2020年9月9日水曜日

フェルナンド・ロメーロ「ディアロゴ・デル・ティエンポ、パイサヘス』



 いやあ、すごい。びっくりした。なんと勇敢な。

『牧神の午後への前奏曲』『ボレロ』『春の祭典』というプログラム。ラヴェルの『ボレロ』以外はソロで踊ってしまうんだ、この人は。フェルナンド・ロメーロ。

マノロ・マリン門下。クリスティーナ・オヨス舞踊団、アンダルシア舞踊団、マリア・パヘス舞踊団などで活躍し、スペイン国立バレエでホセ・アントニオ元監督の助手を務めた人。

『牧神の午後』『春の祭典』といえばニジンスキー。え、それを一人で踊るの? ニジンスキーだってソロじゃなかったはず。

『牧神』は、伴奏も何もなしで歌うミゲル・オルテガのカンテソロで始まり、鏡の鉢みたいなものを3つ置いて、それが反射してあちこちへ光の筋を作ったり、虹色の光を映したり。そんな中、一人で踊る。一言で言うとサパテアードをするバレエダンサーな感じ。

Bienal de Flamenco


『ボレロ』は、サパテアードをするラファエル・カンパージョに始まる。そこへギターを鳴らしながらやってきたミゲル・オルテガが、「ボレロを踊る人は気をつけて」と、サモラ地方のボレロを歌い始める。アントニオ・ガデス『フエンテオベフーナ』でも使われていたこの民謡が歌われ、そこにサパテアードで合わせるラファエル。

Bienal de Flamenco



それがラヴェルの『ボレロ』へと繋がり、オーケストラボックスの中から2台のピアノとパーカッション2人で演奏される。

Bienal de Flamenco

サパテアード、回転など、重心が低い、フラメンコ舞踊のテクニックで見せるボレロの素晴らしさ。そこへフェルナンドが加わり、消え、また現れ、ラファエルが消え、と、変化を見せながら二人で踊っていく。回転の美しさ。フラメンコの決めポーズのカッコよさ。サパテアードで音楽に参加し。いやあ、これは本当にまた観たい。できれば国立で観たい。グラネーロのボレロの影響も少しはあるかな。でもこっちの方がずっとフラメンコだ。

Bienal de Flamenco


休憩を挟んで『春の祭典』。下手の袖を覆うスクリーン。上手には床置きの照明。そして正面奥から客席に向けたライトが光の線を床に描く。装置ではなく照明が装置も兼ねている感じ。その光の線と遊ぶように踊る。

Bienal de Flamenco



いやあ、本当にびっくりしました。すごいなあ。すごい大仕事、大変だったと思います。お疲れ様でした。


公演とは関係ないけど、今年のビエナルのオフィシャルの写真が酷すぎて涙。全体的に暗いから難しいのはわかるけど、それにしてもひどい。1ヶ月で上達するかしらん。



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