2026年5月25日月曜日

ラファエラ・カラスコ『ウモ』

ウモとは煙のこと。タバコ工場で働く女工たちを描いたラファエラの新作は今年、マドリードで初演されたばかり。

オペラやバレエで世界に知られる『カルメン』はセビージャのタバコ工場の女工だったという。男を破滅させる奔放な女賭して描かれたカルメン。実際の女工たちは、男尊女卑の時代に、治安警察に見張られながらも、待遇改善を求めてストをしたり、職場に託児所を作ったり、という女性労働者の草分け、先駆者。想像上の人物であるカルメンと、実際に工場で働いていた女たち。ビゼーの音楽を換骨奪胎し、元の音楽がわかるけれど微妙に違うメロディになっていたり、後半で闘牛のイメージを踊ったりなど『カルメン』的なものもあるのだけれど、胸が熱くなるのは、女たち、ラファエラと6人のダンサーたち、カンタオーラ、ヘマ・カバジェーロとクラシック歌手たちが一緒に手を動かしながら歌う場面。これはスペイン、カスティージャ地方に伝わる、手や机を叩いてリズムを取りながら歌われるパネデーラス、女パン職人たち、と呼ばれるものをアレンジしたもの(だと思う)や、


©︎ Guillermo Mendo/Teatro de la Maestranza

最後の最後、ヘレスのクリスマスソング『ロマンセ・デ・レレン、レレン』のメロディで全員で歌うところ。シスターフッドというか、女性たちの連帯が伝わってくる場面だと思う。

ラファエラの高い美意識と、長年彼女の作品の照明を担当するグロリア・モンテシノの腕前で、とにかく全ての場面が美しく、雰囲気がある。床の模様、天井の高い建物というのがわかる大きな格子窓、

©︎ Guillermo Mendo/Teatro de la Maestranza

女工たちが愛用したというマントン、

©︎ Guillermo Mendo/Teatro de la Maestranza



葉巻…

©︎ Guillermo Mendo/Teatro de la Maestranza

といったタバコ工場ゆかりのイメージはそこかしこにあるし、音楽でもビゼーの曲だけでなく、タバコの産地キューバゆかりのグアヒーラが歌われるなども。フラメンコ、クラシック、民謡、機会音のようなものなど音楽も入り組んでいれば、踊りもコンテンポラリー的な要素もあれば、純フラメンコ的なものもあるという複雑な構造で、いろんな要素があるので全部をちゃんと理解していたかというと自信がない。『カルメン』のような明確な物語があるわけではないというのもあるだろう。ラファエラが椅子の上に立って、女工たちに関する当時の新聞記事をメガフォンで読み上げるシーンとか、カルメンのイメージでの闘牛のところとか、わかりやすい部分もあるのだけれど。彼女の他の作品に比べてもそれぞれの場面の意味など考え出すとわからなくなる。いや考えずに踊りを楽しめばいいだけなのかもしれないけれど。


©︎ Guillermo Mendo/Teatro de la Maestranza


6月10日からarte.tvで観ることができるようなので観て確認するつもり。

あとタバコ女工を語る上では避けて通れなかったのかもしれないけれど、カルメンは音楽もその要素も全て無視でも良かったようにも思ったりしたことでした。

とにかく美しい作品なのでWEB公開されたらまたお知らせしますね。



2026年5月24日日曜日

アンダルシア・フラメンコ『バイランド・アル・カンテ』

 アンダルシア州のフラメンコ公演シリーズ。金曜にエバ・ジェルバブエナで開幕。そして土曜はピニョーナ、ペペ・トーレス、アデラ・カンパージョ、ラファエル・カンパージョと4人の踊り手が出演する、ガラ的な作品。ピニョーナ以外の3人は作品作りが得意とは言えないけ実力派。90年代以降、自分で作品を作らないとフェスティバルなどへの出演の機会がない、という傾向が顕著になっていて、踊りはすごいんだけど作品作りに意欲的ではない踊り手達が影に隠れがちになるという状況が続いている今、そんな踊り手たちを集めて一つの作品にまとめる、というのは意義があることだと思います。

幕が上がると後ろ姿の4人の踊り手と3人の歌い手がそれぞれに上からの照明があたり、歌に合わせて、踊り手が順番に前を向き向き、一人づつ踊り継いで行く、という、かっこいいオープニングと、最後、全員が半円に座ってフィエスタのように踊るブレリア以外は、それぞれのソロというガラ公演的な構成なのですが、トップバッターのアデラは下手、ラファエルは上手、ピニョーナは舞台全体を大きく使い、ぺぺは真ん中と、踊る位置、歌い手の位置も変わり、また、曲から曲へのつながりもスムーズで“作品”の形がちゃんとできているという感じ。また舞踊を支える歌い手3人、ペチュギータ、マヌエル・デ・ラ・ネナ、イスマエル・デ・ラ・ロサも若手ながら実力派。ギターはヘスス・ロドリゲスとホセリート・ペレス。

