2023年8月26日土曜日

日本フラメンコ協会新人公演配信を見て

今年も拝見させていただきました、新人公演配信。




昨年も書きましたが、多くの方々がフラメンコを愛し、歌い、弾き、踊っていらっしゃるのは本当にすごいことだし、感動的です。
カンテも舞踊も毎年、全体のレベルがどんどん上がっていますね。サポートするプロの歌い手さん、ギタリストさんたちが本当に素晴らしいな、と思いました。

歌はサリーダ聴けばわかる、という声もあるけど、緊張からか、サリーダ外す人が多かったような気がします。サリーダは元々声の調子を整えるためのものだから、絶対なきゃいけないわけでもない。また、上手に歌う、ということと、フラメンコにフラメンコを歌う、ということが必ずしもイコールじゃないような気がして、そこに歌の難しさを改めて感じました。踊りでもそういうところはあるかもですね。技術と心。技術があっても、伝えたい何かが、これが好きだ、ということをみんなに伝えたいという気持ちがないと、観ているこちらの心は動かない。またこれが好きだ、という気持ちやこういうふうに伝えたいという心があっても技術がないと十分には伝わらない、いや、伝わるものもあっても技術があればもっと多くの人の心をつかむ。だから二つともとても重要だと思います。難しいなあ。踊りでは去年も書きましたが、首の位置など姿勢、回転などの基本的技術にはもっと力を入れるべきではないかと思います。どうしても練習は足中心になっちゃうのかなあ。
あと、これは賞は出るとはいうものもあくまでも公演、なので曲ごとに照明などもか色々工夫しています。その効果、やっぱりありますね。踊りで振り付けを考える時、劇場の舞台で踊る時は舞台をどう使うか、舞台の上をどう動くか、ということと同時に照明のイメージまで考えるということも必要なのだと思います。そういう目で、プロの舞台を見ることも勉強になるのではないでしょうか。照明を見るぞ、と思って見るわけではなく、自分の心に残る舞台の照明を思い出してみる、ビデオがあればそれで確認してみる、ということでいいのだと思います。

今回も、感想を書き連ねます。ビデオを見ての感想なので、ライブで見るのとはまた違うとは思うのですが、こんな見方もあるんだな、と思っていただければ、少しでも参考になれば幸いです。時に厳しいことも書きますが、いやそんなことはないよ、と思う方もいるでしょう。いろんな人がいていろんな風にみている、というのを知っておくのは悪いことではないと思います。
今回、お名前は省略して番号と曲名だけの表記にします。

