12時からは18世紀のバロック様式の教会サン・ルイス・デ・ロス・フランセセスを会場にマイクなしの生音でアレハンドロ・ウルタードのソロ公演。
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| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
フリアン・アルカスのソレアに始まり、タレガのグラン・ホタ、ラモン・モントージャのロンデーニャ、ニーニョ・リカルドの『セビージャの思い出』と、フラメンコギターソロの歴史を俯瞰するようなプログラム。その後、自作のファルーカやアレグリアスも演奏。
繊細な彼の演奏はマイクなしでは耳を澄まさないと聞き取りにくいところもなかったではないけれど(外の犬の声が聞こえてきたりするので)、簡略な解説を交えながらで楽しめました。
モントージャのロンデーニャも彼が演奏するとより繊細で詩的に聞こえるのも面白いなと。
後半、古楽器奏者エンリケ・ソリニスとテオルボ(だと思う)と共演し、エンリケのソロで、ビウエラ・デ・マノ、バロックギターの演奏があり、最後はバロックギターとアレハンドロのデュオでの曲で幕。
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| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
フラメンコギター、ギターの歴史を振り返るセミナーのような公演でありました。クラシックもフラメンコも演奏するアレハンドロならでは。古楽器のソロにも、スペイン民謡的なモチーフがありフラメンコにも通じるな、と思ったり(以前もセビージャ・ギター祭で聴いた時同じような感想を持った記憶)。クラシックギターとフラメンコギターは確かに技術とか色々違うところもあるけれど、元は一つで、遠くて近いものなのだと再確認したことでした。
そこで20時からのマエストランサ劇場でのカニサレス・シンフォニコ。フアン・マヌエル・カニサレス自作のフラメンコギターとオーケストラのための2曲をセビージャ交響楽団と演奏するというもの。ビエナルにオーケストラとの共演作品が登場するのはこれが初めてではなく、1992年のマノロ・サンルーカル『アルヒベ』があるし、2008年ビエナル開幕公演でも市役所前の広場でマノロが『メデア』を演奏しています。ただ同じマノロでも、1996年『ムシカ・パラ・オチョ・モヌメントス』、2016年『メデア』の二つの公演は直前にキャンセルになってしまったことからも、フラメンコギタリストのオーケストラとの公演の難しさは想像に固くありません。
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| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
フラメンコギターのオーケストラ曲として、マノロの『メデア』と並んで有名なのはビセンテ・アミーゴ『ポエタ』ではないかと思うのですが、『ポエタ』のオーケストラ編曲はキューバ人作曲家レオ・ブローウェルによるものなのですが、こちらはこちらはカニサレス本人が全てを手がけているというのがすごいところです。プログラムにはパコ・デ・ルシアに捧げた捧げた『アル=アンダルス協奏曲』、ホアキン・ロドリーゴに捧げた『地中海協奏曲』の順で掲載されていたので、その順で演奏されるものと思って聴いていたのですが、あれ、第一楽章ブレリアなはず?パルメロいないな、と不審に思いつつも第三楽章がタンギージョぽい二拍子系だったのでそうなのか、と何となく納得していたのが、休憩で友達と話すうち、みんなでやっぱおかしいということになり、確認したところ、やはりこちらが『地中海協奏曲』だったとのことで二部開演前に曲目のアナウンスがありました。パルメロでチャロ・エスピノ、アンヘル・ムニョスも登場。オーケストラとともに、楽譜を前に、リズムを刻みます。そのパルマが場所によっては聞こえにくかったそうですが、私のいた端の席ではよく聞こえました。ただ、これはクラシックのホールなどでよくあることなのですがクラシックには必要な残響が、フラメンコのキレの良さを消してしまうようで、フラメンコらしさは半減されてしまっていたようにも思えたのは残念なことでした。パコへの思いが描かれた作品は、クラシックとフラメンコを行き来するカニサレスらしさを感じるものでした。大作。2曲が終わったので終演と思い、退席した人もいたのですが、ここから、チャロによるカスタネットのソロから、アンヘルのサパテアードのソロへ。最後に少し、ギターも入り、これはアンコールだと思っていたのですが、どうも違ったようです。うーん、わかりにくい。観客にはプログラムしか手掛かりがないのでちゃんと書いておいて欲しかったな、と思ったことでした。
なお、この後、23時から川沿いで行われた公演でも出演者名だけで演目演者のプログラムがなく、照明が暗い中始まった時もこの声はボケロン?パロン?と想像するしかなく、照明がついた後もロメリートが歌っている時、あれ伴奏しているのは息子じゃない? 名前、プログラムにないよ、とまるでなぞなぞ大会となったのでした。紙じゃなくデジタルだから直前の変更とかも臨機応変に対応できそうなんだけど諸々の事情でそうもいかないんでしょうね。で、観客は困る、と。
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| Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León |
ちなみに音とし94歳のロメリート、お年のせいで多分耳が悪くなっているのでしょう、音程こそよくなくなってきていますが、声量十分で、力もあってびっくりしました。スペインは日本に次ぐ長寿国と言われますが、フラメンコもそうなんですね。1994年のビエナルで『ロス、ベネラブレス』という公演があって、フェルナンダやアデラ・デ・チャケータ、エル・ネグロ・デル・プエルトらが出演したのを思い出します。皆、亡くなってしまいました。ベテランは機会があれば迷わず聴いておいた方がいいですね。