2022年5月15日日曜日

第3回全日本フラメンココンクール東京予選/バイレ部門

 5月14日、東京、高円寺の小松原庸子スペイン舞踊団スタジオで、第3回全日本フラメンココンクール、バイレ部門の東京予選が行われました。

今回は無観客で行われましたが、2018年の第1回、2019年の第2回に引き続き、審査員を務めさせていただき、日本のフラメンコ熱を改めて感じさせていただきました。

年齢等一切の制限のない、このコンクール、若手からベテランまで21名の踊り手たちの全力投球での熱演、見てるこちらも力が入ります。

審査員全員での審査、話し合いの結果、約半数の方が5月28日土曜日にスペイン大使館のアウディトリオで開催される決勝に進まれる事になりました。進出者の方々、おめでとうございます。

スペインでもコルドバやラ・ウニオンを始め、多くのコンクールを見てきましたが、いつも思うことは一緒です。コンクールは最終結果ではなく、過程の一つでしかないこと。結果は、その日その時のパフォーマンスをその時の審査員がどう評価したか、ということでしかなく、絶対的な評価ではありません。

昨日の予選でも、緊張や体調などにより実力が発揮できなず、決勝に進めなかったいう人もいるかもしれません。でも、コンクール出場のために稽古を積んで努力してきたことがすべて無駄になるわけではありません。それまでの努力や緊張の中、慣れない場所で踊ったことはその人のこれからのフラメンコに必ずプラスになるはずです。

今回の出場者のパフォーマンスについての私個人の簡単な感想を記します。これはあくまでも個人的な印象で、他の審査員の方及び主催者とは全く関係がありませんん。

1。青木千鶴子 カーニャ/5分の時間制限ゆえなのだろうか、カーニャとは思えないスピードでまるでソレア・ポル・ブレリアのよう。カーニャらしい、しっとりした趣や優雅さの表現が欲しい。曲選びは難しい。

2。伊藤千紘 ソレア・ポル・ブレリア 決勝進出/ちゃんとした感じ。真正面向きがちの体を斜めにするなどでよりダイナミックさを作れそう。

3。松木晶乃 アレグリアス/楽しそうに踊ろうとしている気持ちは伝わる。基本をきちんと積み重ねていくことが大切。後半の方が良かった感じ。

4。後藤春美 ソレア/ソレアの“タメ”を上手に表現していたと思う。ただ、同じような仕草が続いたりするのは逆効果では?

5。本多清見 シギリージャ 決勝進出/強力なパルマに支えられているがシギリージャの何を表現したかったのか、曲への理解と表現はより深められるのではないか。

6。畑中美里 アレグリアス/緊張のせいか、気持ちが急いている感じ。花を落とすのはアクシデントだけど、昔セビージャのタブラオでは罰金だったともいうし、飛ばさない努力は必要。スカートももっと広がる方が踊りやすく魅力的では?

7。橋爪靖恵 ソロンゴ/オレンジ色のマントンが美しい。クラシックな振り付けはいいのだから、踊り手がもっと一つ一つの振りの意味を理解しひとつひとつ大切に踊っていけばもっと良くなるはず。

8。篠崎穂香 バンベーラ/真正面向きすぎな感じ。少し斜めに構えた方が奥行きが出てより美しく見えるはず。

9。鈴木旗江 シギリージャ 決勝進出/カホンで始まるシギリージャ。シギリージャという曲を理解し、自分のシギリージャを作り上げているという感じ。装いも表情も全て自分のシギリージャを表現するためにうまく使っている。

10。山下美希 アレグリアス 決勝進出/ちょっと忙しい? 演技するような感じもあるが、もう少し口角上げて笑顔でアレグリアスらしさを演出するともっと良くなるのでは。

11。平林夏々子 アレグリアス/赤いバタ・デ・コーラにマントン。フラメンコは力仕事ではなくアルテ。かと思うとくにゃくにゃしたりもして自分の表現が定まっていない感じがする。

12。手下倭里亜 アレグリアス 決勝進出/バタ・デ・コーラにマントン。基本に忠実で、しっかりアレグリアスらしさを表現しているのはさすが。

13。岩楯颯来 アレグリアス 決勝進出/レトラの時に足を入れないのがいい。顎を引いて踊っている時間が長いのが少し気になる。衣装はスーツの中のシャツを白にするだけでも多少、アレグリアスらしくなるのでは。将来有望。

14。角谷のどか アレグリアス 決勝進出/ブラセオが上手なのがいい。足ももう少し頑張ればすごくいいはず。

15。山本秀子 アレグリアス 決勝進出/表情をよく考えてパフォーマンスをしている感じ。振り付けの細かいところまでもっと丁寧にひとつずつ終えていけばもっといい。

16。木村麻樹 アレグリアス/サパテアード、回転、ブラセオ。基本をしっかり学び、曲についての知見を高めていく必要があるのではないかと思う。

17。藤川淳美 アレグリアス /バタ・デ・コーラにマントンの王道アレグリアス。表情もいいのだが、惜しむらくはマントン。もう少し厚手の、持ち重りする白いマントンの方が良いのではないか。薄手の軽いマントンだと軌跡も美しくない。

18。渡辺なおみ アレグリアス 決勝進出/自分のフラメンコはこれ、という自信があるような感じ。

19。吉田芽生 アレグリアス 決勝進出/板付、首の位置、もっと考えてもいいのではないか。バタ。自然な表現を

20。清水真由美 ティエント/サパテアードに強弱をつけてニュアンスが出ているのがいい。ただ、ティエントという曲で何が表現したかったのかがわかりにくい。

21。関 真知子 ソレア 決勝進出/緑色の美しいバタ。優雅なソレア。 

審査終了後、審査員の皆さん、左から志風、マイテ・プルポン、大沼由紀、鈴木敬子、南風野香各氏と小松原先生。







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