2012年4月1日日曜日

スペイン国立バレエ団マドリード公演3 「セビージャ組曲」

スペイン国立バレエ団マドリード公演の第2部は
「セビージャ組曲」

新監督アントニオ・ナハッロの振り付けで
国立バレエ団のために手直しした作品。

1992年にセビージャ出身のギタリスト、ラファエル・リケーニが
クラシック・ギタリストのホセ・マリア・ガジャルドと録音し
翌年発表したアルバム「スイテ・セビージャ」から
9曲を選び、アントニオが振り付けた。
アントニオ・ナハッロ舞踊団版では
アントニオ本人も踊り、
ソロでもソレアを踊っていたが
今回は振り付けに徹し踊っていない。


幕開き
前奏曲に続き
緞帳があがるが
その後ろにある黒幕は最初50センチほどあい
かがんだ踊り手たちがカスタネットをうち
床にもうちつける、その手元だけをみせる。
もう50センチほどあがり、ひざまづき、
踊り手たちをもみせる。
最後は立ち上がり幕も全開してはじまる。

このちょっとだけみせる、
ってのはマリア・パヘスとか、
いろんな人がやってますね。

フェリア
リケーニがホアキン・トゥリーナに捧げた曲。
幕開きのシーンはタイトルそのままの華やかさ。
舞台中央に赤い太陽が燃え
黄色の衣装の男女がカスタネットをつかって踊る群舞。
黄色と赤でいかにもスペイン!
という雰囲気だ。
そう黄と赤のスペイン国旗のイメージ。
バタ・デ・コーラ姿のゲスト・カンタオーラ、
アルヘンティーナが「トゥリーナ」と歌いあげる。
でもこれってこの曲がセビージャ生まれの作曲家トゥリーナに捧げられた、
って知らないと突然すぎる感じがするかも。
踊り手ではないからバタさばきも上手ではないし。

カジェ・デ・インフィエルノ
続く「地獄の道」は
セビージャのフェリア会場の遊園地に向かう道のこと。
エスクエラ・ボレーラのソロを
これもカスタネットとマントンシージョをつかってみせる。
伴奏はギターとカホン。

ラ・アルファルファ
フラメンコの歴史にその名を残すギタリスト、
ニーニョ・リカルドに捧げられ、
セビージャ中心部にある広場の名前をとったこの曲は
セマナ・サンタ、聖週間のイメージでの振り付け。
円の中にはキリスト像。
そしてろうそく。
聖像を担ぐコスタレーロとよばれる男たちの格好をした男性舞踊手
黒いドレスに黒いレースのベール(マンティージャ)姿の女性舞踊手
聖週間の行進曲のような重々しい雰囲気。
途中でアルヘンティーナの歌うファンダンゴが入る

エスペランサ
この曲はリケーニのものでなくミゲル・リベラのもの。
白い衣装の女性が男性たちにかつがれていく。
聖母像のイメージ?

マエストランサ
といえば劇場、ではなくて闘牛場。
美しいセビージャの闘牛場。
白い円には内側にふたつ丸く円がかかれていく。
空から見た闘牛場だ。
ミゲル・アンヘル・コルバチョ踊る闘牛士と
牛(アローニャ・アロンソ、メルセデス・ブルゴスのダブルキャスト)による
スパニッシュ・コンテンポラリー。
闘牛士と牛のデュオというと
アントニオ・カナーレスの「トレロ」を思い出すが
あれほどにはドラマティックではないにしても
愛のパ・ド・トゥ的なとこもある。

トリアーナの港
バタ・デ・コーラとアバニコの女性舞踊手たちによるコロンビアーナ
円は低く輝く月となる。

バイラオール
緑色の衣装の男性舞踊手たちによる一曲。
頭にはつぶれたようなかたちが投句調的なカラニェ帽子。

パセオ・デ・エンスエニョ(夢の散歩道)
男女のデュオで踊られる。
ゲスト・ダンサーのフランシスコ・ベラスコ(元第一舞踊手)とエレナ・アルガド。
女性はバタ・デ・コーラ姿。
イメージはアステア&ロジャースのダンス・イン・ザ・ダークか?
ロマンチックな1曲

フビロ(歓喜)
赤、青、黄、緑
色がリズムが音が氾濫するフィナーレ
民族舞踊的な振りをとりいれたりして
古き良きスペイン舞踊団の雰囲気。
はなやかでにぎやか。



音楽はアコースティックギターのデュオで演奏されていた、
クラシック曲のような原曲の面影はあまりなく、
その中でのポピュラーな感じのフレーズだけをとりだし
アレンジしたようにきこえてくる。

振り付けもフラメンコというよりスペイン舞踊、
いやスパニッシュ・ダンスといった方がいいかも?
華やかで楽しい。

フェリア、闘牛、聖週間と
スペインの典型をとりいれて
親しみやすい作品に仕上げた。



0 件のコメント:

コメントを投稿