2015年6月22日月曜日

スペイン国立バレエ新作初演「アレント」&「サグアン」その1

スペイン国立バレエ新作初演は彼らの本拠地ともいえる、マドリードのサルスエラ劇場で。

サルスエラ劇場は国立の劇場で、その名の通り、スペインのオペラ(そういわれてますが、歌じゃない台詞があったりもします)、サルスエラの公演などクラシック音楽公演が多く行われますが、そのほかにスペイン国立バレエや国立ダンスカンパニーなどの公演もほぼ定期的に行われています。たまにフラメンコも。その昔、ホアキン・コルテスやエバ・ジェルバブエナも公演しています。

さて国立バレエ。久々の新作初演です。
昨年12月にラファエル・アギラール振付けの「ボレロ」を初演しましたが、全部新作というのは2年前、マタデーロで初演された「ソロージャ」以来です。
 「ソロージャ」は画家ソロージャの絵にインスパイアされてスペイン各地の民族舞踊をまじえてみせる舞踊絵巻、という感じでありました。振付けはバレエ団監督のアントニオ・ナハーロをはじめ、フラメンコはマヌエル・リニャン、民族舞踊はアランチャ・カルモナ、というように複数の振付家でソロージャの世界をえがきました。来月バルセロナのリセウ劇場で上演されます。
その前は2012年の秋で「メデア」再演ともに新作「ホタ」などの公演が行われました。
そしてその前は監督就任初新作公演だった「アンヘル・カイド」「セビージャ組曲」 。2012年3月のことであります。監督就任4年目。さてどんな世界をみせてくれるのでしょうか。

「アレント」はアントニオが「僕のこれまでの作品の中で最もリスクが高かった作品」と語った、スペイン舞踊の作品。スペイン舞踊といっても、伝統的なものとは一線をかくしています。
つまり、昔ながらのバレエシューズで踊るエスクエラ・ボレーラやファリャやグラナドスの音楽で踊るクラシコ・エスパニョールなどを想像していると、まったくちがうものが現れる、ということなのです。これがスペイン舞踊?と思う人もいるかもしれません。 
反対にいうと、スペイン舞踊についてなんの知識もない方でも楽しめる舞台になっていると思います。
音楽は、アントニオ・ナハロ舞踊団の音楽を担当してきた(ナハロ振り付けのフィギュアスケートの音楽も担当しているそうです)フェルナンド・エゴスクエのオリジナル曲。アルゼンチン出身で1992年からマドリード在住の作曲家でギタリスト。このマドリード公演ではオーケストラの生演奏なのですが、そこで彼もギターをきかせました。
その曲をジョアン・アルベルト・アマルゴースが編曲。 彼はパコ・デ・ルシアやカマロン、ミゲル・ポベーダらともコラボーレションしている作曲家・編曲家、指揮者。

背を向けた男性ダンサーたち。舞台奥のライトが雲のようにみえる幕の方へとあがっていくオープニング。
深い緑のスーツの男性たちの迫力のるサパテアード。
ギリシャの衣装のようなたっぷりとしたスカートのワンピースの女性たちが夢のように現れる。男女9人ずつによる迫力のある群舞は国立バレエならでは。
円になったり線になったり、男女それぞれ、そしてペアになったりと、さまざまにフォーメーションをかえて、サパテアードとカスタネットをきかせてみせる「オリヘン(起源)」ミュージカルをみているような華やかさでまたたく間に観客を魅了していきます

幕が下がると、風がふんわりとその裾をゆらす。音楽も一転してゆっくりとしたロマンチックな感じに。そこに現れた男女がみせる、クラシコならではの美しい動き。「ルス(光)」と名付けられたこの場面は王道のパ・ド・ドゥ。アラベスクのような、クラシックバレエ的な動きとサパテアードのようなスペイン舞踊ならではの要素が混じり合ってつくりあげられた美しい場面。プリンシパルのフランシスコ・ベラスコの動きには余韻があり、色彩が、ニュアンスがあります。

3番目のシーンは「アニマ(魂) 」5人の魔女のような女たちによる曲。バタ・デ・コーラは巻きスカート状で外したスカートはマントンのように宙に舞う。
 
続く「アセチョ(待ち伏せ)」は ジャズへのオマージュ? 袖から次々に飛び出してくr弾さーたち。パーカッションがきいた音楽にのって、昔のビッグバンドジャズのようなポーズやインべーダーゲームを思わせるユーモラスな動き。面白い。ダイナミックな男性ならではの群舞。

そこに女性がのったブランコがおりてきて彼女のソロ「セール」へと続く。
白いバタ・デ・コーラのような衣装でゆったりと踊るのは第一舞踊手アローニャ・アロンソ(インマクラーダ・サンチェスとのダブルキャスト)。白いバタ・デ・コーラのガウンを脱ぐとオリーブ色の衣装で軽やかに。カスタネットをつかいつつ舞台狭しと自由に踊る。美しいソロだ。カスタネットの響き。跳躍、回転。現代スペイン舞踊ならではの曲かもしれない。

そのソロが終わり暗転し、再び照明が入ると椅子に座ったダンサーたち。フィナーレは椅子に座ってのサパテアードとカスタネットでのダイナミックな展開でみせてくれる。魔法のようにさまざまに変わるフォーメーション。よくそろって迫力のある群舞でみせてくれる。

40分はまさにあっという間。
古典的なスペイン舞踊の概念をくつがえすような、現代的な舞台作り。
ミュージカルや宝塚のファンなら絶対楽しめること間違いない作品。アントニオ・ナハロはスペイン舞踊をエンターテイメントとし、さらなる観客の獲得へと挑戦しているのだろう。
またスペイン舞踊ファンなら現在のトップダンサーたちならではのテクニックに舌をまくにちがいない。非常に複雑な振り付けをみごとにこなしているダンサーたち。スペイン舞踊をリードするスペイン国立バレエならではの作品だろう。
















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