2021年5月16日日曜日

ヘレスのフェスティバル10日目その1フロレンシア・オス『アンティポダス』

美しい小品。

フラメンコ舞踊家とチェロ奏者という双子の姉妹による二人だけの舞台。

©Javier Fergo-Festival de Jerez

1987年、チリはサンティアゴ生まれのフロレンシアは芸術大学で舞踊専攻、20歳でセビージャに留学し、2013年、6年後にはラファエラ・カラスコ監督時代のアンダルシア舞踊団入団という快挙を果たした人。その後もラファエラやダビ・コリアらの作品に出演している。

二人が向かい合い、見つめ合ってか細く美しい天使のような声で歌い始めるオープニングから1時間、ずっと二人とも舞台にいて、歌い、踊り、演奏し、小さな宇宙を作り出す。

寝転がって鳥の鳴き声を真似したり、おそらく指にはめた木の指輪を鳴らしてチンチネスみたいな感じで音を出して踊ったり。

©Javier Fergo-Festival de Jerez
写真のように紙でできたスカートを巻きつけてイシドラが歌ってグアヒーラを踊ったり。

基本イシドラが音楽、フロレンシアが舞踊なのだけど、イシドラも踊るし、フロレンシアも歌う。


©Javier Fergo-Festival de Jerez

タンバリンを縁につけたテーブルを使ってのナンバーもパーカッションの曲のようで面白いし、ユーモアやドラマもちょこっとあって、いや本当に次に何が出てくるかわからない福袋のように、驚きと喜びをくれた。演出のダビ・コリアの腕前もあるのかな。


©Javier Fergo-Festival de Jerez

照明も基本、ナチュラルで優しい感じなのもいい。世界観だね。

©Javier Fergo-Festival de Jerez

©Javier Fergo-Festival de Jerez

フラメンコ曲もフラメンコのリズムもテクニックもある。でも伝統的なフラメンコにはない動きや表現もあり、ストレートなフラメンコとは一味違う、枠にとらわれない自由さ。

 フラメンコ・コンテンポラネオとでもいうべき作品が今の潮流なのかも? イスラエル・ガルバンやロシオ・モリーナに勇気付けられてか、フラメンコたちは枠から解放されて自分の表現を追求していく人が増えてきているのでしょう。

そんな中生まれた佳作。あちこちの舞踊フェスティバルなどでも上演されてほしいなあ。

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