2026年10月3日土曜日

アルフォンソ・ロサ「ヘスト・ミニモ』、サンドラ・カラスコ&ダビ・デ・アラアル『ポエマ・デ・ラ・リベルタ』

 なんてすごい贅沢な夜だったことだろう。20時からはロペ・デ・ベガ劇場でアルフォンソ、22時半からはサンドラとダビ。どちらの公演も今年のビエナル、どころか近年屈指の公演で身体が震えるほどだった。

まずはアルフォンソ。先日のエステベス&パニョスやダビ・コリア同様、とにかくすごい身体能力で踊り続ける彼らに圧倒され、終演後はくらっとするほど。

黒いシャツにパンタロン。バックも黒。床に置かれた小さな灯りに照らされて踊り始めるとやがてその光が上がっていき、音楽のない中踊るアルフォンソとカレン・ルゴ、アゲダ・サアベドラとジョエル・バルガス。舞台の四隅に下がる赤いロープ。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

4人の踊り手が同じ振りで踊っているかと思うと微妙にタイミングをずらしたり途中からその振りを引き継いでいったりと、ソロとも群舞ともいえない形で踊り続ける。靴音や体を叩く音が音楽。フラメンコの伝統的、典型的なかたちや動きをめちゃくちゃゆっくりすることでコンテンポラリー・ダンス度が一気にアップしたりするのも面白い。パズルのように踊る4人。アントニオ・プルガがトナを歌って場に入り、喧嘩をするように踊り、イスマエル・エル・ボラも歌い、リズムで遊ぶ。床をする音で音楽を作りギターが入る。


ファンダンゴからファルーカへ。アルフォンソのソロ。絶品。グイトもマノレーテもペラオもラファエル・デ・コルドバも…フラメンコ男性舞踊手たちのエキスがぎゅっと濃縮されている。真似ではなくそのふりをただなぞっているのではなく、彼らの哲学みたいなものを引き継いで踊っているという感じ。姿勢、姿の良さ、腕や手の位置も五ミリずれたら違うという完璧な位置に絶妙に入る。わお!

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

悶絶してたら続いてソロでソロンゴを踊ったカレン・ルゴがまた凄すぎて比ええ、となる。体幹が凄すぎる。え、その姿勢からそこへ、っていうような動きはコンテンポラリーぽいんだけどでも同時にめちゃフラメンコで最高。

ブレリア・アロマンサーダ?を踊ったアゲダも先日のフアン・トマスとの公演の時よりもずっとよかった。いやこんなに踊れる人だったのねと自らの不明を恥じる。

ギタリストが踊り手に混じって前に出てきて、踊り手たちがギターを弾いているポーズで踊り、その後は音をそのまま形や動きにしたかのように踊る。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


ジョエルのタラントはパリージョで、カスタネットを使うのはチンチンを使って踊ったフェルナンダ・ロメーロを思い起こさせるし、カルメン・アマジャへのオマージュ風の振りもあり、これもまたすごかった。ジョエルは先日のエステベス&パーニョス『ドンセジャス』にも出演していたけれど、観るたびに成長を感じさせる。若いって素晴らしい。
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León
そこにアゲダも絡んで美しいパレハを見せる。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

そこからのブレリアがまためちゃくちゃすごくてここで終わりかと思いきや、また最初のパターンに戻る。個人的にはブレリアで終わって欲しかった気もするけど、車輪が一回りした、という感じなのだろう。先日のエステベス&パニョスの公演も最初に戻るという形で終わったよね。

興奮冷めやらず友達と感想語り合いながらセントラル劇場に向かう。

そのセントラル劇場で観た公演をどう表現したらいいのだろう。ひたすら美しく愛に溢れていて、過去を振り返り未来を見つめ…芝居の助けを借りる必要もなく、美しい照明ときちんとした音響(耳栓しないですんだ初めての公演かも。で耳栓無くした😢)で、しっかりカンテを、ギターを、伴奏伴唱者たちのアルテを満喫。



Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


幕が開くと真ん中にダビがいてギターを弾きはじめる。その繊細で優しい響きに早くも涙。いやあ、なんでこんな風に優しい音が出るのでしょう。そこへ上手のテーブルにつくパルマとコーラスのホスエ・セグラ、ベルナルド・ミランダ、ロス・メジ、パーカッションのリト・マネス、下手のバースツール(というの?背の高い椅子)に座るフアンとベルナルド、パリージャ兄弟も登場。サンドラの後ろに踊り手のホセ・マルドナードが立って帽子を被せる。コルドベスはぺぺ・マルチェーナのトレードマークでもある。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León



ぺぺ・マルチェーナとその時代をテーマに、昔のSPレコードみたいに曲名を言ってから歌う形で、私のようにようにマルチェーナに詳しくない人にも親しみやすくしてくれているのもありがたい。それがレコード収録そのままの形なのか、サンドラ流に変えているのかはわからない。でもその歌い回しの絶妙さに舌を巻く。音程の真ん中を射抜いていく形。完璧。その歌いっぷりに酔い、ダビの決して背中を押さず寄り添い、時に導く伴奏。愛だね。ひたすら美しい音楽。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

コーラスもただのコーラスではなく、サンドラと絡み、伴唱するし、最後は一人ずつ素晴らしいファンダンゴを歌ってくれた。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

フアンのフルートとベルナルドのバイオリンだけなのに、オーケストラであるかのように厚みが出る。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

そしてホセ・マルドナード、セビジャーナスやソロンゴを踊る(これまだ体の使い方とか感覚とか最高!)だけじゃなく、その場で根っこと鳩の絵、そして二人のジャケットに目を描き上げる多才さ。

全員総立ちなのも納得。いいもの見るとエネルギーが補充されて元気になるね。幸せになるね。


今年のビエナル、なんかすごい公演多くないですか?



0 件のコメント:

コメントを投稿