アデラのソレア・ポル・ブレリアはセビージャ的。マティルデ・コラルの女性らしい優雅さではなくホセ・ガルバン系というか、もっと雄々しいというか、仄暗く、どうだ!っていう強さがある。ラファエルのティエントは抜きが絶品。タンゴではトリアーナ感満杯のマノロ・マリン系。ピニョーナはタラントを舞台いっぱいに踊る。タブラオが主な舞台である3人よりも劇場公演が得意なのだろう。ぺぺはソレア。彼の踊りにも、ラファエル・エル・ネグロのようなセビージャのヒターノたちの舞踊の系譜が感じられる。それぞれ個性が違うから見飽きない。

最後のブレリアで、踊り始めたアデラにラファエルが加わり、ラファエル一人のところにぺぺが加わるというブレリアも良き。最初の二人のソロの繋ぎのところもそうだけど、この兄妹の絡み、すごくいい。またラファエルとぺぺ、二人で踊るのはグイトとマリオを彷彿とさせてこれもかっこいい。



終演後、劇場のバルでは誰がいいとか好きとか話も弾んだのでありました。

またヘレスのフェスティバルとかでやってくれないかな。でもギターはフアン・カンパージョがいいな。(この日は他の仕事だったらしい)


2026年5月23日土曜日

ノエリア・ルイスen トーレス・マカレーナ

 いやあ、良かった。行って良かった。5月のセビージャはフラメンコ公演が目白押しで、22日金曜はセントラル劇場でエバ・ジェルバブエナ公演があったのだけど、エバの同タイトルの作品はヘレスでも観たし、それよりセビージャでソロで踊るのを観る機会がない、ノエリアを観たいと思ったのでありました。

2021年劇場の客席も1席開けて座るようなコロナ禍の中、セビージャのマエストランサ劇場で初演された『エスタンパス・フラメンカス』の中のバタ・デ・コーラにマントンでのカラコーレスの中でソロを踊っていたダンサーが素晴らしく、でも誰かわからず、マリベル・ガジャルドに名前を聞きに行ったのが、彼女を知るきっかけでした。

1997年マラガ生まれ、地元のコンセルバトリオで学び、国立入団は2019年、ルベン・オルモ監督になってのオーディションで、というほぼ新人にも関わらず立派なソロを踊っているということにびっくり。かたちの美しさ、バタをはじめとした確かな技術、押し出しの良さ、とどれをとっても一流だったのです。

2021年4月のスペイン国立バレエ団公演でのノエリア

その後も、国立バレエ団公演で、プリンシパル、エステル・フラードが踊っていた役や、ゲストプリンシパルを務めたパトリシア・ゲレーロが主演した『ラ・ベジャ・オテロ』を踊るなど、フラメンコ作品に欠かせない存在として活躍しています。マドリードではタブラオにもよく出演しているようですが、セビージャでこれまで彼女のソロを観る機会は私が知る限りありませんでした。

公演は日本でもお馴染みパコ・イグレシアスのギターソロでのマラゲーニャに始まり


国立バレエの歌い手でもあるガブリエル・デ・ラ・トマサのカンテソロでソレア。これが良かった。トリアーナのそれあの難しいメロディラインを正確にしかも感情を込めて辿っていくのに引き込まれる。

これまで何度も、舞踊伴唱で、ソロで、と聴いているんだけど、一番良かった。

舞踊はタラント。シンプルな衣装(茶色系とかならより良かったかも?)で抑制されたタラントらしい表現を最初から最後まで筋を通す。芝居がかっているというわけじゃないのだけど、彼女自身がタラントという曲の中に入り込んで踊っているという感じ。

そう、これこそタラント!私が観たいのはこういうタラント。オーソドックスで形の美しさが天下一品。




休憩を挟んでの二部はカンテソロでファンダンゴから

一曲づつ歌い、フアン・ホセ・アマドール“ペッレ”がギタリストに調性を変えて歌った後、客席からガブリエルの父、ホセ・デ・ラ・トマサがひとふし。豪華な飛び入り出演。


そしてアレグリアスはバタ・デ・コーラで。



バタのコントロールも絶品。




ペーニャの楽屋は下手側にあって、そこから客席の通路を通って舞台に出ていくのだけど、その舞台に向かう足取りからもう舞踊になっているのが素晴らしい。おp取手によってはつかつかと普通に歩いてきて舞台に上がってから踊りが始まるのだけど、舞台へあがる足取りもタラントならタラント、アレグリアスならアレグリアスのアイレになっている踊り手は本物のアルティスタだと思うのであります。