カンテ部門
C-1  シギリージャ
サリーダも歌詞のように歌っている感じ。歌詞がこちらに聞こえてこないのは、ビブラート過多と発音のせいだろうか。全部同じ調子でなく、ここは語るように、ここは力を入れる、といったメリハリがつくといいのでは?
C-2  ソレア
発音に癖がある。声は前にしっかり出ているのだけど、音程は微妙なところも。声質や声の張り方とか、ソレアよりカンティーニャの方があいそうな気がする。
C-3 アレグリアス
歌手っぽい、歌いなれた感じ。コンパスを意識してるのはいいと思う。
C-4  ブレリア・ポル・ソレア
歌詞とコンパス、歌の部分部分のセンティードなどを理解して歌っている感じはあるのだけ発音はちょっとカタカナっぽいかな。音程も揺らぐ。
C-5  ファンダンゴ
ダイナミックに強弱つけているのはいい。サリーダは調子を整えるためとはいえ音程外すなら、普通のサリーダで行った方がいいかな。口跡はいいので聞き取りやすいが発音カタカナぽいかも。
C-6  ペテネーラ
歌詞の暗記だけでも大変だったのかな、音程は揺れるし発音も良くないけど集中力はある。意味も理解して、一つ一つの歌詞もメロディももっと大切に歌っていくといいのかな。フラメンコ曲の中では一般の歌に近いのがペテネーラだと思うので、研究練習実践で上達すると思います。あといろんな人の様々な歌を聞くといいかも。
C-7  シギリージャ
シギリージャという曲のキャラクターをちゃんと理解した上で自分の解釈も入れて歌っている、という感じ。アフィシオンをすごく感じる。気持ちが先走って、スタンダードから外れるのはアリなのか、ナシなのか、考えさせられました。
C-8  グラナイーナ 奨励賞
声と曲種があっているということに尽きる。細かいことを言えば、メロディ/音程の揺らぎや声の伸ばし方とか、いや、そうじゃなくて、と言いたくなるところも多々あるのだけど、声質が叙情的な曲にあっている。そういう見極め大切。
C-9  ティエント・イ・タンゴ
上手ではないのだけど、好きで丁寧に歌っていく感じには好感が持てる。発音、音程はもっと良くなるはず。ティエントのゆったりもったりした感じもよく出ているし、タンゴになる時の笑顔や最後に見栄を切るところとか、失礼ながらとても可愛い。
C-10 ソレア
音程が安定しない。ソレア・アポラーのメロディは一見、一般の歌のように覚えやすいメロディのように聞こえるかもだが、正確な節回しが必要とされる。強弱をつけているのはいいが、全体的に気持ちやイメージが先走っている感じ。
C-11 ティエント
体が動いて口がマイクから遠ざかってしまう音響さん泣かせ。音程は外すのだけどティエントという曲の性格と相性は悪くないのではないかと思わせる。気持ちはある、という感じがするし、途中おっと思わせてくれるところもある。
C-12  アレグリアス
カタカタしているけどアフィシオンは感じる。サリーダからして好きに歌っているという感じで、スタンダードなメロディから外れるのはわざとなのか、そうじゃないのか。リズムの中にどう言葉を入れるか、というところが好きなんだろうな、と思わされた。
C-13  カンティーニャス 準奨励賞
曲のキャラクターをよくわかって、誰かの真似でなく、自分の個性で歌っている感じがいい。 l、r、rrは難しいのだけど意識していくことでもっと良くなるはず、特にgorra, Navarra のrrはもっと意識するべき。
C-14  ルンバ
踊りながら歌うルンベーラ。声よく出ているし、口跡も悪くないのだけど、一本調子に聞こえてしまう。全部熱唱しないで、語るように歌ったり、強弱や声の調子でニュアンスをつけていけばもっとドラマチックになると思う。

ギター部門 
いつも参加者少ないですね。なぜだろう。若い人もベテランアフィシオナードも挑戦してほしいなあ。劇場の大舞台での演奏は絶対いい経験になると思うのだけど。
G-1 グラナイーナ
繊細。 思い入れたっぷりな間の取り方はいいけれど、リブレの曲でも音が出てない時でもコンパスは回っているはず。叙情的なものの方が得意なのかもだけど、フラメンコらしい力強さやリズムをより意識したものも見てみたい。
G-2   グラナイーナ
こちらも繊細。1と比べてより内的な演奏に思える。


群舞部門
群-1 グアヒーラ
大きなアバニコを使ったお揃いの衣装での一曲。一人ずつでのソロ、二人での絡み、三人でのやり取り、など、舞台のどの位置にいるか、どう動くか、なども本当によく考えられた振付で、プロの技。感動しました。欲を言えば、この曲特有の南国感、気だるさなどをも表現できればより完璧、と思うけど、衣装で熱が感じられないことはないし、本当に素晴らしかったと思います。
群-2 カーニャ
バタ・デ・コーラの群舞は大舞台ならでは、ですね。全員で正面向いて同じ振りが基本というクラスレッスン的な発表会的振付が主だけれど、勉強になったことと思います。
群-3 アバンドラオス
暗闇に浮かび上がる赤い衣装がグループ名の炎のようなオープニング、エンディングのムイ・フラメンカなポーズまで、照明もよく考えられている。全員で正面向くクラスレッスン的なのもあるのだけどそこに適度にバリエーションも挟んで変化をつけているのがいい。これだけの人数いるのだからもっと大きく広がってもよかったようにも思わないでもないけど、小さめなのは照明の関係なのかな。
群-4  カーニャ
マントンのカーニャ。黒い無地のワンピースに赤に白の刺繍とフレコのマントンがよく映える。十分な間隔とってマントン回せるのも大舞台ならではですね。ここでも照明で道を作ったり変化つけているのがいい。一個前の軍部もそうだけど正面向いて同じ振りをいかにそう見せないようにするかと言うのも振付家の腕の見せ所ですね。。
群-5  カーニャ
三人の一体感があまりなく、マントンの人と二人の踊り手という感じになっているのが残念。かといって三人でも正面向いて同じ振りだとクラスレッスンになっちゃいがち。それを避けて、しかも一体感出すと言うのは難しいのかな。

