2021年10月22日金曜日

ヘレスのフェスティバル プログラム発表!

ヘレスのフェスティバルのプログラムが発表されました。

スペイン国立バレエ団に始まり、地元ヘレスのメルセデス・ルイスやマヌエラ・カルピオ、アントニオ・エル・ピパはもちろん、アンダルシア舞踊団やロシオ・モリーナの公演もあればメルセデス・デ・コルドバ新作初演などなかなか盛り沢山。

前売りは11月2日開始だそうです。



◇第26回ヘレスのフェスティバル

217(木)、18(金)2030分『アントニオ100周年/ソナタス、ビト・デ・グラシア、エスタンパス・フラメンカス、レジェンダ“アストゥリアス”、サパテアード、ファンタシア・ガライカ』

[出]〈b〉スペイン国立バレエ団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

218(金)13時『レコルダンド・ア・ホセ・マヌエル・カバジェーロ・ボナル/ウナ・コパ・コン・ぺぺ』

[出]

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

219(土)1130分『レコルダンド・ア・ホセ・マヌエル・カバジェーロ・ボナル/ウナ・パセオ・コン・ぺぺ』

[出]

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

219(土)13時『アブリル』

[出]〈b〉ルシア・ラ・ピニョーナ、〈g〉アルフレド・ラゴス、〈c〉ぺぺ・デ・プーラ、〈piano〉アレハンドロ・ロハス・マルコス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

219(土)1830分『コモ・ウン・スエニョ』

[出]〈g〉ビクトル・モンへ“セラニート”、パコ・ビダル、ハビエル・コンデ

219(土)2030分『セグンダ・ピエル』

[出]〈b〉メルセデス・ルイス、ゲスト〈g〉サンティアゴ・ララ、〈c〉メルセデス・コルテス、〈perc〉ペリーコ・ナバロ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

220(日)13時『レベルソ』

[出]〈b〉マカレーナ・ロペス、

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

220(日)1830

[出]〈c〉パンセキート、〈g〉ミゲル・サラド

220(日)2030分『ヒラ、コラソン!バイランド・コン・ロルカ・エン・ラ・エダ・デ・プラタ』

[出]〈b〉カルメン・コルテス舞踊団、ロサ・サラゴサ、ゲスト〈b〉アレハンドロ・グラナドス、〈c〉アントニオ・カルボネル、カンクー、ソニア・ペレス、アマリア・アンドゥハル、〈g〉アルバロ・マルティネテ、ホセ・カルボネル他

221(月)1830分『2020年トゥリン・デ・ラ・フロンテーラのコンクール優勝者ガラ』

[出]〈b〉イレネ・ルエダ、伴奏〈g〉パブロ・フェルナンデス、〈b〉フアン・トマス・で・ラ・モリーア、伴奏〈g〉ヘスス・ロドリゲス、〈c〉マリアン・フェルナンデス、マヌエル・デ・ラ・ニナ、ホセ・エル・ペチュギータ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

2/21(月)2030分『モレ(ノ)モレ』

[出]〈b〉マリア・モレーノ、〈g〉オスカル・ラゴ、フアン・レケーナ、〈c〉ぺぺ・デ・プーラ、イスマエル・デ・ラ・ロサ、〈palmas〉ロベルト・ハエン

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

222(火)1830分『デ・ロス・プエルトス]

[出]〈b〉フアン・フェルナンデス、〈g〉ミゲル・ペレス、〈c〉ぺぺ・デ・プーラ、ミゲル・ラビ、マヌエル・ソト、〈perc〉ハビエル・テルエル

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

222(火)2030分『エン・ラ・クエルダ・フロハ』

[出]〈b〉アナ・モラーレス、〈g〉ホセ・ケベド“ボリータ”、〈perc〉パキート・ゴンサレス、〈コントラバス〉パブロ・マルティン

223(水)1830分『11ボルドネス』

[出]〈g〉サルバドール・グティエレス、ゲスト〈b〉アンドレス・マリン、ゲスト〈g〉アントニオ・レイ、〈c〉エンリケ・ソト、〈b〉エル・オルーコ、〈perc〉ダニエル・スアレス

