2020年9月17日木曜日

ファミ・アルカイ&パトリシア・ゲレーロ『パライソ・ペルディード』

 17世紀、フラメンコが生まれる前の音楽とフラメンコ舞踊で、その時代の貴族たちが思い描いた『失われた天国』をイメージする…ということでのタイトルのようであります。

ファミはセビージャ生まれのヴィオラ・ダ・ガンバ奏者ですが、アルカンヘルやロシオ・マルケスらフラメンコとも共演しており、パトリシアともアルカンヘルとの公演で知り合ったそう。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

神父の装束のような形の、薄紅色の衣装で現れたパトリシア。黒いワンピースの侍女が衣装を整える間、腕だけ動かすところに、先日のロシオ・モリーナとの偶然の一致を感じます。ポーズをとって足を打ち、そこへファミが登場。演奏が始まります。

会場は18世紀のバロック様式の元教会。ドーム型の高い天井、壁の装飾。雰囲気のある建物にこの上もなくふさわしい音楽です。

マントを脱ぎ、髪を垂らしたパトリシアが踊るブレリア。生命力の爆発!



Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro



その衣装も脱ぎ捨て下着の上にクリノリンという、スカート下に履いてすかーとを膨らませて見せる骨組をつけて踊る。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


赤いアバニコ。カーニバル用のお面も付けたり。そのテクニックの素晴らしさ。身体能力だけでなく、感情の込め方、表現が素晴らしく、こっちの心も持っていかれる。なんていう回転!

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

下着も脱ぎ捨て黒のレオタードの上に黒いチュールでつくったバタのように裾を引いた薄衣。顔にもレースのマスク。胸には赤いハートのブローチ。聖母像のイメージ? あとでスカートを頭にかぶって、横に細かく揺れる聖週間の聖母像の行進の動きをしていたからきっとそうなのだろう。歌い出したのにも驚かされた。小さな会場だからこその公演。恍惚の表情。

ロイヤルブルーのフラメンコ衣装を身につけて、スーフィーのようにくるくると回る。

バッハのパッサカリアとシャコンヌ。

バッハってフラメンコと案外近いんじゃないでしょうか。フラメンコの曲でなくともフラメンコのアーティストが踊ればフラメンコになるというだけじゃないような。

それにしても、パトリシアは才能のかたまり。彼女のシンプルなフラメンコが大好きで、あのはじけるような魅力を押し隠すような作品(『カテドラル』『ディストピア』)は苦手だったのだけど、これはいい。同じ演出家なのだけどね。

シャコンヌもパッサカリアも舞曲で、いわばプレフラメンコの、スペイン舞踊と大いに関係があることも無縁じゃないかもしれません。







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