B-1   シギリージャ
バタとカスタネットで。上体の動きが男性的に見えるのは直線的なブラソゆえ?振付としての統一感が感じられずバラバラなパーツを組み合わせたよう。やりたいことが色々あるのだろうけど、全部詰め込まず何か一つに焦点を絞った方がいいかもしれない。
B-2 シギリージャ
始まりの靴音がパルマで聞こえないのは音響の問題かな。足でガンガン押していくんだけど同じようなポーズ/形が続くので起承転結のような、変化がもう少しついていくといいようにも思う。表情ももっと出していってもいいんじゃないかな。
B-3 シギリージャ
トリージャからの最初の靴音、カホンで聞こえない。こういうバランス、どうするのが正解?足のマイクあげてもらう、カホンさげてもらう?あとは両方聞こえるのでこう言うのはやっぱたくさん出場者がいて音響チェックが十分にできないからってことなのかな。一曲を一つの物語としてドラマのようにまとめているのがいいし表現も上手。マントンか何かで重み厚みボリューム出してもよかったかも。お好みですが。
B-4 シギリージャ・コン・パリージョ
体づかいが硬い、ナチュラルに柔らかく、振りの繋がりが自然に見えるようにするにはどうするべきなんだろう。基本のブラソなのかなあ。あと下向きがちなのも意識して顎あげるようにしたほうがより綺麗に見えるのでは?
B-5 シギリージャ
正面向いて踊る時、少し体斜めに構えた方が奥行きが出てダイナミックに見えるのでは? あと上手くできて嬉しいのかな、笑顔になりがちなのは抑え目にしたほうがシギリージャにはいいかもしれません。
B-6 タラント
タラントはsobrio抑制が効いた地味でシリアスな曲調。可愛い綺麗な衣装ですが、それよりも地味目な衣装の方があうと思います。またこのタラントで表現したかったのは何なのかも全く見えてきません。実力はありそうなので曲の歴史/性格などを学ぶと違うアプローチもできるのでは。これはみんなに言えることだけど特にある程度のレベルで一通りできる人に特に勉強してもらいたいと思うことの一つ。
B-7 シギリージャ
自分のシギリージャのイメージというのはあるのかも、ただそのイメージを形にする難しさにはまってしまった。基本をきっちりもう一度さらって、自然なつながり、曲のまとまりを考えて作っていくといいのかも。
B-8 ソレア・ポル・ブレリア
こなしてはいるけどこなれてはいない。重心が軽いのか動くのか、腰のあたりが安定しない感じ。丹田に力入れるとかすればいいのかな。ふらふらせず大地にしっかり根を生やすような感じが出てくるとすごくいいと思う。一つ一つの振りの意味も考えていくといい。
B-9 タラント 準奨励賞
目力ある。タラントらしい厳格さ、重みもあって、曲を通して伝えようとする何かが(コラへかな?)があるように見える。 タンゴでもはじけず、重みをそのまま引っ張っていくというのも悪くない。
B-10 ソレア
いろんなソレアを見てこういうふうにというイメージはあるような。ただ、サパテアードしてると上体がグラグラしたりと、持っているイメージを具現化するのに道は険しそう。体幹鍛えるとか、なのでしょうか。特に後半、疲れもあるのかブラソが弱い気がします。
B-11 グアヒーラ
一生懸命教わった振付をなぞっていっているような感じで、動きが固い。これから踊り込んでいけばもっとこなれた感じになるのでしょう。
B-12 ソレア
舞台に出ていく時の歩き方も重心の持っていき方などでもっとずっとフラメンコに、舞踊になるはず。動きすぎないのはいい。あご引いて肩あげるとせむしのようになって首が埋もれてしまう。首元のスカーフもいらない。顎あげて、胸開いて、肩の力抜いて。キャラクターダンサーとしての存在感ありそう。
B-13 ロマンセ
