6月22日、藤井かおるフラメンコ・スタジオでの第2回全日本フラメンココンクール仙台予選の審査員を務めさせていただきました。
7人という、東京、大阪に比べると少ない参加者でしたが、皆さんそれぞれにベストを尽くしていらっしゃったことだろうと思います。
東京、大阪の予選の様子、また参加者の皆さんへの、コンクールについての話はこちらに記しておりますのでご覧いただければ幸いです。
以下、参加者の皆さんそれぞれへの志風の私見です。
1都竹佐衣子さん ソレア
袖はチュール地に水玉という黒い衣装、髪には赤い花というあつらえはまる。表情も悪くない。だが、のっけの足から入らない。まだ自分勝手。基礎の技術を徹底的に叩き込み、せっかくのスペイン人による生伴奏をしっかり聴いて会話するように踊ることが、いつかできるようになりますように。
2石川慶子さん シギリージャ 決勝進出
花柄の衣装。髪は髷ではなく一つ結わえただけ。最近の舞踊の傾向を反映した、こなれた踊り。舞台慣れ、踊り慣れしている。肩がちょっと前に巻いているのがちょっと残念。また時々引っかかる感じがあったのは緊張から?。まだまだもっとできるはずの人だと思う。
3亀井紀絵さん ロメラ
緑のコリン、アバニコで。身体、胴体が丸太棒のようで、ひねりねじりなどがまったくないので、踊りに表情がない感じ。基本のサパテアードをこなそうとする志はいいのだが、そこに色彩を加味して自分の表現を出していかないと練習風景にしか見えないのでは?
4藤岡愛さん ソレア
赤い衣装に茶色のマントン。髪もきちんと整えているのはまる。教わった振り付けをなぞっているという感じで何を表現したい、とか、踊っている今の気持ちがどんな気持ちだとか、そういったことが何も伝わってこない。殻を破る必要がある。自分を出そう!
5大滝恵美子さん シギリージャ
黒のバタ・デ・コーラにカスタネット。バタが最初からずーっとひっくり返ったまま。せめて出の時は自分で直しておきましょう。赤い花や涙型のイヤリングなどあつらえはいい。カスタネットは音も揃ってないし、やらなくてもいいと思う。バタを持つ時腕をまっすぐ伸ばしすぎで前にならえ、みたいなのも残念。
6道家エミさん シギリージャ
黒地に白水玉スカート、白黒マントン。基本を一生懸命やっている感じには好感が持てるが、まだまだ。ぼんやりとした終わり方は非常に残念。終わりはビシッと決めたかった。
7奥濱春彦さん アレグリア 決勝進出
カンティーニャの歌で始まる。はっきり言って格が違う。ソツがない正確で確実な技術、表情や、踊りの動きひとつひとつへの気持ちの入れ方も素晴らしい。体全体を使い、コントロールし、歌やギターをしっかり聴いて反応する。これが踊るということ。気になったのは左右の靴音の音色の違いくらい。音色が気になる、ということは、それぞれの音がクリアに聞こえてくるからであり、またその他のことができているからこそなのでありますが。
なお、そのあとアトラクションとして審査員の藤井かおるさんがグアヒーラ、アンドイッツ・ルイバルがアレグリアスを踊りました。審査の疲れも感じさせない優雅できちんとしたグアヒーラ、良かったです。
今回の仙台予選では、誰の目にもプロとアマの差がはっきり見えたと思います。
フラメンコ歴、舞台経験、キャリアの差です。
年数だけではありません。舞台に上がって、観客の前で踊るということは上達の鍵の一つだと思います。
自主練ももちろん重要です。でも10年間鏡の前だけで踊っていたのと、舞台に立ってプレッシャーと戦い、いろいろな意見を聞き、時にはアクシデントにも合う、など、様々な経験をすること、それが踊りにも反映されていくのだと思います。
誰にでも初め、があります。最初のクラス、最初の振り付け、最初のソロ、最初の舞台、最初のコンクール…。
そうやって皆、少しずつ階段を上っていくのだと思います。
今回に限らず、各地の予選では、スペインのプロレベルにはまだまだ遠く届かない方も多くいらっしゃいました。それでもコンクールという目標のために努力したこと、コンクールでプレッシャーと戦って踊り抜いたことは必ず、その人今後に大きくプラスになってくると思います。
自分の振り付けではもちろん、いろんな先生の振りを自分で構成した場合、先生などにもらった振り付けをそのまま踊る時でも、自分はこの振り付けで何を伝えたいのか、を考えてみてはどうでしょう。何を伝えたいか、これを踊っている時は自分は何を感じているか。なぜ、この振りになるのか。
また、キャリアが浅い方はできるだけたくさんの踊りを見てください。習っている先生や教室の先輩だけでなく、来日アルティスタの公演にも足を運んで是非生で見てください。空気感で伝わるもの、得るものがあると思います。地方在住などでなかなかそのチャンスがない方は動画サイトでいろんな人の踊りを見てください。
自分が踊るとき、あの人のあの踊りのあの感じ、などというイメージを持つこともプラスになるのではないでしょうか。
さて来週はいよいよ決勝です。会場は東京、市ヶ谷のインスティトゥート・セルバンテスの地下にあるホール。誰が栄冠を手にするのか。どんな踊りを見せてくれるのか、ワクワクします。
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