2022年10月30日日曜日

日本で見た/メルセデス、ラファエル、ラトーレ、ガデス。

 日本です。

フラメンコも少し見てます。

最初は日本でこんなにすごいフラメンコを観ることができるとはなんと幸せなことなのだろう、と思ったメルセデス・デ・コルドバとラファエル・カンパージョのガルロチ公演

メルセデスは好きな踊り手の一人で、今年のヘレスのフェスティバルでの新作にも圧倒されたし、ビエナルでもちょこちょこ会ってはおしゃべりしてた。ラファと知り合ったのはマヌエル・ソレールの作品稽古中だったと思うけど野村眞里子さん公演のお手伝いをして仲良くなったんだと思う。

二人ともセビージャのタブラオ、ロス・ガジョスに出演することもありタブラオで観たことがなかったわけじゃないけれど、ギターも歌も舞台で共演してるフアン・カンパージョとヘスス・コルバチョ、若手のエセキエル・モントージャという素晴らしいアルティスタたちで、いやはやもう筆舌尽くしがたい、本当に素晴らしい、本場スペインでも毎日観ることは不可能という、すごい舞台だったのであります。見逃した方残念でした。たしかに料金はお手軽とはいえないけれど、その価値がある、いや値段以上の、舞台でありました。舞踊、音楽はもちろん、照明も劇場並みのクオリティで、スペインのタブラオでは見ることができないような、劇場公演を近くで見ているような感じ。実際、メルセデスは劇場作品の一部分を踊ったりもしていて、劇場では見ることができなかった細部に触れることができたのもうれしいことでした。



東京沖縄でのクルシージョで来日したハビエル・ラトーレが出演した西日暮里、アルハムブラでの公演。北原由香、鍛冶陽子、浅見純子、鈴木敬子、森田志保、そして沖縄でフラメンコ教室を主宰するカルロス・ゴメス。それぞれに個性的な、日本のフラメンコ界に欠かせない人たちの舞台をいちどきに堪能できるというまたとない機会。ハビエルの存在が踊り手たちの何かを押して、いつも以上に良いパフォーマンスとなっていたのならいいなあ。何気ないナチュラルなフラメンコが魅力的な北原、真紅の衣装にショートカットで存在感のある鍛冶、独特の雰囲気をまとっている浅見、住んでいたのは30年以上前なのに今もセビージャが香る鈴木、不思議な魅力で唯一無比の存在である森田、シンプルな正統派カルロス、そして御大ハビエル。重厚なタラントで魅せてくれました。踊りを支えるプラテアオとペペ・マジャも素晴らしく、良き宵となりました。




東京文化会館でのアントニオ・ガデス舞踊団『カルメン』には通訳として関わらせてもらっていたのだけど、私とフラメンコの出会いである作品に、35年後スタッフとして関わることができた感慨もさることながら、カリスマであるガデスが亡くなって、演者が変わっても、作品の素晴らしさは変わらない。クオリティの高い作品は古典として次世代にも受け継がれていくのだな、と思ったり。そう、バレエの『白鳥の湖』みたいなものなんだなあ、と思ったり。歌い手たちもよくて、これはむしろ、最初に見たときよりもクオリティ上がっているかもとかまで思わされました。耳慣れたオペラ音楽を巧みに配しつつ、耳なじみのいいポピュラーソングに近いフラメンコと本格フラメンコをうまく組み合わせたり、闘牛の真似事の場面も正式の闘牛の流れをきちんと踏襲するなど、闘牛とフラメンコ、とフジヤマゲイシャ的スペインの文化の本当をちゃんと伝えようとしているのだな、とか思ったり。映画や本でも年によって見方が変わるとか。フラメンコ舞踊作品にも古典があってよかったな、とつくづく思います。映画版もいいけど、舞台のライブ感はやっぱりいいなあ



















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