ビエナルでの公演も観たのだけど、それとは細かい部分が色々変わっていて、常に進化し続けるイスラエルらしいな、とかも思ったことでした。
全体の流れはセビージャの時と同じなのだけど、最初、上手に登場したイスラエルが囁くようにセビジャーナス『que también es de Sevilla 』をどもりながら歌うのも以前はなかった。このセビジャーナスがなんども登場するので歌詞を書いておこう。
© Festival de Jerez/Esteban Abión |
Sevilla tiene una cosa セビージャにはあるQue solo tiene Sevilla セビージャにしかないものがQue solo tiene Sevilla セビージャにしかないものはLuna, sol, flor y mantilla 月、太陽、花とマンティージャUna risa y una pena 笑いと悲しみY la Virgen Macarena マカレーナの聖母もQue también es de Sevilla セビージャのものなのだ
Y tiene además Sevilla セビージャにはその上Un tesoro a cada orilla 二つの岸ごとに宝があるLa Giralda y su campana ヒラルダとその鐘もLa Esperanza de Triana トリアーナのエスペランサの聖母もQue también es de Sevilla セビージャのものなのだ
Que también es de Sevilla セビージャのものなのだY Sevilla, por tener そしてセビージャはそれを持つことでTiene la gloria en su mano 栄光を手にしているのだA Jesús del Gran Podé グラン・ポデールのキリスト様にQue también es sevillano 彼もセビージャなのだ
この作品はセビージャの大聖堂での儀式で少年たちによって踊られる伝統舞踊『セイセス』をモチーフにしていて、実際、それを模した振りなども踊られるのだけれど、それと同時にイスラエルが生まれ育ったセビージャの街への、愛憎入り乱れた心を描いているように思う。セビージャへのオマージュと言ってもいいかもしれない。
チェンバロの演奏でのエアロバイクをこぎつつの踊りは、コンパスがずっとあっていて見事の一言!エアロバイクに乗ってる人にオレ!を言うことなんてないよね、本当に。でも出ちゃうんだよ。小さくだけど。
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最初、バイクを覆っていたバタのような黒い布とのからみも楽しい。
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バタとともにバイクを引きずって下手にしまう。
羽のついた帽子をかぶったイスラエルが『セイセス』の踊りを模して踊り、それにあわせて後ろでラモン・マルティネスがカスタネットを叩く。そして少女に「あんたはカスタネット演奏できない」と言われる、というのを繰り返す場面。
黒い布をマントンのように扱ったかと思うと、ラモンがセビジャーナスを熱唱し、黒い布をマントンのように扱ったかと思うと、フェリアの提灯のついたタワーを揺らして聖週間の行列の聖母様のように揺れたり、というのも面白い。ラモンはソロでの踊りっぷりも素晴らしかった。
イスラのソロに「ヒターノ!」とピアニストが掛け声をかけるともう一人が「メディオ(半分)」というところとか、イスラの、セビージャの人たちの身振りを模したようなフリとか、ユーモアもいっぱいで楽しいんだけど、それが一転するのは後半。
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少女がなんども繰り返して読み続ける呪いの言葉でイスラが踊るのだが、生きながら火あぶりとか、首を切るとか、いうことがおどろおどろしく、背筋も凍ろうというもの。
イスラエルは舞台のあちこちで素材の違う床の音を使って踊る。それは面白いんだけど呪いの言葉が強烈すぎて楽しめない。スペイン語わからなかったら良かったのかも?
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最後は子供合唱団が登場し、何曲か歌い、18世紀のセビジャーナスをイスラエルが踊る。
子供の無垢な魂で呪いを浄化させているのかなあ。
今回改めて思ったのだけど、宇宙は無数のコンパスが溢れていてイスラエルがそれを捕まえて見せてくれるという感じで、やっぱイスラエル、好きだなあ。
昔ながらのフラメンコしか好きじゃない人は苦手だろうけど、イスラエルは何をやってもフラメンコなんだよね。枷を外して自由になると世界は広がって楽しいことに溢れると思う。
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