たくさんの人が踊る新人公演では他の人があまり踊らない曲でアピールするというのももちろんあり。振り付けはロマンセぽい、というかコリードのイメージのような田舎のおばあさま風の動きなどもあるのだが、その意味や雰囲気を理解しているのかな。一つ一つの振りのセンティード/意味をわかって踊るのとそうでないのは違う。ズロースやエプロンの意味も同じ。それがわかってくるとただ立つ時も前屈みにならず、押し出しのいい感じを演じられるんじゃないかと思ったり。よくまとまった振り付けではある。
B-14 ソレア 奨励賞
始まりからして落ち着きがある。曲としても上手くまとまっている。どんどん踊り込んで、精度高めて、この人ならではという、自分のソレアを確立していくのかも。
B-15 ソレア
いろんなソレアのイメージが自分の中にあるのかな、でもまだそれが体現できるまでには至っていないのかも。表情を見てるとそんな気がする。一つ一つの振りの方向性をもう一度確認して精度をあげていくといいと思う。曲としてはまとまっている。
B-16 シギリージャ
最初、遠目の時、男性みたいと思ってしまったのは直線的なブラソのせいかも。キリッと踊りたかったのかな。鎧でもつけているかのように胴体があんまり動かないというか、もっと体全体で表現していいと思う。首も綺麗な気がするから顎あげて見せてほしい。回転も上達の余地あり。
B-17 シギリージャ
丁寧に踊っている感じ。回転は強化した方がいいかも。首、顎下げないようにするなども気をつけて。
B-18 タンゴ・デ・マラガ
教わったことを教わった通りにきちんとできているという感じ。フラメンコらしい味わい、ひねりが感じられないのは多分まだ十分なほどにはフラメンコを見ていなくてここはああいう感じ、というお手本、イメージが踊り手の中にないからじゃないかな、と思わされました。いっぱい見て好きになればまた変わってくると思います。
B-19 ソレア
動きの少ない、昔ながらの感じが好きなのだろう、マヌエラ・カラスコとか、違うかな。で好きで、フラメンコを、踊っていることを心から楽しんでいる感じがいい。これはこれでいいと思うけど、あえていうなら上体の使い方、体づかいを意識してみるとか、かな。
B-20 カーニ
なぜカーニャなのか、ソレア・ポル・ブレリアでも一緒なのでは、と考えさせられる。上体が弱く、足よりも体づかい、動き全体のコーディネートを考えていくべきかも。この人ならでは、という踊りが絶対あるはず。
B-21 ソレア
一生懸命。一つ一つの動き、上体や腕、身体の動きを、ここはどうしてこうしているのか、気持ちはどこにあるか、など確認していくといいかもしれない。
B-22 アレグリアス 奨励賞
イメージはあるのだと思う。その中で自分のスタイルを探してるのだろう。個性的であらんとしているように見える。が、身体全体のコントロールというか、例えば回転やサパテアードの時の腕や上体のブレ、コロカシオン(姿勢。お尻は突き出さない方がいいと思う)など、もっと考えてもいいのではないかとも思う。肩が前に出がち、上がって見えるのは肩パット?
B-23 ソレア・ポル・ブレリア
ブラソが固い感じがする。ひと所にとどまらず、舞台を大きく使おうとするところはいい。一つの曲でさまざまな顔を見せるのは悪いことではないのだが、起承転結というか、全体としてのまとまりというか、振りと振りがもっと滑らかにつながっていくようになるといいと思う。
B-24 タラント
シージョ、黒とか焦茶とかの無地のフレコやフリルのないもの(そこにエプロをプラスしても)の方がよりタラントらしく見えると思う。姿勢が安定しない。体がぐらぐらしてる。手を上げた形は美しい。
B-25 アレグリアス