この日はいつもより観にきている踊り手が少なかったのは本当に残念だったけど、フィン・デ・フィエスタには水曜日の主役マヌエルが舞台に上がりました。


あー、昨日のマヌエラといい、やっぱいいフラメンコ観ると元気になりますね。





2026年5月22日金曜日

マヌエラ・カラスコ『マヌエラ』

カハソル財団のフエベス・フラメンコス、今季のトップバッターはマヌエラ・カラスコ。

©︎ Remedios Malavárez/Fundación Cajasol



言わずともがなの女神マヌエラ様カラスコ様。マヌエラエラはムーチャ・マヌエラ。そこにいるだけでフラメンコ。我々下々の民はその足元にひれ伏すしかない。

何故かエンリケ・エストレメーニョが不在で、歌はマヌエル・タニェとフアン・フアネロだったんだけど、夫ホアキン・アマドールを亡くして以来、ペドロ・シエラのギターでの伴奏でも彼女は彼女であり続けるように、彼女の舞台に不可欠な存在であるエンリケがいなくとも、彼女のアルテには一点の曇りもない。

そりゃ、より年並み、往年よりは背筋が落ちてるかもとか、思う瞬間がないではないのだけど、それを補ってあまりあるエネルギー、パワー、存在感、カリスマ、アルテで、観ているこちらもパワーアップされるのだ。

オープニングはハレオ。マントンも衣装も豪華で(頭の花はもう少し控えめでもいいようにも思うけど)、ただそこにいるだけでも豪華な存在であるマヌエラがより際立つ。

©︎ Remedios Malavárez/Fundación Cajasol


セビージャの若手、ペテーテとミゲル・エル・ルビオが、かつてのイスラエルとラファエル・カンパージョ、マヌエル・ベタンソスとアンヘル・アティエンサのようにマヌエラに従者のように脇にひかえ、求めに応じリズムを支える。

タニェのマラゲーニャ(任に合わない気が)に続きペテーテのソレア・ポル・ブレリア。やる気満々。
©︎ Remedios Malavárez/Fundación Cajasol



フアンのティエントに続きルビオのアレグリアス.これがよかった。詰め込みすぎず、いい間合いをとってバシッと決める。緩急の呼吸はフラメンコに必須。

©︎ Remedios Malavárez/Fundación Cajasol


そして最後はこれ以外にはないよね、マヌエラのソレア。フレコが体を斜めに横切るようにつけられた真紅の衣装。凝った照明や装置も何もいらない。彼女自身がアルテそのもだからそれだけで極上の空間となり、最高のフラメンコ。





なんかもう偉大すぎて言葉もない。67歳。引退って話もありましたが、気が向いた時だけでいいので舞台お願いします。マヌエラのフラメンコ、ずっとみていたい。


2026年5月21日木曜日

マヌエル・モンテスen トーレス・マカレーナ

 今年、ヘレスでのエステベス/パーニョス公演に出演していたマヌエル・モンテスを観にペーニャへ。

1997年コルドバ生まれ。地元の教室やコルドバとマドリードのコンセルバトリオに学び、エステベス/パーニョスが監督を務めていたアンダルシア舞踊団などで活躍し、現在はセビージャのタブラオなどに出演している実力派。

真っ暗な中舞台に進み、舞台中央の椅子に座ってギターを弾き始めるフアン・アンギータと背中合わせで座り、ギタリストの肩越しにのぞいたマヌエルが満面の笑顔だったので、あ、アレグリアスだな、と。予想的中。

丈の短いジャケットに、腰高のズボンというアンダルシアの伝統的な衣装で踊り始める。細かいサパテアード、力強いゴルぺ。


ギターソロ
終わるとギタリストは引っ込み、歌い手二人、ペーニャのレギュラー?と思えるくらい最多出演のガジとラビ。トナー。そこへ黒い衣装に着替えたマヌエルが登場してマルティネーテ。

曲を普通に踊るというのはいつもタブラオでやっているから、一人だけの舞台ということでテアトロみたいにしたかったのかもしれません。

凝った?サパテアードとかうまい。若いパワーで、ぐいぐい行きます。

休憩を挟んだ二部はカンテソロに始まり、ソレア。


この日の3曲のうちでは一番踊り慣れているのか曲としてのまとまりもいい感じかな。若い人あるあるで、色々詰め込みすぎなところはあるけれど、あまり動かずに踊ることもできてくればもっとよくなるように思ったことでした。地力はあるから。

フィン・デ・フィエスタでは来週水曜日に踊るウーゴ・アギラールも踊っています。ヘレスでの兄弟公演も良かったから期待大!




