエナ初日のソレア・ポル・ブレリアの最初、ソレアのファルセータでエバがみせた、
あのゆっくりした動きにも通じる、すばらしい瞬間だった。
姿かたちの美しさ。グアヒーラらしい、南国風のゆったりした雰囲気を見事に表現してて
ほんと、うなりました。
バックでポーズをとる、群舞の人たちのかたちもとーっても美しい。
客席からみて美しい、ということは、やってる方はかなりたいへんなはず。なんだけど。
いやーよかったです。
ソレア・ポル・ブレリアを踊ったフンコはいくつか、おっ!というレマーテみせてくれた。
でいよいよディエゴ。
王様のような椅子に座ったディエゴはギターを手に歌い始めます。
少ない音で多くを表現するギター。クラシックかつ現代的。
不思議な世界が広がっていきます。
でてきただけで空気が変わる。
「カチョーロが僕に言った/出ていくときに/今年はだめだ、苦しくて
信じないなら、嘘をいっていると思うなら/橋で待っていて/死んで来るから」
聖週間の、トリアーナのカチョロ像を歌ったこの曲をきくと
私の眼の前にトリアーナの風景がうかんできます。
橋が、そこの人々の顔が。
語りかけるように歌うディエゴ。大観衆を前にしているというのに
私だけに語りかけてくるようにきこえるのはなぜ?
なつかしいギターのイントロがつまびかれる。20年前の「トマケトマ」収録の「アイ・ミ・アモール」だ。
時間が引き戻される。ひとつひとつの音がことばがしみこんでいく。
締めは新曲。ヘレスの秋祭りをモチーフにした曲。
今度はヘレスの風景が目に浮かびます。ボデーガ、アレナル広場、そして人々。。。。
コンパスの魔術師、といわれ、みながフィエスタ的な彼を待っていただろうとこに
しっとりとした曲をもってくる。してやられました。
しみじみとした雰囲気は続くシギリージャ(群舞。カスタネットもきちんとしていてこれまたまる)へといい流れをつくり、石井さんのタラントで一部はおしまい。
二部は歌って踊るディエゴで幕あき。
いやーすごすぎ。
ちょっとしたしぐさがまさにコンパス。微妙な間合いをみごとについてくるのです。
これはもう、そのコンパスの波にゆられて、うなるのみ。
アルフレドが、ディエゴのアルバムに収録されている、モライートやカニサーレスのファルセータを弾き伴奏するのもすごい。いやー、アルフレドって目立たないかもしれないけど、ほんとすごいギタリスト。
カンティーニャで美しいバタ・デ・コーラ姿の石井さん登場。
ディエゴを前に一歩もひくことなく、彼の歌をコンパスとしっかりと踊る。
のび縮みするコンパスにもあわせ…
こういったらなんですが、スペイン人だってこんだけ堂々とディエゴと渡り合えるかどうか疑問、
ってくらいに見事でございました。ほんとよ。
群舞のバタ・デ・コーラにマントンのアレグリアスも見事、の一言。
衣装も、オーソドックスな振り付けもアレグリアスの王道。
フンコと石井さんのパレハに続いてまたもやディエゴが登場。
アルバム「A TIEMPO」収録のEL TINO De UN TORERO
浦島太郎がフューチャーされたこの曲が終幕を飾ります。
いや、原曲を知らない人はなんで浦島?と目が点になったことでしょう。
でも楽しい。いやーフラメンコって楽しい。と思ったのではないでしょうか。
フラメンコがそのまま人になったようなディエゴ。
フラメンコのまじめさと楽しさとその両方をしっかりみせてくれました。
石井さんありがとう!
ディエゴとわたりあえる彼女はこれからもまた進化しつづけていくのでしょう。
あーほんと楽しい一夜でありました。
ちなみに客席にはこれまたったくさんのフラメンコが。
文化功労者となった小島章司さん(おめでとうございます!)は次回公演の共演者であるクリスティアン・ロサーノと。岡田昌巳さん、濱田滋朗さん、加部洋さん、堀越千秋さん、プリメラ・ギターラのチコさん、フラメンコ協会の田代事務局長さん、小林伴子さん、チャチャ手塚さん、鈴木尚さん、ルナさん、山本将光さん、川島桂子さん、西脇美絵子さん、平富恵さん…いやーきっとみんな、楽しかったんではないかと。。。
0 件のコメント:
コメントを投稿