2016年9月16日金曜日

ダビ・パロマール「デノミナシオン・デ・オリヘン」

今年のビエナル、ロペ・デ・ベガ劇場の公演はなぜか長い。
次の公演に行く人もいるのだから、1時間半以上は強制終了にしてほしい、と思うよ、ほんと。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero.

ダビ・パロマール。何度も来日しているので日本でもおなじみのカディスのカンタオール。ギターにヘレスのボリータ、セビージャのラファエル・ロドリゲス、カディスのオスカル・ラゴという3人のギタリスト、パーカッションにロベルト・ハエン(フンコの弟) 、コーラス女性二人。ゲストに踊りのマリア・モレーノというメンバー。

亡くなったカディスのカンタオーラ、マリアナ・コルネホの歌うブレリアで舞台に登場。その後は、カディスには鉱山はないと歌うタラントにはじまり、マラゲーニャ、リビアーナ、ガロティンからのタンゴ・デ・マラガ経由トリアーナのタンゴ(チャノ・ロバートがやってたやつです)。カンシオン風ブレリア、カラコールやローラ・フローレスらをモチーフにしたセビジャーナス、アレグリアス、シギリージャ、ギターソロのファルーカ、ソレア、ルンバ、タンギージョそしてブレリア。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero.


マリアがバタ・デ・コーラでセビジャーナスを踊ったり、アレグリアスは闘牛のまねごとをしてみたり(しかしへっぴり腰)。ミラーボールが回転する中(これはチャノのビデオのイメージなんでしょう)のルンバではキューバ人バイラオーラがキューバ風(なのか?)な、前がミニスカートでうしろが長い衣装で登場し、ダビにからんだり、タンギージョではカルナバルのコーラス隊からマンドリンと合唱隊3名が参加したりと、いろいろ趣向はこらしてはいて、ショーアップされていて、通常の、カンテ・リサイタルとはまったく違う“作品”になっておりました。

Archivo Fotográfico La Bienal de Flamenco. Fotógrafo Óscar Romero.

こういうのはなにも彼が初めてではなく、前回のビエナルでのホセ・バレンシアのリサイタルもそうだった。が、ホセは踊りなどはなく、ギターとパルマだけで、歌う場所などを変えていただけで、主役はあくまでもカンテ。
それに比べると、というわけではないが、やっぱりとっちらかった印象は否めない。
かんじんのカンテもうーん、どうなんでしょう。え、これどこの誰のシギリージャよ、っていうような、メロディになったりはするものの、音程もリズムもわるくない。こなしてはいる。が、音響のせいもあるのか、歌詞もききとりにくいところがある。一生懸命なのだが、空回り、とまでいったら失礼か。チャノに対する敬愛はわかる。
が、彼はチャノじゃない。 自分の立ち位置を探している?
うーん。どうなんだろう。

一番よかったのは、昔のフラメンコ人形のようなマリア・モレーノが踊ったソレア。
エバ風の振り付けの伴唱はさすがにうまいし、安心してみていられる。
ここが彼の場所なのかもしれない。
マリアは回転するたび、ピンをとばし、モーニョがほどけてしまったのは残念だが、勢いのあるいい踊りをみせた。

私には頭の中でクエスチョンマークが点灯する感じだったけど、好きな人は好きなようだし、まあ、それは好みの問題なのかもしれないけど。
っていうか、フラメンコは趣味のもんだから、趣味が合う人あわない人いて当然だしね。
ただ、私は軽演劇のような、この舞台はあまり楽しめなかった、ということであります。






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