ブラソとのコーディネーションでみせる横をむいた姿の美しさ。
こんなにきれいな横からの姿をみせる人はちょっといない。
10月23日、渋谷の大和田さくらホールで田村陽子フラメンコ生活20周年記念公演。
さくらホール、初めてでしたが駅から近く、舞台と客席の近さも舞台の幅の広さもちょうどいいかんじ。
公演は二部構成。一部は5人の踊り手によるファンダンゴにはじまり、田村とヘスース・オルテガとのパレハでのソロンゴ、カンテソロでのソレア、そして田村のタラント。
二部はフラメンコピアノのソロではじまり、ヘスース・オルテガのファルーカ、ピアノでのシギリージャ、パーカッションのソロがあって、タンゴ、そしてバタ・デ・コーラでのアレグリアス。
物語があるわけではなく、フラメンコ曲をつづっていくコンサート。
踊り手が懐中電灯を手にリズムにあわせて動かすオープニング。踊り手がライトをもって、というのはアンダルシア・フラメンコ舞踊団「イマへネス」にもあったし、ことさら新しい試みというわけではないけれど、伝統のフラメンコだけではない、というイメージを観客に伝えているのだろう。
田村と、彼女と長年パレハを踊っているヘスースのほか、田村と小松原スペイン舞踊団時代のコンパニェーラ、友人である丹羽暁子と屋良有子、宝の3人がいわば群舞だが、いずれもソロで活躍している実力者だけにいわゆる群舞の、そろってみんなが同じことをやっているという感じよりも、同じ方向をむいて違う風に踊っているような感じがある。たとえ振りは同じでも、とくに屋良はその個性/くせが際立って群舞的にはみえない。3人の中で最も形がきれいなのは丹羽。彼女はバタ・デ・コーラのあつかいも巨匠級。田村と二人で踊ったところは今回の公演の白眉だったと思う。もっとみていたかったほどだ。
ソロンゴはソロンゴだけでなくほかの曲なども混ぜて構成。最初のドラマ仕立ての感じなど面白い。田村は表情がいい踊り手で、曲の中にはいっていくことができる人だし、ぜひドラマのある作品もみてみたい。せっかくのパレハの振付なので、伝統的な、男性による女性のサポートなどももっとみてみたい気がした。
カンテソロは長谷川暖伴奏のエル・プラテアオからラモン・アマドール伴奏のダビ・パロマールへ。ダビの古い伝統的なカンテをラモンが完璧にサポートしている感じがなかったのは残念。舞踊伴奏が主で、カンテ伴奏はなれていない?というわけではないとは思うけど。
タラントは今年のラ・ウニオンのコンクールで踊ったものだと思うが、歌い手がかわり、会場がかわり、観客もかわれば踊りも変わる。ラ・ウニオンのような刹那感はなかったけど、風格はさすが。いいタラントであることに変わりはない。
休憩をはさんでの二部。 ピアノ・フラメンコのソロはパーカッションとブレリア。チャノ・ドミンゲスはジャズ、ドランテスはニューエイジ風などそれぞれスタイルが違うが、ペドロ・リカルドはアルトゥーロ・パボンの流れをひく、純粋正統派。セビージャらしさを満喫。
闘牛士のベストと上着をつけてのへスース・オルテガのファルーカは通常、イントロで入る歌を真ん中に入れて変化をつけた構成。めりはりついて面白い。続くシギリージャはピアノで。カスタネットもつかいクラシコ風に。これも面白い試み。女性三人のタンゴに続いてアレグリアス。純白のバタに赤いマントン。難しいことも優しく見えるほど踊り込んでいる。そこに三人が赤いバタでからむ、美しくはれやかな場面。お見事。
あっという間の舞台。出演者のいいハーモニーで楽しく美しい舞台となりました。
あっという間の舞台。出演者のいいハーモニーで楽しく美しい舞台となりました。
田村はへスース、ダビ、ラモンとともに函館、京都などで公演するという。お近くのみなさんぜひ足を運んでくだだい。決して損はありません。
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