2010年1月16日土曜日

ラファエル・ロメーロ百周年



ラファエル・ロメーロ“ エル・ガジーナ”

古いカンテを熟知し、味わい深い声をもつカンタオール。
ヘレス生まれのギタリスト、ペリーコ・デル・ルナールが編集した、
カンテの聖書とでもいうべきアルバム「アントロヒア・デ・カンテ・フラメンコ」
通称 ペリーコのアンソロジー
にも参加して、カーニャやミラブラ、トナーなどを歌っている。

若き日は1955年のフラメンコ舞踊団の一員として来日した彼だが、

1988年、来日しカンテソロのリサイタルを行った。
カンテソロのリサイタルのためだけにスペインから招聘された
初めてのアルティスタ。

その模様を録音したCDやビデオが発売され、
フラメンコは舞踊だけでなく、
カンテもほんとうにいいもんだ、
と日本のフラメンコ・ファンに印象づける結果となったこの公演が
その後の日本のカンテの隆盛のきっかけになったに違いない。

その影にあった、堀越画伯やエンリケ坂井さん、濱田先生、小山社長など
たくさんのアフィシオナードたちの尽力。

その2年前、初めてのスペイン旅行で彼の歌を聴いた。
悠然かつ毅然としたたたずまい。
歌い始めると
それはもうほんとうにすごいとしかいえない。
なんともいえないあったかみが身体を包んだあの感じ。
本当の本物のフラメンコを観たという充足感。
わたしの最初の一歩にも彼がいた。

1910年ハエン県アンドゥーハル生まれのラファエルが
1991年マドリードで亡くなると
日本のアフィシオナードたちはお金を集め
生まれ故郷のアンドゥーハルに記念碑を建立した。
地元との交流は今も続いている。

今年はラファエルの生誕百周年。
アンダルシア・フラメンコ振興公社は
それを記念して講演やコンサートが開催されるほか、CDなども企画しているという。

時代の流れの中で忘れられがちな カンテを支えて来たふるいアルティスタたちに
スポットがあたることは本当にうれしいことだ。

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