2026年9月29日火曜日

ファルキート『セラ・ファルキート エル・ムシカル』

 

「ファルキート観に行く、ってワクワクするんだよね」って友達が言った。わかる。わかりすぎる。ファルキートは特別。彼の作品にどれだけ期待裏切られても、またウキウキした気分で公演の日を待ってしまうのであります。正直、彼の“作品”に感動したことは無い。でも彼の踊りに感涙したり、ほんのちょっとした動きに悶絶したりしたことは山ほどある。たとえば2016年のラ・ウニオンでの公演。今でも思い出す、あの鳥肌感。でもね、劇場公演のために制作した作品は、その中にいい踊りやはあとさせられるいい瞬間はあっても作品としてはどうもなあ、というものばかりな気がする。

今回も、作品としてはなんだかなあ、という感じしかないけれど、一瞬、おっ!と思った瞬間はあったのでそれでよし、と自分で自分に折り合いをつけるのでありました。

開演前から幕は空いていて舞台の上を出演者たち、主に群舞の女性たちが行き交う。どういう意味があったかは不明。今回の公演は踊りでみせる自伝的作品ということで(以前も似たようなものがあったな)、タイトルも自身のドキュメンタリー映画からきているのだと思う。開演してすぐは歌無しで彼女たちのブレリア。そこに息子フアンも参加。これがプログラムにある”第一幕サングレ、血筋”で、子供の頃からフラメンコに囲まれてたってこと?

”第二幕学び”なのでしょう、バックにファルーコが教える様子のビデオが流れて、ご本人登場。ソレア。でもなんだかいつもの調子が出てない?そこからお得意、カンシオン風へ。副題のミュージカル、っていうのはそういうことなん?うーむ。ファルキート、自作のフラメンコ風味のカンシオン歌うのも踊るのも好きだもんね。テーブルの上で踊るのもなんかよくやっているイメージ。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

ハーモニカの音楽、ニューヨークの風景で、旅行鞄持って息子と二人で踊り、”第三幕世界”へ。帽子かぶってキラキラのジャケット着てマイケル・ジャクソンなファルキート。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

踊りの途中で舞台前面に行って止まって拍手待つところとか、派手な照明とか、なんか色々ホアキン・コルテスで(小名さんはコルテスのやってた人みたい)、たぶん、彼は自分のファミリーとホアキン・コルテス、パコ・デ・ルシアのステージくらいしか観ていないんじゃないかな、と思う。コルテスが世界的人気で日本でも東京フォーラムのホールAとか大阪城ホールとかでやってたのはほんと今考えてもすごいことだったと思うけど、前世紀のお話。あれからフラメンコは見せ方も踊りも色々変わってきているのだけどきっとそれを少なくとも生では観ていないんじゃないかと。いや、各自それぞれの好みややり方でいいんだけど、今の観客に、こういう作品、どううつるんでしょうね。

”第4幕影”は座って頭を抱えるというわかりやすい仕草から、シギリージャで。映画でも扱った轢き逃げ死亡事故とその後の服役などのイメージなのでしょう、なんかちょっとレブリハーノの歌ったガレーラ(囚人が漕ぐ船)ぽい音楽とかもあって微苦笑。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

赤いジャケットでのファルーカを父、息子と踊りついだあと、突然客席に向けた光の洪水の中、歌うファルキート。はいはい、ミュージカルですね。神様になったんでしょうか。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

でこの後結婚式の場面になり、ここで冒頭でお話した一瞬が訪れたのでありました。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

ちょっとした足運びの間合いの良さ、かっこよさに悶絶し、もう他はどうでもいいやとなったのでありました。アルボレアにセビジャーナス、で幕、だったかな、いやもうあの瞬間見られたら私のとってはあとはどうでもいい。
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

どうでもいいんだけど、やっぱ気になったことひとつ。彼は伝統的な男性用のフラメンコシューズ、ショートブーツではなく、甲が覆われて踵が高めの靴を履いて、靴下も見えないので、パンタロンと靴の間に肌色が見えちゃうんですよね、これ、流行りなのか、他の人でもいるけど、見た目良くないと思うんですけど。足と脚がバラバラになってるというか、腕輪ならぬ足輪しとるんかい?って感じで。今の感覚だと、これがオシャレになるんでしょうか。わかんないわ、その感覚。




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