2018年9月16日日曜日

サルバドール・タボラ「ケヒオ」

ロペ・デ・ベガ劇場でのサルバドール・タボラ「ケヒオ」
タボラはセビージャで長年、劇団を主宰する演出家。
歌い手として活動後、劇団に参加。1972年に発表した処女作がこの「ケヒオ」だ。

1972年はまだスペインでフランコ独裁政権が健在。
多くの人々は貧しく苦しい生活を強いられていた。
そんな社会を告発批判する作品がこの「ケヒオ」なのだ。

幕は開いている。真ん中にドラム缶、椅子とギター。
客席真ん中の通路を進んでくる男たちと一人の女
舞台の下にうずくまると場内は真っ暗に
やがてオイルランプを手に一人の男が舞台へと上がっていく。鎖を引きずる音。
もう一人の男はマルティネーテを歌う。

フラメンコの歌がセリフ代わり。
抑圧された民衆の叫び、ため息。

歌なしギターだけで踊ったタラントも最後には歌がつく。
腕をロープに繋がれて、自由を奪われつつもがくように歌う。

Bienal Óscar Romero
ブレリア、アルボレア。
移民せねばならず故郷を捨て、舞台を降りて客席をいく歌い手。
Bienal Óscar Romero
 シギリージャ、ペテネラ
Bienal Óscar Romero
 1時間少々の短い時間にぎゅっと凝縮された虐げられた民衆の叫び。
最後は3人で力を合わせ、人々をつないでいたドラム缶を動かすのに成功する、
と、今となっては時代遅れに見えてしまうプロレタリア演劇的なフラメンコ芝居。
フラメンコオペラと言ってもいいかも?
でも発表された時代を考えるとすごいし、時代を先取りしていたのだろう。
演者は、知らない歌い手ばかりだったが、それがまた民衆演劇的。
女性がずっと座っていて、水瓶を渡すだけ、手を握るだけ、というのも時代だなあ。

でも歴史的な作品を初めて見ることができて嬉しゅうございます。

エスパシオ・トゥリナではペドロ・マリア・ペーニャのリサイタルでした。
Bienal Óscar Romero
20時頃から大雨が降って、このビエナルで楽しみにしていた公演の一つ、オテル・トリアーナでのトリアーナの面々の舞台が中止になって残念至極。

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