2026年5月20日水曜日

ビエナル記者会見ロペ・デ・ベガ劇場公演出演者

 5月19日、ロペ・デ・ベガ劇場前のレストランにて、今秋のビエナルで、ロペ・デ・ベガ劇場で公演を行うアルティスタたちによる記者会見/談話会が行われました。



セビージャ市立のロペ・デ・ベガ劇場はマエストランサ劇場ができるまではバレエもクラシックもジャズも全部ここで行われていたたセビージャを代表する劇場。1929年セビージャで行われたイベロアメリカ博覧会のために作られ、長年、さまざまな公演が行われてきました。もちろんフラメンコ公演も多く行われ、ビエナルも1980年の第1回から主な会場の一つとしてあまたの感動を与えてくれましたが、2023年秋より改装工事のため閉館しており、24年のビエナルでは、会場として使われることがありませんでした。現在も工事は続いていますが進捗状況は良好とのことで、9月12日、ピアニスト、ドランテスの公演でこけら落としとなる予定だそう。他にもアルカンヘルやアントニオ・レジェス、マイテ・マルティン、アウロラ・バルガスとバルガスとフアナ・アマジャ、ラファエル・リケーニ、そしてマノロ・マリンとアナ・マリア・ブエノが出演するセビジャーナスの公演も行われます。

記者会見の模様をビデオにしたのでよければどうぞ。最後、アントニオがちょこっと歌っていますよ。司会を務めているのはビエナル監督ルイス・イバッラ。元々ジャーナリストということもあるのでしょうが、いつもあんちょこなしで見事な司会を見せてくれます。





パストーラ・ガルバン『6タクシ6』

 舞台の上には二脚の椅子。歌い手もギタリストもいない。タイトスカートにドラッグクイーンのようなあげぞこの派手なブーツで現れ、客席を見渡し、手でハートマークを作ってみせる。

華やかな衣装も、アクセサリーもない。プログラムには、ローマ、コパカバーナ、カサブランカ、トランシルバニア、ヌエバ・オルレアンズ(ニューオリンズ)、トリアーナと6つの都市の名とその地にちなんだ曲がプログラムには記されていて、タイトルもそういうことなのだろうけど、実際にその曲がかかってその曲の中で踊ったりもするのだけど、その曲と曲がないところで時に自分で歌ったり、後半登場するラモン・マルティネスのパルマで踊ったり。一つのテーマのまとまった作品というより、コント集のような感じ、といえば伝わるかな? 

タクシーと叫んでタクシーを止める仕草をする。椅子に座って安全ベルトを装着する仕草。軽やかなカルロタズギャロップの曲は映画『8 1/2』の曲だけど、ハチャトリアンの剣の舞にも似た感じで、確かに街を行くタクシー感がある。座ってイタリア語を話し始めるパストーラ。 という最初の場面は芝居がかってて、先日のロシオ・モリーナじゃないけど、演劇に行くのか?と思わせたけどそれは危惧で、音楽は音楽、でも彼女は自分でリズム作って踊る踊る。

靴をスニーカーやぺたんこの靴、パンプス、かかとの高いブーツと履き替えるだけで衣装替えも何もないんだけど、目が離せない。音楽がなくとも彼女の踊りはフラメンコ。

 ©︎ Remedios Malavárez/Fundación Cajasol

そう、フラメンコは一人でもできる。

でも後半、ラモン・マルティネスが登場することによって明らかに作品としてもフラメンコとしても厚みが増し、より良くなったのも確か。

タクシー運転手となって、ラジオのチューニングを口でやったり、テキエロ、愛してるを各国語で言ったり歌ったり、ユーモアたっぷりに相手役を務めた。

©︎ Remedios Malavárez/Fundación Cajasol


パストーラ・パボン、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスのセビジャーナスをカスタネット付きで、でも基本の振り付けとは全く違う感じで踊って幕。

いやいや、舞台見てて、色々思い出しましたよ。

タイトスカートは、マリア・パヘス舞踊団時代、『ラ・ティラーナ美術館の亡霊』で履いてたのを思い出したし、背番号を指さすような仕草は『フランセサ』という、フランスをテーマにした作品を思い出させる。最後のセビジャーナスは、大昔、イスラエルと踊った、イスラエルが全然動かないセビジャーナスやこれも昔、ルベン・オルモと共演してたことを思い出させたのでした。過去をめぐるタクシーだったわけでもないだろうけど。

結論。フラメンカは何をやろうとフラメンカ。ロシオしかり、パストーラしかり。

2026年5月17日日曜日

正木清香、三枝麻衣、瀬戸口琴葉en トーレス・マカレーナ

エミリオ・マジャ率いる日本人バイラオーラたちのグラナダ、ヘレス公演に先駆けて、同公演出演のため来西中の正木清香と三枝麻衣がセビージャ在住の瀬戸口琴葉とペーニャ、トーレス・マカレーナに出演。

