2021年5月15日土曜日

ヘレスのフェスティバル9日目ホセ・マルドナード『ガレリア』

 18時半からのアタラジャ・ミュージアムでの公演はホセ・マルドナード。バルセロナ出身の踊り手で、カナーレスやラファエラ・カラスコ、ハビエル・ラトーレなど様々な舞踊団やタブラオで活躍。へレスのフェスティバルでも、マヌエル・リニャンのカンパニーでも頭角を現し、小島章司ハビエル・ラトーレの作品でも2回、ソロで踊っていますし、2019年、自身の作品『ボデゴン』を上演して、新人賞を獲得しています。『ボデゴン』静物画、そして今回の『ガレリア』画廊というタイトルからもイメージできるかもしれませんが、絵も彼の特技で、プロはだしな腕前。実際、『ボデゴン』の舞台でも絵を描いたし、先日のスペイン国立バレエ団のグラン・アントニオへのオマージュ公演には彼が描いた絵がバックに使われていました。

外出禁止/自粛期間にファリャ、ロルカ、ダリ、カルメン・アマジャを彼が描いた4枚の絵をモチーフにした新作は、音楽はオリジナル録音。

最初、舞台中央にある大きなスクリーンの後ろに立ち、そこに映し出されるものをなぞるように描いていくうちにビデオの中にも複数のホセが現れるというオープニング。凝ったよくできたビデオっでパフォーマンスとしては面白いんだけど、舞踊作品なのに、最初10分以上時折サパテアードを聞かせるものの、ほとんど踊らないっていうのはどうなんでしょうね。

©Javier Fergo Festival Jerez

ファリャの音楽をモチーフにしたバイオリなどでの音楽を黒無地でマントンで踊る。

©Javier Fergo Festival Jerez

ロルカの詩を歌ったフラメンコ曲や民謡を集めたみたいな音楽はサンドラ・カラスコの録音。これもオリジナル。ソンブレロを使って踊る。

©Javier Fergo Festival Jerez

ダリはルンバで始まり、低音ビートがドンドンと響くイマドキのダンスミュージックみたいなやつにパルマを組み合わせたような音楽で。そこに電子音やオペラのフレーズやダリの言葉が重なる。

©Javier Fergo Festival Jerez
カルメン・アマジャへは、カスタネットの録音に合わせて、鈴みたいなものがついた腕輪をつけて踊る。

そして最後はブレリアのソロ・デ・ピエ。

©Javier Fergo Festival Jerez


うーん、時折、オレ!が出るようないい回転とかも見せてくれるのだけど、才能溢れる“自分”の世界はなんか、閉じているようにも思えたというのが正直なところ。音楽も、照明も工夫して丹念に作っている作品だし、面白いのは面白いのだけど、なんかちょっとモヤモヤ。手放しで絶賛できない、というか。

それにしても電子音楽/コンテンポラリーと云うのは時代の流れなんでしょうかね。『ファンダンゴ!』やロハス・フラメンコ・ダンス・プロジェクトなどもそうだけど、みんな使うなあ。でもそのクオリティは様々。新しい試みをするにはいろいろ試行錯誤が必要なんですね、きっと。


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