セビージャはトリアーナの、パヘス・デル・コロ通りにあった自転車屋さんの息子。
今は自転車屋さんもないけれど、昔ながらのトリアーナの人たちに今も愛されています。
コルドバとへレスのコンクールで優勝したのは1977年というからまだ16歳。1986年にはソロアルバムを発表。翌年ドイツの会社からアルバム『フラメンコ』、90年には再びスペインで『ミ・ティエンポ』を発表。92年に発表した『セビリア組曲』はのちに、アントニオ・ナハーロが振り付けてスペイン国立バレエでも上演されました。その後もCDを発表するなど活躍していたが、病気(躁鬱病)のため、一時舞台から遠ざかっていたのですが、エンリケ・モレンテへの伴奏などで徐々に戻ってきて、2017年には新譜『マリア・ルイサ公園』を発表しています。
その彼の、新譜発表のリサイタル。
期待は高まります。満員の観客を前に、2時間弱の長丁場を弾ききりました。
そのほとんどがソロで新曲。
ああ、やっぱり彼は天才!、という気持ちが新たになったのは、その曲たちの独創性によるものであります。
技術的にはもっとすごい若い子がたくさんいるかもしれません。でも、その演奏への心の込め方は、やっぱ、違う、と思うのです。音を詰め込むことをせず、その間(ま)も音楽にしていき、何より一つ一つの音にセンティードがあるのです。
そしてその曲。一言で言うならば詩的。
トレモロを多用し、クラシックのような、落ち着いた感じもあります。
そして、こうきたらこうくるでしょう、的なセオリーを裏切る感じ。
シギリージャやアレグリアスもブレリアに持ち込むことなく、すっと終わるのです。
その清々しさ。
エンリケ・モレンテに捧げたグラナイーナに始まり、ソレア、セビジャーナス、タランタ。
パコ・デ・ルシアに捧げたシギリージャの美しさ!
アレグリアス、そしてファルーカはマリア・モレーノが踊る。
ブレリア。そしてタンゴ。
後半は、『アマルグーラ』で大喝采。聖週間の行進曲なのですが、それを思い入れたっぷりに演奏。最初に聞いた時の感動がまた新たに。元の曲がいいのもあるのですが、それがギターで演奏されるとまたこれが。。。。
よかった。
のではあるけれど、マイテの時と同じく、周りの人ほどには感動していない自分。感度が落ちてるのか、期待が大きすぎたのか。いや、よかったんですよ。でも、かつてのテクニックとは違って、気持ちではこう弾きたいけどできてない、みたいなこともあったりして、そういうところも気にならないわけじゃなくて。それを補って余りあるセンティミエントあるんだけど、それじゃ完全には満足できない自分。
欲張りすぎるな、と反省。
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