マドリーの国立サルスエラ劇場でスペイン国立バレエ団の公演初日に参戦。
前半はラファエラ・カラスコ振付の新作、後半はバレエ団の古典的名作『メデア』というプログラム。ラファエらの新作は当初、『トリアーナ』というタイトルで告知されていたので、トリアーナのフラメンコぽいのやるのかな、ラファエらはセビージャの人でマティルデ・コラル門下だし、って思っていたのですがトリアーナはトリアーナでも、、アンダルシア・ロックを代表するグループのトリアーナ(wiki)の方だったのでありました。ええ? いや、wikiにもあるように、フラメンコとプログレッシブロックを合わせた音楽と言われていますし、実際、ハビエル・ラトーレによる、トリアーナの曲をフラメンコで踊った『ノンブレ・デ・ラ・ロサ』という作品(YouTube)もありますし、これが初めてというわけではないのですが。
客席に入って手渡されたプログラムを見ると、曲名もなく、28人の出演ダンサー名がずらずらと書いてあるだけ、ということは群舞中心?と考えつつ開幕。
舞台後方に足場のようなステージが組まれ、上手にエレキギターとギター、下手にドラムス。真ん中に歌手、アンヘレス・トレダーノ。いつもの彼女のステージのようにサンプラーを手元に置いてボーカルをリピートしたりしつつ歌う彼女の衣装は黒のロングドレス、そして登場するダンサーたちも皆黒い衣装。でも一人として同じ衣装ではない。一つのかたまりのような群舞で同じ振りつけを踊っていたかと思うと、そこから跳んで頭を出すものがいたり、また気がつくと一人一人違う動きをしていたり。個性のある個が集まって集団となっている。ソロでの場面が全くないわけではなく、グループと離れてちょっとソロのように踊ったり、何にかが一歩前に出て踊るということもあるのだけどそれも集団あっての個というか、一人だけ目立ちすぎるということはないのであります。
トリアーナの曲には詳しくないのだけど、代表曲『セ・デ・ウン・ルガル』、『アブレ・ラ・プエルタ』など、でもオリジナルの通りそのままに歌うのではなく、メロディ歌詞はそのままでも今風にアレンジしているのもいい。ロックコンサートのような舞台奥から客席に向かっての明かりやムービングライトなども雰囲気はあるんだけどハードではなくどこか上品。
ラファエラはコンテンポラリー的な要素もないではないのだけど根本がムイ・フラメンコでフラメンコの枠から大きく外れるようなことがない。中盤の黒いバタ・デ・コーラ、男性によるリフトなど、フラメンコにはないこともやるんだけど、でもバタに敬意を払っているというか、バタをけがしたり、素っ頓狂なことはしないのです。
あとで本人と話していたら、上から見ると、渦のように動く群舞の軌跡、見せる形が見えるそうで、もう一回上の方から見たいなあ、と思ったことでした。
オーケストラ、リズム、タイミングがもう少し良くなるといいのだけど、ギターソロのアレハンドロ・ウルタードが素晴らしかった。私はマノロ・サンルーカルの生演奏伴奏も見ているけどそれと肩を並べると言ったら言い過ぎ?でも彼の素晴らしい演奏はマノロをより偉大にしていると思います。
長いこと、いろんなメデアを見てきたから、いろんなシーンでいろんな踊り手たちの顔が、姿が二重写しのようになって感慨深かったです。またインマクラーダ・サロモンとマティアスのメデアが日本に行くといいなあ。
