2021年5月18日火曜日

ヘレスのフェスティバル11日目ロシオ・モリーナ『アル・フォンド・リエラ』

いやあ、またまたすごいものを観ちゃったという感じ。
ビエナルでの初演も観てはいたのだけど、それにも増してすごかった。

内容的にはおそらくほとんど変わっていないんじゃないかな。
エドゥアルド・トラシエラのソロで始まり、そこへロシオが入り、ゆっくりと動かされる手の表情。黒い衣装に黒いバック。でもこれは確信犯で、白い手が浮かんで見えるようにしている。
ミニマリズム。
細やかな動きで、ギターの一つ一つの音を拾って形にしているような、エレガントで優しい。動きに意味がある。ここでいう意味は何かを表しているということではなく、必然があって動きがあるということ。
聖週間の行進曲『アマルグーラ』の9つの音。


©Javier Fergo Festival de Jerez

黒いプラスチックの、笠のような、お椀の蓋のような、大きな帽子をかぶってのファルーカ。バックには墨絵のような白黒の映像。
男性的とされるファルーカに女性的な優美な動きを組み合わせる。独創性の高いファルーカだ。
エドゥアルドのクラシックギターのような、美しい音が冴える。

©Javier Fergo Festival de Jerez

ジェライ・コルテスも加わって、シギリージャ。
曲のイメージを身体で描いていくような感じ。
うわっと思うような回転や素早いサパテアードなどと、舞踏のようなゆっくりとした動きを組み合わせる。緩急のつけ方に脱帽。

©Javier Fergo Festival de Jerez

ギタ−二人でのブレリア。
ジェライが残りソロ。ソレアの踊りでのスタンダードなメロディをつないでいく。太い音。昔風? ムイ・フラメンコ。
ロシオはバタ・デ・コーラで下手から登場。その姿の完璧な美しさ。
バタが生きているように動き、繊細で強く優雅。
行間を踊る感じと言ったら伝わるだろうか、歌がないフラメンコだけど、歌の心を踊っているような。たくさん詰め込むのではなく、抜いて構成しているような感じ。
ユーモアというか、グラシアもあって、最高。
たくさんの踊りを見てきていてそのイメージが繋がっていくような感じ。

©Javier Fergo Festival de Jerez

最後は花柄の衣装で。顔も花柄で隠して。
©Javier Fergo Festival de Jerez
私だけど私ではない、けど私です、って感じ?。
なんとなく村上隆的世界に思えたのはなぜだろう。ポップな感じなのであります。
ビエナルの時は厚底靴だったと思うのだけど、今回は普通の(花柄の)靴でしたよ。



フェスティバルの最初の頃にはクルシージョに出てたロシオ。
唯一無二の存在。すごい踊り手に育ったものであります。
フラメンコでは歌が大切だけど、歌がなくても歌心はあるし、歌のないフラメンコだってこんなにすごいんだよ。

©Javier Fergo Festival de Jerez

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前日3本見て、ヨレヨレでこの日の他の舞台見に行くのもやめたくらいだったんだけど、舞台見おわって元気モリモリ。いい舞台は私のエネルギー!

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