2014年10月2日木曜日

「トダ・ウナ・ビダ」

ロペ・デ・ベガ劇場でベテラン・アーティストを集めた
「トダ・ウナ・ビダ」
いやあすごかったです。
じいさま、ばあさま若いです。
古き良き楽しきフラメンコ満載。
とくにフィナーレは客席との一体感もすごかった。
ロペ・デ・ベガならではですね。

いつもに比べ高齢者が多い客席。
 出演者の年齢にひっぱられた?

一部はカンテ。
左からロメリート・デ・ヘレス、
ギターのミゲル・サラド、
ランカピーノ、
ギターのアントニオ・ソト、
ラ・カニェータ、
クーロ・デ・ウトレーラ、
ギターのカルデリート。
そして下手にパルメーロが3人。

ずらっと並んだ姿をみて
1994年のビエナルでの「ベネラブレス」を思い出す。
アデラ・ラ・チャケータ、フェルナンダ、ベルナルダ、
ネグロ・デル・プエルト、ソルデーラ…
サジャーゴ以外ほぼみんな天国にいってしまった。
 

1932年ヘレス生まれのロメリート。
ヘレス出身、セビージャ在住の超ベテラン、
マティルデ・コラルらへの舞踊伴唱 でも有名。
あの名盤「カンタ・ヘレス(ヘレスに生きるフラメンコの伝統)」 の
歌い手たち唯一の生き残り(伴奏のパコ・セペーロも健在)は
みごとなソレア、カディスとアルカラの、をきかせてくれた。
伴奏のミゲルはセペーロ風。
そしてブレリア。
さすがヘレスの、流れるようなノリ。

ランカピーノは1945年カディス県チクラナ生まれ。
カディスの古い歌、伝統をうけつぐ貴重な存在でこの夜も
メジーソのマラゲーニャを熱唱。
惜しむらくはギター伴奏。
マラゲーニャの伴奏になれていないのか
ここで入るだろう、というところで沈黙。
シギリージャも素晴らしい。
息が続かず細かく息継ぎをしていくのだが
(そこだけが若いときと違う)
音も、ひねりも完璧。

この二人にはペリキン、ニーニョ・ヘロが伴奏すれば
もっともっと良くなっただろう、と妄想。

1927年ウトレーラ生まれと今回最年長のクーロ・デ・ウトレーラ。
 ソレアとカーニャをじっくりきかせる。
まじめでまっすぐが持ち味。
伴奏のカルデリートも悪くない。

締めはカニェータ。
ロメリート同様1932年生まれのこのおばさまがすごかった。
ほとんどタンゴにきこえるタラント、
そして母ピルラゆずりのタンゴ。
歌って踊るその足もしっかりしているし
ユーモアとエネルギーにみちていて見てる私たちを幸せにしてくれる。

そして第2部。
全員が舞台にぐるりと座ったクアドロ方式だ。
幕開きはエル・ペレグリーノ。
バダホスの小柄なヒターノ。
パウロ・モリーナの歌、フアン・マヌエル・モレーノ、ペリーコ・デ・パウラの伴奏で
ハレオ。
お教室で習うフラメンコとはまったく違う、
少ない音のサパテアード。ただその全てが勘所に入るのだ。
背筋をまっすぐ伸ばし、まじめな感じで踊るのだが
そこがまたいい。

続いてランカピーノとロメリートのファンダンゴ合戦。
マティルデ・コラルからのハレオでマイクを外して歌ったその声の良さ。
ほれぼれした。
クール・デ・ウトレーラはロンデーニャ。
美しい。

そしてカレーテ登場。
椅子とバストン、帽子にジャケット。
この人は本物のエンターテイナー。
ユーモアとエネルギー。
ああフラメンコって楽しい。

カニェータおばさまのブレリアは終わらない。
舞台を縦横無尽にかけめぐり
歌い踊り
幕で汗ふき歌い続ける。
鉄火肌フラメンカの意地だね。
いなせだね。

フィン・デ・フィエスタでは
ペレグリーノ、カレーテ、カニェータのそろいぶみ。
場内アナウンスで撮影お断りをいってる私がiPhoneだしそうになるくらい
すごい瞬間でありました。


もう一度全員椅子に座って続きあるかな、ってとこで無情の幕。
おいっ!

その幕をわってカニェータとカレーテが登場し挨拶。

終演は11時過ぎてた。
でも会場にいた人誰もが仕合せな気分で家路をたどったという。

ちなみに後、サラ・アマドールでカニェータおばさまと合流。
3時半に私が帰ったときもまだおばさま元気にシャンパン飲んでおられました。
ビバ黄金世代!

ビデオはこちら

 写真はリハのものです。
Bienal. Antonio Acedo

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