金曜日ということもあってほぼ満席。

クーロ・バルガスのギターソロで幕を開け、正木はティエント。歌はガジとラビ。

真っ直ぐな、真面目なティエント。



タンゴでもっと変化つけてもいいかもしれない。トップバッターだったから緊張してたのかな。

続いて、スペインで踊るのは初めてという三枝麻衣。ソレア。

ソレアらしい重さの表現もちゃんとしているし、ムシコたちを引っ張っていく力もある。


休憩を挟んで二部はカンテソロでは珍しいロンデーニャから始まり




瀬戸口はソレア・ポル・ブレリア。髪をお団子に結ってくれているのが嬉しい。そうです。セビージャはお団子! いや、セビージャで踊るなら絶対おだんごってわけじゃないけど、セビージャにいるならセビージャらしいあつらえを、って思う私は昭和かも。
以前に見た時よりもずっと力が抜けて、歌をギターを満喫して自由に踊っている感じで、何より楽しそう。踊りがただ上手なだけでなく表情が出てきた、という感じ。さすがです。

フィン・デ・フィエスタでは会場に見にきていた遠藤郷子や中原潤、萩原淳子も参加。遠藤の歌は観客を驚かせていたし、中原も姿勢が良くなってるし、セビージャ留学の効果はテキメン。萩原はもう貫禄。日本のフラメンコもレベル高い。



今回ちょっと気になった衣装のことはまた改めて書きますね。


2026年5月15日金曜日

訃報/エル・カブレーロ

 歌い手、エル・カブレーロが5月13日、セビージャ郊外の病院で亡くなりました。81歳でした。

本名ホセ・ドミンゲス・ムニョスは1944年10月19日セビージャ県県アスナルコジャールの生まれ。カブレーロとは山羊飼いのことで、その名の通り、子供の頃から山羊飼いを職とし、ラジオでフラメンコを聴いて学んだと言われます。 70年代にセビージャの劇団、ラ・クアドラの作品でプロとしてのキャリアをはじめ、75年に初録音。80年にはコルドバのコンクール、ソレア部門、マラゲーニャ部門で優勝し、80年代、90年代は各地のフラメンコ・フェスティバルを主に活躍。得意のファンダンゴでは社会的政治的テーマを歌うことも多く、高い人気があった。

黒いシャツに黒いズボン、カーボーイハット(のようなツバの広い帽子)と首に巻いたチーフがトレードマーク。パワフルな声で歌う彼はフェスティバルでカマロンと並ぶほどの人気で、観客の熱狂を昨日のことのように思い出します。パセオ誌で活躍した写真家の高瀬さんはカブレーロのブレリアが好きだったなあ。

2020年に引退、その後脳梗塞を患ったそうです。



合掌。

彼についてのドキュメンタリーがYoutubeで無料で見られます。



これ観ていると、音程いいし、ファンダンゴだけでなく、ファルーカなんかも歌っているし、レパートリー広かったんだな、と。ただフェスティバルでは数曲しか歌わないから、ファンダンゴとブレリア主体になっていたんだろうな、と思うなど。スペイン語母語じゃないこともあってか、ファンダンゴ苦手だったんだよね、あの頃。

2026年5月14日木曜日

サロメ・ラミレスen トーレス・マカレーナ

 Impecable って言うスペイン語の言葉がある。辞書をひくと、「欠点のない、完璧な、」とある。文句のつけようのない、ってことですね。昨日のサロメがそうだった。

豪華なマントン、華やかなピンクのバタ・デ・コーラは花のようなフリルで裏打ちされ、下りお団子にまとめた髪に小さめのこれもピンクの花が綺麗につけられている。まさにまさにインペカブレ、非の打ちどころの無い、完璧なフラメンカ。バタもひっくり返ったまんまになったりすることなく、優雅に舞い、手に取る時もかがまず蹴って手に取り、小さな舞台でもしっかりコントロールして最前列の観客を煩わせることがない。マントンも余裕を持って扱い、きちんとしている。伝統的な構成で、全てがきちんとしている正統派フラメンコ。歌のミゲル・アンヘル・エレディアとの相性も抜群。ヘレスの時より何倍も良かった。


フラメンコ舞踊に何を求めるか、どこを評価するかというのは人それぞれだと思うけど、私の場合オレ!が出るのは、コンパスの掴み方放し方などの間合い、呼吸にしびれるというのはあるんだけど、見た目の美しさというのもすごく重要視していて、姿勢、動きやかたちの美しさはもちろん、衣装やアクセサリー、小物などのあしらいが美しいとそれだけでもオレ!なのであります。

公演はアルバロ・モーラのギターソロのタランタに始まり、ジョナタン・レジェスのカンテソロでグアヒーラ。カンテソロでのグアヒーラは珍しい。彼の声や歌い方はこの曲種のもつゆったりした感じとはあまり合っていないような?