ピンクのとても可愛いお衣装。白のシージョも効いている。楽しそうな表情もいいし(ずっと歯見せなくても口角上がってるだけでもいいんだけど)、丁寧で、スカートの取り方一つもちゃんと考えてやっていると言う感じ。他の曲、シリアスなパターンも見てみたくなる。
B-26 カーニャ
黒い衣装に黄土色のマントンでのカーニャ。全体的に速い速度で、忙しい。もっとゆったりしっとりと踊った方がカーニャらしいのではないかと思う。マントンももっと丁寧に扱ってほしいし優しさがもっとあってもいいのでは?
B-27   ソレア
自分のソレアのイメージを持っていると言う感じ。堂々としていて女性らしさもある。サパテアードしても上体のブレもない。あとは腕だけでなく胴体も、捻ったり反らせたりと踊りにもっと参加させて行ってもいいかもしれない。
B-28  カーニャ
ソレア・ポル・ブレリアでなくカーニャを踊る意味はなんだろう。彼女に限ったことでないがその意味が見えてこない。踊りにも装いにもカーニャらしさが見えない。カーニャを踊ることで何が伝えたかったのだろう。
B-29 アレグリアス 
最初にスカートをパッと上げるのはなぜだろう。やあやあ我こそは、と名乗っている感じなのかな?アレグリアスらしい明るい表情はいいと思う。取ってつけたようなシレンシオ。ブラソもどこか体操のよう。その時々の動きはいいのだがつながりがスムーズじゃないというか、動きの順番が気になって自分としての表現が隠れてしまうところがあるブレリアのとことかは弾けるようないいものもあるので期待。終わりのところはかっこいいんだけど、はけるのはもう一拍待ってからでもいいようにも思う。
B-30 グアヒーラ
ピーナッツベンダーの歌、椅子に座って扇を使うという導入はキューバらしさの演出で良き。顎をあげているのもいいしゆったりとしたリズムもいい、女優気分で演じてる感じも悪くない。
B-31 タラント
茶系のシンプルな衣装はタラントらしくて良いし、衣装も含め、タラントという曲の性格を統一感のある振りでよく表現していたと思う。出だし、袖から歩いていく時、舞台が広くてなかなか思った所に行けつけないからかもしれないが、舞台で歩くのは踊りの一部なのですでにパフォーマンスが始まっていることを意識した方がいいのでは?
B-32 タラント 奨励賞
色味はともかくキラキラのついた衣装はタラントには合わない。スカートの翻り方とかとても素敵なんだけど、キラキラつける必要はない。衣装以外は素晴らしく、メリハリつけたしっかりした踊りで、タラントらしい振りとダンスぽい体の使い方などを組み合わせて自分の宇宙を築いてみせているのはすごいと思う。もっと色々みてみたくなる。
B-33 シギリージャ
シギリージャという曲の重みをちゃんと表現したまとまりのある振付で見ている人も感情移入しやすそう。シージョは黒地に白みずたまフレコフリルなしとかでちょっと抜けを作っても良かったかも。
B-34 アレグリアス
身体が固いのかな、ブラソの位置とかあるべきところよりちょっと前に出てたり、また一つ一つの動きを最後までまっとうしないうちに次に行ってしまってる感じがある。丁寧に踊っていくこと、そうすることで追いつかないなら何かをマイナスするとかしてもいいのではないか。シンプルな衣装をシージョと頭の花だけでアレグリアスぽくしてるのは賢い技。
B-35 タラント 奨励賞
情感たっぷりな踊りで、表情も構成もドラマチックに作ってある。演技過多に思う人もいるかもだけど私は嫌いじゃない。これも一個前の人同様、シンプルな衣装をシージョとエプロンでタラントぽくしている。アンダースカートがもっとシンプルだったら元よかったけど、これはもう一体化してるのかな。上体がもう少し柔らかくなるともっといい。
B-36 シギリージャ
