2024年2月24日土曜日

ヘレスのフェスティバル初日サラ・バラス『ブエラ ア・パコ・デ・ルシア』

 今年もやって参りました、ヘレスのフェスティバル。28回だそうです。それに第1回から欠かさず通っている数少ない一人でございます。

今年の開幕を飾ったのはサラ・バラス。舞踊団結成25周年を記念して、今年その急逝から10年のパコ・デ・ルシアに捧げた作品『ブエラ』で登場です。

マデラ木、マル海、ムエルテ死、ボラール飛ぶ、と4つのテーマに分かれ、15曲からなる作品。ギターの6本の弦をイメージした6本の線が照明で描かれたり、後ろ姿のサラの写真が大きく舞台に映し出されるなどの美術がいい。ただ作品が亡くなった人へのオマージュということもあるのだろうか、いつものサラ作品に比べると若干暗めで、最初、バックが黒で衣装が黒の時は少しみにくかったし他の場面でも顔が暗く見えるような感じがあったのはちょっと残念。それでも、サラのほか、ミゲル・ポベーダなどの舞台も手がけているオスカル・ゴメスらしい華やかさは健在。照明、美術、音響、衣装といったものがいかに大切かと改めて感じさせられました。

サラのクリアで正確なサパテオも健在。彼女ももう五十代なのだけど、衰えを感じさせない。すごいなあ。パンタロンでのサパテアード、ミネーラから

©︎Esteban Abiób/Festival de Jerez

群舞の、バストンでのロンデーニャ、サラの代名詞のような丸く広がるスカートでのティエント。

©︎Esteban Abiób/Festival de Jerez


群舞のあおいバタ・デ・コーラに網のマントンでのアレグリアスは確かに海のイメージ。

 男性舞踊手ダニエル・サルタレスとのシギリージャは重厚さ厳格さがもう少し欲しい気がする。マイ・フェルナンデスが歌うサエタもいい。

色とりどりの衣装で両手に群舞がアバニコで踊るシーンはマリア・パヘスを思い出させた。

©︎Esteban Abiób/Festival de Jerez

ただ、サラの振り付けはいささか平面的で、舞台の奥行きが生かされてない印象。全員同じ振りのところも多いし、外部から振り付け家か演出家を起用してみるといいんじゃないか、などと思わされた。パコの名曲シルヤブを踊り、ディエゴ・ビジェガスのサックスとマティが歌う『緑の瞳』はパコの最後のアルバムからのイメージなのだろう。ついでに言えば、この最後のシーンのバックに植木が置かれているのはパコのステージでやっていたことであります。ほかにも最初、ミュージシャンたちが白いシャツにベストを着ていたりするのも、パコのステージからの発想でありましょう。こういう細かいところ好きかも。

©︎Esteban Abiób/Festival de Jerez

最後はブレリア。

©︎Esteban Abiób/Festival de Jerez

サラらしい、と私が思う、明るい、グラシアもほぼ見えることがなく、個人的には以前の作品、日本でも上演した『ボセス』や『ソンブラ』の方が好きだけど、観客には好評だったようなので、スターはこれでいいのかもしれない。


Sara Baras (Vuela) from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

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