そしてこのアレグリアスでありました。休憩を挟んだ後半はミゲルのソロでタンゴからのコプラ。


そしてソレア。黒い衣装。飾りと言えるのはジャケットの黒いスパンコール(?)での飾りと、髪につけた臙脂の花だけ。シリアスな曲にふさわしい装い。ソレアらしい重み。ブレリアでのミゲルとの絡みも同じヘレスで昔から知っている仲だからこそ、かも。


フィン・デ・フィエスタも、ダビ・ロメロ、マリア・カラスコ、チョロ、瀬戸口琴葉という豪華な顔ぶれでした。


明日、15日はその瀬戸口と日本からの正木清香、三枝麻衣という日本人組がガジとラビの歌、クーロ・バルガスのギターで共演。楽しみです。


2026年5月13日水曜日

フラメンコ・オン・ファイア2026


北スペイン最大のフラメンコ祭、フラメンコ・オン・ファイアが今年も開催されます。
今年で13回目。
牛追い祭りで知られる街、パンプローナで開催されるこのフェスティバル、
今年のフェスティバルは、パンプローナゆかりのヘミングウエイの写真がポスターに。
バルコニーでの無料リサイタルでも知られていますが、毎年、ギター公演も充実しています。


◇フラメンコ・オン・ファイア

8/21(金)19時45分

[出]〈g〉ホセ・ガルベス

[場]ビアナ 市役所バルコニー

8/21(金)21時

[出]〈c〉マイテ・マルティン

[場]ビアナ サン・ペドロ遺跡

8/22(土)19時45分

[出]〈g〉ダビ・デ・アラアル

8/22(土)21時

[出]〈c〉サンドラ・カラスコ、〈g〉ダビ・デ・アラアル、〈b〉アナ・モラーレス

[場]エステジャ/リサッラ エスパシオ・クルトゥラルラル・ロス・ジャノス

8/26(水)18時30分

[出]〈g〉フアン・ディエゴ・マテオス

[場]パンプローナ  Civivox コンデスタブレ

8/26(水)20時『トレス・オリージャス』

[出]〈g〉ラファエル・リケーニ、〈サックス〉ティム・ライズ、〈歌〉アナ・モウラ

[場]パンプローナ ガジャレ劇場

8/26(水)21時45分

[出]〈g〉フェリペ・マジャ

[場]パンプローナ ナバラ政府バルコニー

8/26(水)22時45分

[出]〈c〉ラ・ファビ

[場]パンプローナ オテル・トレス・レジェス

8/27(木)12時

[出]〈c〉ラ・ファビ、〈g〉クーロ・カラスコ

[場]パンプローナ 市役所バルコニー

8/27(木)12時45分

[出]〈c〉モレニート・デ・イジョラ、〈g〉ヘロニモ・マジャ

[場]パンプローナ ホテル・ペルラ・バルコニー

8/27(木)18時30分

[出]〈g〉フェリペ・マジャ、ヘロニモ・マジャ

[場]パンプローナ  Civivox コンデスタブレ 

8/27(木)19時45分

[出]セルバタナ

[場]パンプローナ サラ・セントラル

8/27(木)21時15分『カンタ・ア・マヌエル・アレハンドロ』

[出]〈c〉ホセ・メルセ

[場]パンプローナ アウディトリオ・バルアルテ

8/27(水)23時15分

[出]〈b〉アゲダ・サアベドラ

[場]パンプローナ オテル・トレス・レジェス

8/28(金)12時

[出]〈c〉ホセ・メルセ、〈g〉マヌエル・セルパ

[場]パンプローナ 市役所バルコニー 

8/28(木)12時45分

[出]〈c〉カルメン・カルモナ、〈g〉フアンホ・レオン

[場]パンプローナ ホテル・ペルラ・バルコニー

8/28(金)18時30分

[出]〈g〉ホセリート・アセド

[場]パンプローナ  Civivox コンデスタブレ

8/28(金)19時45分

[出]〈c〉ロサリオ・ラ・トレメンディータ

[場]パンプローナ サラ・セントラル 

8/28(金)21時15分『ムエルタ・デ・アモール』

[出]〈b〉マヌエル・リニャン

[場]パンプローナ アウディトリオ・バルアルテ

8/28(金)23時15分

[出]〈c〉エル・ペレ

[場]パンプローナ オテル・トレス・レジェス

8/29(土)12時

[出]〈c〉エル・ペレ、〈g〉ニーニョ・セベ

[場]パンプローナ 市役所バルコニー

8/29(土)12時45分

[出]〈c〉ミゲル・アンヘル・エレディア、〈g〉クリストバル・サンティアゴ

[場]パンプローナ ホテル・ペルラ・バルコニー

 8/29(金)18時30分

[出]〈g〉アレハンドロ・ウルタード

[場]パンプローナ  Civivox コンデスタブレ

8/29(土)21時15分『ソロ』

[出]〈g〉ジェライ・コルテス

[場]パンプローナ アウディトリオ・バルアルテ

8/29(土)22時45分

[出]〈b〉パロマ・ファントバ

[場]パンプローナ オテル・トレス・レジェス

[問] https://www.flamencoonfire.com/


 