真っ赤な衣装で。まだ若いのかな、まだつたないところもないわけではないのだけど、不思議と気になる。力の入れるところと抜くところ、表情、形、いいものを持っていると思う。身体がコントロールできてるし、場を引っ張っていく力がある。何か他の舞踊かスポーツやってたのかな、と思ったり。今回の新人公演で一番私の印象に残った人かもしれない。また観たい。
B-37 ソレア
ちょっとマリア・デル・マル・モレーノみたいな感じ。後半、息切れしてるというか、ちょっと雑に見える気がする。気持ちはあるのは伝わる。それを先走りさせず、自分でコントロールしていけるようになるともっといい。
B-38 アレグリアス
まっすぐ、直線的な姿勢。真面目な人なのかもしれません。下向きがちでないところはとてもいいと思うのですが、より曲線的な形をイメージするともっと柔らかな感じが出てくるのじゃないかと。腕だけじゃなく、胴体も意識するとかなのかな。もっともっと上手くなりそうな感じがします。
B-39 シギリージャ 準奨励賞
確固とした自分を持っていて信念に基づいて踊っているという感じ。構成もそうだが、シギリージャらしい重みをちゃんと感じさせる。真正面向いて踊っていても途中で少し斜めになったりで立体感出している。あごはもう少しあげてもいい。
B-40 アレグリアス
ブラソやマノがとってつけた感じで、動きに固さを感じる。ブラソの基本練習と踊り込みでもっとナチュラルになるといいと思う。表情とか自分のアレグリアスのイメージを表現しようと努力はしている。
B-41  ソレア
サパテアードから始まるのだけどそれがちょっとぐちゃぐちゃした感じに聞こえてしまう。ずっと下向き、前屈み気味なのも気になる。ソレアはシリアスな曲と言ってもずっと下向いているのは違う。カラスコもエバもみんな胸はってますよね。ブレリアでもかがみ気味、肩前に出るというのは背筋の問題とかなのかな?
B-42 カーニャ
カーニャのしっとりした感じは一部で多少表現できていたものの、やはりなぜソレア・ポル・ブレリアじゃなくカーニャなのだろう感はぬぐえない。これは彼女に限らないが。カーニャならでは、というところを見せてほしい。
B-43 ソレア
力が入った渾身のソレア。動きの意味はわかって踊っているという感じはある。最後の歩き方、さっと去っていく、ということなのだろうけど、舞台の上であることをもっと意識してもいいのではなかろうか。
B-44 ティエント
表情も動きも硬く、お手本をなぞっているという感じで自分で音楽やリズムを感じて動いている感じがない。動きも意味もわからないままやってますという感じ。フラメンコのCDかけて勝手に色々動いてみる、踊ってみる、その気になって動いてみるといった遊びをしてみるとかどうだろう。決められたように動くのではなく、もっと自由に、もっとフラメンコを楽しめるようになってほしい。
B-45 体調不良により欠場
B-46 ソレア
一生懸命さは伝わってくる。基本無表情ぽいのもテンパってる感。後半笑顔がちょっと出るけどこれは自分が踊っているのが楽しいという感じ。表情も踊りの一要素なので、このソレアで何を伝えようということなどを考えると、ソレアの顔になるんじゃないかな。
B-47 ティエント
赤い衣装に個性的なペイネータ使い。なんでこういう使い方にしたんだろう。こんだけ大きいペイネータ、クラシコや聖週間関係の場面以外で、舞踊で使うのは珍しい。踊ることが好きで楽しんでいる感じはいい。肩が前に出がちなのと首も前に出てしまうことがあるので、姿勢、コロカシオンが課題。
B-48 ソレア
力強く、自分なりのソレアのイメージを持って踊っているという感じ。野生的なのが好きなのかも。シンプルな振り、たとえば舞台の上を歩くだけとか、は実はそれでちゃんと見せようとするとすごく難しい。そう言ったことも意識すればもっと上手くなっていくはず。
