2025年2月26日水曜日

ヘレスのフェスティバル5日目アントニオ・ナハーロ舞踊団『アルヘンティーナ・エン・パリ/コントラバンディスタ、ソナティナ』

アントニア・メルセ、ラ・アルヘンティーナは、スペイン舞踊のパイオニアであり、史上初じめて、日本にやってきたスペイン人舞踊家でもある。彼女が来日する1年前、1928年、パリのフェミナ劇場での舞踊団公演のために作られた二作品、 『コントラバンディスタ(密輸人)』『ソナチネ』を、当時の台本、衣装、写真などの資料を元に、再現、といっても当時のビデオやダンサーがいるわけではないので、それらを元に新しく作り直すというマドリードの財団からの依頼を受けた、前スペイン国立バレエ団監督のナハーロによる作品。

ピアノとチェロ、ホセ・ルイス・モントンのギターが舞台下で生演奏する音楽はオリジナルのクラシック曲をアレンジしているもの。

『コントラバンディスタ』は密輸人と訳されるが、山賊や義賊のイメージもある言葉で、『カルメン』の作者メリメが訪れている貴族の館で

© Festival de Jerez/Esteban Abión

© Festival de Jerez/Esteban Abión

追われる男を匿い、娘と恋に落ちるといった感じの寸劇的舞踊作品。

© Festival de Jerez/Esteban Abión
『ソナティナ』はペルシャのお姫様の悲しさを消し去ろうと、ペットのドラゴンや

© Festival de Jerez/Esteban Abión


© Festival de Jerez/Esteban Abión

女性たち、ヒターナ、
© Festival de Jerez/Esteban Abión
羊飼いの娘(魔女?)などが手を尽くすが悲しみは晴れなかったのが、
© Festival de Jerez/Esteban Abiónk

王子様のキスで幸せになりました、という御伽話のような物語。

通常のカンパニーよりも少ない人数だけど、ダンサーたちのクオリティの高さ、オリジナルのデザインから想を得た美しい衣装の数々で、見事なスペイン舞踊を見せてくれました。

日本公演でも上演した『ケレンシア』のような現代的に構成された作品の方がわかりやすいスペイン舞踊の魅力があると思うけど、20世紀初頭の、ロマン主義やオリエンタリズムからの異国情緒に彩られた作品の再構成というのも香味深く楽しめた。でもたぶん、最初に、アルヘンティーナとは誰なのか、やオリエンタリズム、20年台のパリのことなどについての解説がないとわかりにくいかもしれません。

ビデオはこちら

0 件のコメント:

コメントを投稿