2024年9月27日金曜日

ラファエラ・カラスコ『クレアビバ』

 踊る!踊る!踊る!

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 

どこをどう切り取っても絵になる、動き、形の美しさ。
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 

音に、音楽に反応して踊る、靴音で音楽を生み出していく。
Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 

ラファエラ・カラスコが7月、フランスのモン・デ・マルサンのフェスティバルで初演したのは彼女が一人で踊る作品。
アンダルシア舞踊団『イマヘネス』、退任後の『ナシーダ・ソンブラ』『アリアドナ』『ノクトゥルナ』のように、舞踊団として、カンパニーメンバーと共に踊ってきた彼女が、一人になって、自分の中心へと潜っていって作ったようなのがこの作品。

芸術をつかさどるギリシア神話の9人のミューズ(女神)たちのタイトルがつけられた9つの場面からなっていて、歴史をつかさどるクリオで、ソレア、天文のウラニアでは四角いフレームドラムでヘマ・カバジェーロが歌う歌う民謡といった具合に進んでいく。そういった流れは最近の彼女の作品の演出家、アルバロ・タトが手がけ、演出にはコンテンポラリーのダンサーで振付家のアントニオ・るすが加わっている。薄いグレーを基調にした舞台、白い床、グレーの短い幕が舞台を囲み、ミュージシャンたちの作る円陣の中で踊り始めるオープニングから、洗練された雰囲気。詩(朗読の録音)で踊り、ヘスス・トーレスが弾き始め、ホセ・ルイス・メディナが引き継いでいくファルーカは独唱歌のエラトー。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León 

アントニオ・カンポスの弾き語り、ミュージシャンたちによるブレリアは抒情詩をつかさどるエウテルペ、そしてラファエラが一人で歌って踊る叙事詩をつかさどる女神カリオペの場面。この歌がまたうまい。
悲劇の女神メルポメネは黒の衣装の上に座り、ヘマが歌うロマンセで。一瞬にして舞台が真っ白になり(照明の力!)、喜劇の女神タリアでカンティーニャス、黒だと思った衣装が裏はしろで白いバタ・デ・コーラとなる。これがまた素晴らしかった。伝統の形がより洗練されより完璧な形になっているという感じ。美しい形に涙まで出てくる。美しいというだけで感動するものなのでありまする。音楽と動き。間合い、呼吸。形。余白の美。これこそが踊りだと思う。


スタンディングオーベーションの後、ラフィがマイクを取り、今年91歳になるご母堂に捧げる涙ぐみながら話したのも良かったね。
ありがとう。素敵なものを見せてくれて。

最近気づいたのだけど、私の舞踊の指針になっているのは実はマティルデ・コラルのようだ。彼女の形、フィロソフィーなど、習ったわけでもないけど、インタビューしたり、踊りを見たりするうちに自分の中に刻み込まれているようだ。マティルデ門下のラフィのこともだから大好きなのかも。

なおこの公演、ヘレスのフェスティバルでも上演予定のようですよ、お楽しみに。





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