[場]ヘレス サラ・コンパニア

223(水)2030分『ラ・フエンテ・デ・ミ・インスピラシオン』

[出]〈b〉マヌエラ・カルピオ、アントニオ・カナーレス、ラ・ファルーカ、ホアキン・グリロ、ヘマ・モネオ、ぺぺ・トーレス

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

224(木)1830

[出]〈b〉ベアトリス・モラーレス、〈c,g〉アグヘータ・チーコ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

2/24(木)2030分『フラメンコ、エスパシオ・クレアティボ』

[出]〈b〉アルフォンソ・ロサ、ゲスト〈b〉コンチャ・ハレーニョ、ゲスト〈c〉サンドラ・カラスコ、〈g〉フランシスコ・ビヌエサ、〈c〉イスマエル・デ・ラ・ロサ

225(金)1830分『アディオセス』

[出]〈b〉サラ・ヒメネス、マルティ・コルベラ、カルメン・ペレス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

225(金)2030分『ブエルタ・ア・ウノ。エクストラクト・デ・トリロヒア・ソブレ・ラ・ギターラ』

[出]〈b〉ロシオ・モリーナ、〈g〉ジェライ・コルテス

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

225(金)23時『テレモート、ウン・シグロ・デ・カンテ』

[出]〈c〉マリア・テレモート、ゲスト〈c〉ディエゴ・カラスコ、〈g〉ノノ・ヘロ、〈palmas〉マヌエル・バレンシア、マヌエル・カンタローテ、フアン・ディエゴ・バレンシア

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

226(土)13時『エル・アバンセ・デ・ラ・レオナ』

[出]〈b〉オルガ・ペリセ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

226(土)1830分『セール・バイレ。カピトゥロ1トリロヒア。へオグラフィア・フラメンカ・デル・ペンサミエント』

[出]〈b〉アンヘル・ロハス、〈c〉マリア・メスクレ、〈g〉ジョニ・ヒメネス、〈perc〉バンドレロ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

226(土)2030

[出]〈b〉ファルキート

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

226(土)23時『フルト・デ・ミ・ボス』

[出]〈c〉アナベル・バレンシア

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

227(日)13時『ムヘル・デ・ピエ』

[出]〈b〉サラ・カーノ、リカルド・モーロ、〈c〉アルベルト・フネス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

227(日)1830分『プーロ』

[出]〈b〉ラファエル・カンパージョ、〈g〉ダビ・カロ、〈c〉フアン・ホセ・アマドール、へスース・コルバチョ、エル・ペチュギータ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

227(日)2030分『ピエ・デ・イエロ』

[出]〈b〉マヌエル・リニャン、特別協力〈c〉ダビ・カルピオ、〈g〉フアン・カンパージョ、〈バイオリン、エレキギター〉ビクトル・グアディアナ、〈ドラムス〉ホルヘ・サンタナ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

227(日)23

[出]〈c〉ルイス・エル・サンボ、〈g〉ミゲル・サラド、〈palmas〉マヌエル・サラド、マヌエル・カンタローテ、ディエゴ・モントージャ

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

228(月)13時『ラ・ロサ・ムタブレ』

[出]コンパニア・ムサ・カルメン・フェルナンデス/〈g〉カニート、〈b〉マリアナ・コジャド、インマクラーダ・アランダ、ガブリエル・マティアス、〈c〉マティアス・ロペス“エル・マティ”

228(月)1830分『ギタリシモ』

[出]〈g〉ダニエル・カサレス、〈palmas〉カルロス・グリロ、ディエゴ・モントージャ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

228(月)2030分『アイレス・デ・ムヘール』

[出]〈b〉マヌエラ・カラスコ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

31(火)1830分『セナチェリア』

[出]〈g〉フアン・レケーナ、ゲスト〈b〉ヘスス・カルモナ、〈ベース〉バチ、〈perc〉マヌ・マサエド、〈palmas〉ロス・マカリネス

31(火)2030分『エントレ・ムヘレス』

[出]〈b〉ハビエル・バロン、ベアトリス・リベロ、ロシオ・バリーガ、〈c〉メルチョーラ・オルテガ、ナタリア・セグーラ、〈g〉ハビエル・パティーノ、サルバドール・グティエレス、〈perc〉アントニオ・コロネル、〈ベース、エレキギター〉ポポ、〈piano〉ヘスス・ラビジャ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

32(水)2030分『エル・マレフィシオ・デ・ラ・マリポサ』

[出]〈b〉アンダルシア舞踊団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

33(木)1830分『プラジェラス』

[出]〈b〉ロサリオ・トレド、〈piano〉ハビエル・ガリアナ、〈c、チェロ〉アルバ・アロ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

33(木)2030

[出]〈b〉アントニオ・モリーナ“エル・チョロ”、〈g〉エドゥアルド・トラシエラ、フアン・カンパージョ、〈c〉ヘスス・コルバチョ、イスマエル・デ・ラ・ロサ、〈perc〉パコ・ベガ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

34(金)1830分『トリアーナD.F.