B-49 シギリージャ
水玉のバタ・デ・コーラ。丁寧に踊っている。お尻の下で切り替えのあるデザインなのでバタの動きに限りがあ離、高くは舞わない。切り替えなしの、腰からずっと繋がるタイプのものだとまた違うふうになると思う。
B-50 シギリージャ
根性とコラへのシギリージャという印象。気持ちに身体が持っていかれちゃいそうになっているのかな。回転、体幹を強化していけば、より余裕を持って踊ることができるようになるのでは。スカート持ち上げ過ぎてもいいようにペチコートみたいなのはいてもいいかも。
B-51 タラント
自分でフラメンコの、タラントのイメージをはっきり持っているのだろう。個性的。姿勢、特に首の位置が気になる。はっきりしたモーニョじゃなく頭に沿ってまとめたような髪型のせいもあるかもだけど、あごをあげる基本の形があってこそ、気持ち入れての崩しも生きてくるのではないかと思うのだけど。
B-52 ソレア・ポル・ブレリア
力強い、メリハリの効いた踊り。自分でイメージをちゃんと持って踊っているという感じ。あごを引き過ぎて首が綺麗に見えないのは残念。口開けておどっち得る時間が長いのはなぜ? シージョのフレコが肩のところでごちゃっとなっているのやフレコなしでもよかったかも。
B-53 シギリージャ
靴。スペイン人も最近よく履いているボタみたいに甲が見えないタイプのものは、サパテアードがしやすい、靴音が強く聞こえるということで流行しているようだけど、足がそこで切れているように見えてしまうので、スカート持ち上げて足見せる振りではマイナス要素になるかも。
B-54 ソレア
自分の曲のイメージをちゃんと持っていて、どうだっ!と全力でぶつかっていくようなソレア。ジャケットはなくてもいいかも。締め、ちょっと中途半端かも。
B-55 ベナモール
クラシック曲をフラメンコや民族音楽などのテクニックで踊るクラシコ・エスパニョール/ダンサ・エスティリサーダの定番曲をカスタネットで。フラメンコじゃない、と言えばそうなんだけど、スペイン舞踊とフラメンコは姉妹みたいなものだし、こういう演目はダメとする必要はないと思う。カスタネットはいいのだけれど、体全体のコーディネーションはもう少し頑張れって欲しいかも。特に姿勢。肩が前に出てかがみがちなのがちょっと気になる。クラシコはフラメンコ以上にコロカシオン、形の美しさが大切だと思います。
B-56 ソレア 奨励賞
一つ一つの動きの意味も完璧に理解して、ちゃんとモチベーションがあってセンティードを持った動きが踊りになっていく、という感じで説得力がある。その上、ソレアへの思い、フラメンコへの思いみたいなものまで伝わってくるような感じ。ムイ・フラメンカ。手を伸ばした時、伸ばした指の先まで意識がちゃんとあって、その先に宇宙ができていくみたいな感じ。これからも見続けていきたい踊り手。





色々勝手なことを言いました。もし気にさわることがあったらごめんなさい。
まず1回全部通してみながらメモして、それを見ながらもう一度見ながら書いていきました。つなり、最低2回は全員を拝見させていただきました。気になったところは繰り返し見たりして、というのは配信のいいところですね。

フラメンコは曲種ごとの特徴というのがあってそれを表現するということ、そして歌でもギターでも踊りでも、フラメンコを通して何かを観ている人に伝えるということが大切なのだと思います。それぞれのフラメンコ愛受け取りました。それは決して一様ではなく、だから面白いのだと思います。舞台に乗るまでには大変な努力があったことと思います。フラメンコ愛見せてくださってありがとうございます。また来年も楽しみにしています。










0 件のコメント:

コメントを投稿