2016年9月27日火曜日

イサベル・バジョン「ジュ・ジュ」

マエストランサ劇場でイサベル・バジョン「ジュ-ジュ」。イスラエル・ガルバン作品ということでその意味でも大注目されていた。実際、会場にはイサベルの師マティルデ・コラルをはじめ、マノロ・マリン、エスペランサ・フェルナンデス、パストーラ・ガルバン、ルベン・オルモなどなど、多くのアルティスタたちの顔がみえた。

ジュジュとはこわいこと。me da dju-dju、でこわい、という意味になる。
というわけで、魔女や迷信など、怖い、に関係するものを集めて綴ったのがこの作品。

オルガンで演奏される聖歌ではじまり、白いぼさっとした足首までの貫頭衣ワンピースを着たギタリスト、ヘスース・トーレスと歌い手ダビ・ラゴスが登場。舞台のきわにこしかけてビジャンシーコを歌い綴る。
舞台の上では白いクリスマスツリーがいったりきたり。

と思うと電気がきえて魔女が登場。びっくりさせられる。

高下駄をはいた3人の魔女たち、イサベル、アリシア・マルケス、ニエベス・カサブランカ、がほうきにのってやってきて、下駄をぬいで裸足で踊りだす。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero
お化けのマスクをかぶったダビによるシギリージャの後は迷信集。

左足から踏む、はしごの下を通る、塩を手渡す、塩をこぼす、黄色のものを身につけて踊り、鏡が割れる、靴を机の上に置く、など、げんが悪いといわれることをあえてやってみる、というコミカルな場面。
Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero

マントンの角を頭にかぶっての、イサベルのペテネーラ。途中で電気がつき音響が切れるというハプニングを演出して笑わせる。それでもマントンづかい等でみせるのはさすが。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero



 アリシアはシギリージャ、ニエベスはアレグリアスのソロでみせ、イサベルも深紅のドレスでソロ。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero
ダビはヘスースのギターの弦を一本一本切っていく。
最後はロックミュージシャン風のいでたちで登場し、山羊の歌を歌い踊る。自由への讃歌。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero

とこう書いてみても、なにがなんだかわからない、という感じだが、実際、そんな感じの作品。コミカルな、笑えるシーンが多く、楽しかったので、読後感ならぬ観後観はまる。

でもこれを上演するのにいちばんジュジュだったのはイサベルかもしれない。
イスラエルの作品よりもイスラエル的。 マエストランサ劇場に“フラメンコ・フラメンコ”作品を期待してきていた人は「フラメンコ踊って」などと、例によって?叫んでいたりしたが、「フラメンコは?」という声に「フラメンコは死んだ」とこたえていたのはちょっと面白かった。まるで演出のようで。

そう、あなたが好きなフラメンコがいつもそこにあるとは限らない。フラメンコのアルティスタだって、フラメンコ・フラメンコじゃないものをやってもいいんじゃない?

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