[出]〈g〉ホセリート・アセド、ゲスト〈b〉ミゲル・エル・ルビオ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

34(金)2030分『シ、キエロ!』

[出]〈b〉メルセデス・デ・コルドバ、舞踊団(マリア・カラスコ、マルタ・ガルベス、クリスティーナ・ソレール、マリア・レジェス)、〈g〉フアン・カンパージョ、〈c〉ヘスス・コルバチョ、ぺぺ・デ・プーラ、特別協力〈c〉エンリケ・エル・エストレメーニョ、〈perc〉パコ・ベガ、〈palmas〉エル・オルーコ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

35(土)1830分『ハビエル・ラトーレ振付工房ファイナル』

[出]ハビエル・ラトーレのクラス受講者他

[場]ヘレス サラ・コンパニア

35(土)2030分『ボダス・デ・プラタ。25アニベルサリオ』

[出]〈b〉アントニオ・エル・ピパ、ゲスト〈b〉マヌエラ・カラスコ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

35(土)23時『ラ・コンフルエンシア』

[出]〈b〉エステベス&パーニョス舞踊団

[場]

[問]https://www.festivaldejerez.es

2021年10月18日月曜日

バルセロナ、エル・ドラード

バルセロナのエル・ドラードのフラメンコのプログラム。


◇バルセロナ エル・ドラド

1028(木)

[出]〈c〉エンカルナ・アニージョ、〈g〉アンドレス・エルナンデス“ピトゥケテ”

1111(木)

[出]〈b〉アンドレス・マリン、〈g〉ペドロ・バラガン

1216(木)

[出]〈b〉ハビエル・バロン、〈c〉ミゲル・オルテガ、〈g〉サルバドール、グティエレス

[場]バルセロナ サラ・サンダル

[問]www.eldorado-sfb.com


公演以外に講演などもありますよ。



 

2021年10月17日日曜日

ファルーコファミリーのクリスマス公演

 クリスマスシーズン恒例?のファルーコファミリーの公演。

お母さんに3兄弟、ファルーの娘でテレビの子供歌番組でいいとこ行ってたソレアちゃんも参加。

スペイン全国あちこちで公演の予定のようでございます。




◇ファルーコス・イ・フェルナンデス、ナビダ・エン・ファミリア

[出]〈b〉ファルー、ファルキート、ファルーカ、エル・カルペータ、〈c〉ソレア

1210(金)21

[場]アルバセーテ シルコ劇場

[料]3540ユーロ

[問]https://culturalalbacete.es/eventos/farrucos-y-fernandez/

1211(土)

[場]アリカンテ

[問]https://www.vbspaces.com

1212(日)

[場]デニア コンダード・クルブ

[問]https://condadodenia.com

1213(月)21時、20(月)21

[場]マドリード ヌエボ・アポロ劇場

[料]37.848.6ユーロ

[問]https://butacaoro.com/espectaculo/farrucos-y-fernandez-navidad-en-familia/

1215(水)

[場]カディス ファリャ大劇場

[問]http://laciudad.cadiz.es/programacion-gran-teatro-falla.asp

1217(金)21

[場]セビージャ カルトゥーハセンター

[料]3050ユーロ

[問]https://cartujacenter.com

1218(土)

[場]マラガ県トレモリノス アウディトリオ・プリンシペ・デ・アストゥリアス

[問]https://torremolinoscultura.es/edificiosculturales/detail/auditorio-municipal-principe-de-asturias

1219(日)21

[場]バダホス ロペス・デ・アジャラ劇場

[料]3545ユーロ

[問]https://teatrolopezdeayala.es

1221(火)2030

[場]バルセロナ BARTS

[料]3245ユーロ

[問]https://www.barts.cat

 