2026年5月12日火曜日

ギリホンド祭

セビージャ郊外の街、パロマーレス・デル・リオでの、外国人フラメンコに焦点を当てた世界で唯一のフラメンコ祭、ギリホンドが今年も開催されます。
2024年は日本、25年はフランス、そして、26年はオランダが招待国ということで、オランダ人アフィシオナードや記者、プロデューサーが表彰され、またオランダ人ギタリストや踊り手の公演が行われるほか、セビージャ在住の中国人ギタリスト、ロラ・ヤンの公演では中国人カンタオールやお母さんが日本人のマレーナ・アルバも出演します。
最終日にはエル・ペレも出演するとか。


◇ギリホンド祭

6/3(水)

20時開会宣言、21時 マルリエ・ジャンセン講演

22時

[出]〈g〉ガスパール・デ・オランダ、ゲスト〈c〉ヘスス・メンデス

6/4(木)

20時ギタリスト、パコ・ペーニャへのインタビュー

21時『ギリス・コン・アヘ』[出]〈g〉ロラ・ヤン、〈c〉マヌエル・デ・ラ・チナ、〈b〉 マレーナ・アルバ

21時45分

[出]〈b〉マリア・ラ・セラーナ、〈c〉フアン・ホセ・アマドール、ぺぺ・デ・プーラ、〈g〉ルイス・アマドール

6/5(金)

20時オランダのビエナル監督エルネスティーナへのインタビュー

21時30分『ゴッホに捧げる』

[出]〈g〉ティノ・ヴァン・デル・スマン、〈b〉クリスティーナ・ホール、特別協力〈c〉ダビ・ラゴス

[場]セビージャ県パロマーレス・デル・リオ 市立カルロス・アルバレス・ノボア劇場

6/6(土)

20時 クリスティーナ・ヘーレン小授賞式

22時30分

[出]〈c〉エル・ペレ、エル・トゥリ、〈g〉ニーニョ・セベ、ホセ・フェルミン

[場]セビージャ県パロマーレス・デル・リオ バーニョス・アラベス

[問]https://www.guirijondo.com/

 

2026年5月11日月曜日

ホセ・アンヘル・カルモナen トーレス・マカレーナ

 ペーニャには舞踊公演に行くことが多いのですが久しぶりに歌の公演。

ホセ・アンヘル・カルモナ。

セビージャ近郊ロス・パラシオスの出身で、主に舞踊伴唱で活躍していたが一時舞台から遠ざかっていたのを、ロシオ・モリーナ公演等で共演していたオルーコが、今年のヘレスでの公演で復帰させたそうで、そのオルーコがコンパスで参加、伴奏はフアン・レケーナ。

プレゴンを歌いながら登場し、ソレア・ポル・ブレリア。ギターと二人でタランタ、



からの、マラゲーニャ(と言ってたけど、ファンダンゴぽいやつ)。 そしてブレリア。

声良し、音程良し、コンパスも良し、で踊り出したくなるようなソニケテを満喫。


上着を脱いでの二部はソレア、シギリージャ、ファンダンゴ、そしてブレリア、だったかな。実はよく覚えてない。なんかアレグリぽいのも歌っているんだが。




引き込まれるような魅力を持っているのは確か。聴いていて嬉しくなっちゃう感じとか、久しぶりかも。(だから写真がめっちゃ少ない)。歌詞も伝統的なよく歌われるものではなく、私は初めて聞くようなものが多く(歌詞についてはエクスポフラメンコでキコ・バジェが詳しく書いていて勉強になります)、それも面白い。勉強している、本物のアフィシオナードなんだな、と感嘆。

なんだけど、どこか何か引っ掛かる感じがあったのはなんでだろう。もう一度聴くとわかるかな。観客に聞かせるということをあまり意識せずに歌っているような感じというか、観客とコミュニケーションをとろうとはあまりしてない感じ、というか。うーん。でも神様の杖が触れた人であることには間違いない。本物の才能。

ちなみにお父さんも歌い手で、フアニート・ディスティンギードって言うんだけど顔はあんまり似ていない。でもほほのあたりにちょっと面影ある?って思って友達に声かけてもみんなお父さんのことを知らなくて、あ、これって世代かも、って年配の人と話して同意してもらうという。。。今ネットで見たらやっぱあまり似てないけど、声の貼り方とか声質とかは似てる。

