2023年10月1日日曜日

アントニオ・カナーレス『ラ・ギターラ・カンタ』en Teatro Central

 


お久しぶりで、アントニオ・カナーレスの舞台。フラメンコにおけるギターの重要性がテーマということで、確かに普段、踊りの舞台というと奥で照明もぼんやりとしかあたらないことが多いギタリストが、舞台のかなり前の方、上手寄りに陣取り、ソロから始まる。

弾くはダビ・デ・アラアル。そ聴くたびに確かな成長を感じさせてくれるダビの美しいトーケがアバンドラオへと変わり、カナーレスが踊る。六十代となった彼は若き日の勢いこそないものお、こちらの記憶に残る凄さを今もまだ感じさせてくれる。身体は三十代のようには動かなくても、あの絶妙な間合いは健在で、きめるべきところできめてくれるので気持ちがいい。

歌はカナーレスにもう20年以上は歌っている(と思う)ガジと、若手で今をときめくマヌエル・デ・トマサ。パーカッションにはトリアーナ出身パコ・ベガ。

カナーレスの昔ながらのソレアのイントロが聞こえてきた時には思わず涙。90年、ケタマ来日公演にダンサーとして参加した時知り合って30年以上。いろんなことがあったなあ。昔の振りも思い浮かぶ。全く同じではないけれど、あ、これ!っていうのもあったりで。

昔のカナーレスのソレアの音楽をちょっとアレンジして弾いたダビも良かった。ソロで聴かせたシギリージャも、カンテソロの伴奏も。子供の頃をちょっと知っているので、いつの間にか逞しく成長していた、という感じ。マヌエルのカンテソロがファンダンゴ・デ・ウエルバだったのはちょっと解せないけど(もっと他にいい曲があったんじゃないかと。ガジのソレア・ポル・ブレリアからのファンダンゴ・デ・グロリアってのもよくわからん)。

今年アンダルシア局のテレビの青少年コンクール番組で優勝したマティアス・カンポが、マリオ・マジャのカンティーニャを踊ったのだけど、顔もマリオとイスラエルを足して割ったような感じで、よく似合っていた。ゆっくりとしたところで、あれ、っていうくらい足外したりもするんだけど、いつの間にか戻っている。ちょっと面白い。聞けば今年まだ14歳とか。ひええ。

90年代のはじめとか、伝統的なフラメンコではないとか、なんとか、色々叩かれたりもしていたカナーレスだけど、いつの間にか、若手をサポートするようになったんだね。時代は変わっていくんだなあ。

この人がフラメンコ舞踊の歴史に大きな足跡を残しているのは間違いないところだと思う。あの頃のソレア、もう一度見たいなあ。


0 件のコメント:

コメントを投稿