2021年10月14日木曜日

シルクロ・フラメンコ・デ・マドリード2021


 マドリードのフラメンコ・ファンの集まり、シルクロ。ペーニャ、という言葉じゃなく、シルクロ、サークルという名前を使っているところにペーニャとは違う存在としての自負を感じる。選りすぐりのアルティスタによる公演は、会員以外でも値段は高くなるけれど見ることができます。

なお下に記したコンサート以外にも、出版発表会や、パネルディスカッションなども行われているので興味のある人はこのポスターを拡大してみてください。

また11月と3月にはヘレスのフラメンコセンターに彼らが主催した公演の録音テープを届けるセレモニーがあり、11月にはペドロ・デ・ラ・フラグア、3月にはマリ・ペーニャの公演、そして5月28日にはウトレーラでイネス・バカン、ディエゴ・エル・カブリジェーロ、プリリの公演も予定されてます。


◇シルクロ・フラメンコ・デ・マドリード

10/14(木)22時30分

[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ、〈g〉マノロ・フランコ

10/28(木)22時30分

[出]〈g〉パケーテ

114(木)2230

[出]〈c〉エル・ペレ、〈g〉ニーニョ・セベ

1118(木)2230

[出]〈g〉サルバドール・グティレス

122(木)2230

[出]〈c〉ルイス・エル・サンボ、〈g〉ミゲル・サラド

113(木)2230

[出]〈c〉アルカンヘル、〈g〉ダニ・デ・モロン

127(木)2230

[出]〈g〉ホセ・デル・トマテ

210(木)2230

[出]〈c〉ヘスース・メンデス、〈g〉ミゲル・サラド

224(木)2230

[出]〈g〉フアン・カルロス・ロメロ

310(木)2230

[出]〈c〉ビセンテ・ソト、〈g〉マヌエル・バレンシア

324(木)2230

[出]〈g〉ラファエル・リケーニ

47(木)2230

[出]〈c〉ラ・ファビ、〈g〉クーロ・カラスコ

428(木)2230

[出]〈c〉サイラ・マレーナ、〈g〉アントニオ・マレーナ・イーホ

512(木)2230

[出]〈c〉ドローレス・アグヘータ、〈g〉ドミンゴ・ルビチ

526(木)2230

[出]〈g〉ジェライ・コルテス

69(木)2230

[出]〈c〉ダビ・パロマール、〈g〉ラファエル・ロドリゲス

623(木)2230

[出]〈g〉ダビ・デ・アラアル

[場]マドリード マドリード・フラメンコ劇場

[問]http://www.circuloflamencodemadrid.com


◇第3回シルクロ・フラメンコ・デ・マドリード・フラメンコ祭

1216(木)2230

[出]〈c〉ルイス・ペーニャ、エル・プリリ、フアンフラ・カラスコ、〈g〉ルベン・ララ、〈b〉パコ・ベガ

1217(金)2230

[出]〈g〉セラニート、パコ・ビダル、ハビエル・コンデ

1218(土)20

[出]〈c〉フアナ・ラ・デル・ピパ、〈g〉マヌエル・パリージャ、〈palmas〉チチャロ

[場]マドリード マドリード・フラメンコ劇場

[問]http://www.circuloflamencodemadrid.com



2021年10月9日土曜日

セビージャ、ギター祭 リカルド・モレーノとラファエル・ロドリゲス

セビージャ、ギター祭の開幕を飾ったのはフラメンコのコンサート。
レブリーハのリカルド・モレーノとセビージャのラファエル・ロドリゲス。 
スタイルも経歴も全く違うギタリストが、マイクなしでの公演に挑みました。

そう、このフェスティバルではマイクなしなんです。去年のディエゴ・デ・モラオもそうでした。マイクなしの公演はヘレスのビジャビセンシオでのカンテやギターのリサイタルでも行われているけれど、劇場で、というのはとても珍しいのでは? クラシックのコンサートのように反響板を舞台に配してはいるのだけれど、普段マイクに慣れているギタリストにとっても観客にとっても、ちょっとドキドキするような体験かも。