2026年5月9日土曜日

 フランシスコ・イダルゴenトーレス・マカレーナ

 カディス県アルゴドナレス出身のフランシスコ・イダルゴ、2024年のヘレスのフェスティバルで、コンテンポラリーダンス寄りのフラメンコ作品『モスカ・イ・ディアマンテ』を上演し、作品の完成度と個性で私たちを驚嘆させたバイラオール。その彼がセビージャで踊るのは10年ぶりだという、それもその最後のセビージャでの公演はこのペーニャだったという。

フアン・アントニオ・ゴメスのギターソロで始まり


一曲目はアレグリアス。ホセ・アニージョ、トリニ・デ・イスラと、オール・カディスだから音楽もよく、スッと登場したフランシスコも伝統的な感じで踊っていく。のだけど、流れは伝統的なのだけど、身体の使い方、腕や手の形が独特。彼独自の言語でフラメンコを語っている、という感じ。写真で見るとどこか違和感を感じるかもなのだけど、流れは伝統的だしm、リズムとの絡みもいいし、で魅了される。


アレグリアスからマラゲーニャへと移り、そこからロンデーニャへ。歌を踊っているのだけど、それはカンテが持つ形と熱を描くような踊り方で、セビージャの歌の踊り方とは違う。もっと抽象的というか、擬人化した音楽そのものになっているというか。いや、面白い。

休憩を挟んでの第二部はカンテソロでファンダンゴがあってからのソレア。


他の誰にも似ていない、彼独自の言葉で踊るフラメンコ。取ってつけたようなコンテンポラリーぽい動きとかではなく、フラメンコもコンテンポラリー的なテクニックも、すべて彼の血肉になっているからこそ踊ることができるフラメンコ。

好き嫌いはあるかもしれないけど、一見の価値あり。フラメンコの表現の多様性、可能性を改めt感じさせてくれるアーティストであります。

終演後、聴いたら、やっぱりちゃんとバルセロナやマドリーできちんとコンテを習っているのであった。なるほどね。付け焼き刃かそうじゃないかってやっぱわかるってことだよね。

この日はなぜか空いていたんだけど、うん、なんでみんな来なかったんだろう。おすすめなんだけどなあ。


2026年5月2日土曜日

ロンドン フラメンコ・フェスティバル

今年もロンドンでフラメンコ祭が開催されます。3月に行われたニューヨークでのフェスティバルで初演されたガラやサビーカスへのトリビュートが再演されるほか、アンダルシア舞踊団なども出演します。


 


イギリス

◇ロンドン フラメンコ・フェスティバル

6/15(月)19時『パライソ・ペルディード』

[出]〈b〉パトリシア・ゲレーロ、〈ヴィオラダガンバ〉ファミ・アルカイ

[場]ロンドン ナショナルギャラリー

6/16(火)、17(水)19時30分『ウンイドス』

[出]〈b〉ヘスス・カルモナ舞踊団

[場]ロンドン サッドラーウエルズ劇場

6/18(木)19時30分『クレアビーバ』

[出]〈b〉ラファエラ・カラスコ

[場]ロンドン サッドラーウエルズ劇場

6/19(金)19時30分、20(土)15時と19時30分『ガラ・フラメンカ』

[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ、マヌエル・リニャン、ファルー、フアン・トマス・デ・ラ・モリア

[場]ロンドン サッドラーウエルズ劇場

6/20(土)

[出]〈c〉エステル・メリノ

[場]ロンドン リリアン・ベイリス・スタジオ

6/20(土)

[出]〈c〉エル・ペレーテ

[場]ロンドン リリアン・ベイリス・スタジオ

6/24(水)『カレンタミエント』

[出]〈b〉ロシオ・モリーナ

[場]ロンドン サッドラーウエルズ劇場

6/25(木)19時『トリブート・ア・サビーカス』

[出]〈g〉ヘラルド・ヌニェス、アルバロ・マルティネテ、アントニオ・レイ、〈b〉オルガ・ペリセ

[場]ロンドン サッドラーウエルズ劇場

6/26(金)19時30分、27(土)15時と19時30分『ティエラ・ベンディタ』

[出]〈b〉アンダルシア舞踊団

[場]ロンドン サッドラーウエルズ劇場

6/27(土)

[出]カリファト3/4

[場]ロンドン ジャズカフェ

6/28(日)19時30分『マグニフィカ』

[出]〈b〉マリア・モレーノ

[場]ロンドン サッドラーウエルズ劇場

6/29(月)19時30分『ラジュエラ』

[出]〈b〉マルコ・フローレス

[場]ロンドン サッドラーウエルズ劇場

◇マンチェスター

6/13(土)20時、14(日)15時『バイレ・ソノーロ』

[出]〈b〉オルガ・ペリセ

6/30(火)19時30分『ティエラ・ベンディタ』

[出]〈b〉アンダルシア舞踊団

[問]https://flamencofestival.org/es/ff-london-2026-2/