志風恭子のフラメンコ最前線: へレスのフェスティバル9日目ヘスス・カルモナ『ザ・ゲーム』

2023年3月5日日曜日

先日の日本公演も好評だった、ヘスス・カルモナ、ホセ・バレンシア、フアン・レケーナ、フラメンコ三銃士？による『ザ・ゲーム』をへレスのフェスティバル特別バージョンで。

劇場形式ではなく、昔酒蔵だった大きなホールに三つの舞台が作られて、そこを縦横無尽に行き来して歌い、弾き、踊りまくるという趣向。観客は立ったまま自由に動いてそれを観る。

舞台と客席の境目がなく、迫力満点。近すぎて、全体を見ることが難しいということはあるけれど、普段は見ることができない背中側から観ることもできたりして、楽しかった。

フラメンコの観客は一般に舞台に近い席を好むようだけど、個人的にはある程度距離がある方が舞台全体を見ることができるので好きなのだけど、近くで見ることによる発見もあった。例えば、腕の緊張感。柔らかい形に見えてビシバシの緊張感。力の入り方。なるほどねー。

フアンのギターもホセの歌も決して脇役ではないけれど、踊りは見なくちゃわからない、ってわけでギターやカンテのソロの時でも、ヘススの周りに人が集まる。

ヘススの身体能力は今更言うまでもないけれど、やっぱすごい。テクニックの人だけど、そのテクニックが表現のためのテクニックで、テクニックのためのテクニックではないんだよね。

語彙が豊富というか。話すスピードが速いというか。

観客も一体になってゲームオーバーまで、楽しんだことでありました。が、足は疲れた。年寄りにはきついぜ。ビデオはこちら

志風恭子のフラメンコ最前線