リカルド・モレーノは、伝統のフラメンコだけに安住してしまうのではなく、自分の表現を求めて、ジャズなど他のジャンルのギターの影響も受けているのでありましょう。シギリージャ、ソレア、と演奏していても、その音がジャズギターというか、アコースティックギターのように聞こえたりもして。繊細に、自分の心のひだをたどっていくようなそんなギター。


休憩もなく続いて登場したラファエル・ロドリゲスの音は太く、フラメンコからぶれない。奇しくもリカルドとおなじくシギリージャで始まる。マラゲーニャにはレクオーナのマラゲーニャやメキシコの歌ジョローナを混ぜるなど、ポピュラーソングのメロディを入れても、フラメンコに聞こえる。そういえば、昔、ミラグロス・メンヒバルの伴奏をしているときも、ある愛の詩のメロディーが出てきたりしたなあ。そう、舞踊伴奏の名手として知られるからか、踊りが見えてくるようなグアヒーラ。ロンデーニャ、ファルーカ。愛娘イサが繊細に優しく、カホンとドラムで刻むリズム。今のフラメンコギターソロの流れとは違うのかもしれないけれど、昔風の音で、独自の世界をしっかり描いていく彼のギター。大好き。

いやあ、良き夜でございました。





 

2021年10月8日金曜日

アンダルシア舞踊団『アントニオ、アルテの100年』

今年はアントニオ・ルイス・ソレール、アントニオ、バイラリンの生誕100周年ということで、4月に国立バレエもその初代監督であるアントニオへのオマージュ作品をセビージャで初演、今週末にはマドリードでも上演しますが、アンダルシア舞踊団もセビージャ生まれの巨匠へのオマージュ公演を6月、グラナダのフェスティバル、国際音楽舞踊祭で初演。1952年に、このフェスティバルのこの公演は野外ででしたが、ようやくセビージャのセントラル劇場で、7日から3日間の公演となりました。

彼の人生を大きく(かなり大雑把に、ですね)三つに分けて、幼くして舞台デビューしたチャバリージョス・セビジャーノス(セビージャの子供たち)時代はエスクエラ・ボレーラ、アメリカで活躍したアメリカン・ドリーム時代はクラシコ・エスパニョール、そしてフラメンコの『ドゥエンデ・イ・ホンドゥーラ』という構成。

なお、写真はグラナダ公演の時のものです。

ボレーラは現監督ウルスラ・ロペスの妹、タマラの振付。正直、技術的には国立バレエに劣るけれど、振付がオリジナルで、ボレーラの伝統的な振りだけでなく、新しい感覚のもあって楽しい。いやでもほんと、バレエのテクニックに加えてカスタネットやボレーラ独特の姿勢とか、難しいよね。健闘してました。



でもアントニオ振り付けの『プエルタ・デ・ティエラ』はうーん、な出来かも。この作品、スペイン国立バレエでもよく上演されているので、その印象があるからやっぱ比べちゃう。アイーダ・ゴメスとホセ・アントニオのペアとか。今回踊った二人は、もちろん学校では学んだんだろうけど、多分、経験があまりないんじゃないかなあ。って、ボレーラの作品、劇場で公演するとこなんて国立の他はアイーダやダニエル・ドーニャのカンパニーくらいしか思い浮かばんしなあ。仕方ないことなのかも。

クラシコもやっぱ国立と比べるとうーんなのだけど、健闘。女性たちの華やかな衣装と男性のトラヘコルト。伝統的な衣装ってやっぱいいなあ。ザ・フラメンコって感じ。
ウトレーラ出身でオランダ在住のマリア・マルティンのギター(ソロンゴでは歌も歌います)がようございました。生演奏はいいね。


そして男性三人での『アストゥリアス』がよかった。三人がそれぞれ、カパ(マント)、カスタネット、帽子と違う小物を手にとって作り上げるアントニオ的な世界。

フラメンコのパートは、アントニオがカパに帽子で踊ったカーニャをそのまま再現。音楽もかつてのまま、という感じで、古風でよかったです。いや、古風ではあるんだけど、元々のクオリティが高いから古臭くはなってないのもすごいなあ。

続くアンダ・ハレオとソロンゴは日本でも知られているポピュラーな曲をそのままストレートにするのではなく、アンダ・ハレオはセラーナ、カラニェ帽を被ったウルスラがソロで踊るソロンゴはナナに始まり、ティエントなどと組み合わさっているのがいい。ウルスラはやはり動きが舞踊団メンバーのとは段違い。ベテランの風格。

