2024年9月21日土曜日

ペドロ・シエラ『ジャント・フラメンコ・デ・ラ・ギターラ』

 いやいや、すごいリサイタルでありました。

すごいじゃ足りない、ものすごい、だな。

舞台の上にはペドロ・シエラただ一人。1時間半10曲、プログラム通りに弾き切り、観客を熱狂させた、超絶リサイタル。1日3公演+無料公演という、日程もあってか、満員でなかったのは残念だけど、これまでに見てきた今年のビエナル公演の作品の中ではだんとつナンバーワン。個人のパフォーマンスでちょこちょこいいものはあったけど、一つの公演全体の完成度となると、これしかないでしょう。


始まりはロンデーニャ。一曲目がロンデーニャかミネーラという人が多いのはパコ・デ・ルシアのコンサート由来。パコっぽいモチーフもあるけれど、曲が進むにつれどんどん多彩な変化をみせる。ダイナミック。

バンベーラ、タランタ。指遣いの練習ですか、いや、普通の人には不可能なんじゃない?というようなテクニックで隙間なく音を詰め込んでいく。スピード感もあるし、すごい、としか言えない語彙力がもどかしい。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


静かに始まる、そのメロディの美しさ。だんだん饒舌になっていくような感じ。

若手でテクニックはあるのだけど、その羅列、ファルセータの羅列になってしまい、曲としてのまとまりがない、構成ができてない人とか時々いるけれど、そういう人たちにもこういう演奏を見て学んでほしい。

ファルーカもゆっくり始まる。この曲に限らず、昔ながらの、伝統的なフレーズとそれを変化させていくバリエーションの見事さ。そこからアップテンポにして盛り上げていく展開。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


ハイスピードのシギリージャ、マラゲーニャ、グラナイーナ、ソレア。アンコールのブレリア。



Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


舞踊伴奏で観ることが多いと思うけど、ソロ奏者としても自分のスタイルを持っている彼はソリストとしてもっと評価され、活躍してもいいと思う、と改めて感じさせてくれた。

58歳。円熟期。若い時のスピード感、テクニックが全く衰えを見せないどころか、さらに強化され風格も加わった。舞踊伴奏で鍛えられたからこそ、ということもあるのかもしれない。音がめいっぱい詰め込まれていてオレいう隙がないことが唯一の不満かも。あ、会場にいたマヌエラ・カラスコ様と、ペドロのお孫さんはハレオかけてました。

彼に限らず、舞踊伴奏でお馴染みのギタリストは、パコ・ハラーナやアルフレド・ラゴス、チクエロ、ヘスス・トーレスなどなど、ソロ演奏もめっちゃいい、すごい才能が揃っている。舞踊を観に行った時も伴奏者にも注目すべし、なのであります。



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