バタ・デ・コーラの女性と男性のデュオでのアレグリアスもアントニオの時代のフラメンコに目配せしながら、での新しい振り付けだけど、よかったです。アンダルシア・フラメンコ舞踊団というだけあって、フラメンコになると生き生きしているなあ。



最後はベルディアーレス。これが華やかでエネルギッシュで楽しくて、アゲアゲで閉幕。
終わりよければすべてよし、だよね。
終演後ウルスラはベルディアーレスで終わるのはアントニオがやってたことと言ってたけど、すごくいいアイデアだと思う。単なる民謡系に終わらないパワーがある。


というわけで、国立バレエに比べるとずっと人数も少ないし、予算も少ないのかもしれないけど、よかったです。こういう公演こそ、アンダルシアの子どもたちみんなに見てもらいたい。アンダルシア州の舞踊団なんだし、なんかそういうのできるんじゃないかなあ。楽しいし。無理ならせめて、男性三人のアストゥリアスとアレグリアスだけでも見せてあげたい。


プロモーション用ビデオ貼っときます。




2021年10月6日水曜日

セラニート

セビージャでのフラメンコ・ビエネ・デル・スールの閉幕はベテラン・ギタリスト、セラニート。1942年生まれの79歳。舞台から引退するということで現在、スペイン各地で公演中。
その一環としての、つまり引退公演です。
マドリード出身の彼ですが、トリアーナ・プーラのペルロが親友で、ロシオ巡礼に何度もトリアーナの信者組合と出かけたり、とセビージャとは縁が深く、大切な公演のひとつ、だそう。本当はこの公演シリーズの開幕を飾るはずだったのですが、持病の悪化で手術を受けることなり、延期となったのです。

公演は、彼の伝記の著者、ホセ・マヌエル・ガンボアの短いけれど愛と敬意に満ちた紹介で始まりました。パコ・デ・ルシア、マノロ・サンルーカルと並び称され、現代フラメンコの礎を築いたセラニート。パコがマドリードに上京する時セラニートに会えると楽しみにしていたこと、マノロも多くをセラニートに学んだことなどにも触れました。

『カソルラ』というタイトルのタランタに始まります。1994年に発表の『エコス・デ・グアダルキビル』に収録された曲。ほぼ彼のソロなのですが、決まりどころにパコ・ビダルとハビエル・コンデがサポートするように入ります。最後のタンゴの部分ではもう少し弾きましたが、トリオで演奏しているのではなく、二人はあくまでもサポートという感じ。
ソロでソレア。『ジャ・エストイ・エン・トリアーナ』1981年発表のアルバム『ミ・ブエルタ・デル・ロシオ』というロシオ巡礼をテーマにしたアルバムに収録された曲。
曲と曲の間にセラニートが曲名を言ってくれるのがうれしい。
『ラ・ファルーカ・ジョラ』というファルーカ、『ポル・ラ・ベラ・デ・ヘニル』からは歌のエバ・ドゥランも入ります。友達の早世した息子さんに捧げた曲『ダニ』はルンバやブレリアの形も入る自由な創作。想いが伝わってくる。セビジャーナス『アディオス・ア・トリアーナ』そして『アグア・フエゴ・ティエラ・イ・アイレ』。ここでギタリストやパーカッションのソロも入り、ちょっとパコの『シルヤブ』のセラニート版的な感じ。

本人が舞台の上からもコメントしていたように、手術から間も無く、まだ背中や足の痛みに悩まされていて、そんなときのリサイタルでナーバスにもなっていたそうで、本人的に満足はいかなかったのだろうけど、それでも超絶テクニックで鳴らした彼の片鱗は健在で、音の美しさ、キリッとした感じ、組み合わせの妙にうなりました。なんていうんだろう、枯れることなく今も弛まずに追求しているという感じ。病気や年齢のこともあって自分がイメージした通りに演奏できないのであろうことはわかるけれど、でもそのインテンシオン、こうしたいというのが見えてきて、そこにも感動するというか。

伝説的存在だけのことはあります。



なお、公演の最後にはアテネオ・デ・トリアーナという団体のカテドラ・デ・ギターラ・フラメンコの授賞式も行われ、メダルが贈られました。おめでとうございます。