2024年6月7日金曜日

アンヘレス・トレダーノ

セントラル劇場の公演には、ソロで初お目見えのアンヘレス・トレダーノ。ハエン県ビジャヌエバ・デ・ラ・レイナ出身。95年生まれというから28歳。これがちょっと変わった公演打た。

劇場に入ったら流れていたのは、翼をください、だった。日本語だよ。なんで?子供のような声。つい一緒に歌っちゃった。そっからして、ちょっと変わったコンサートだった。始まる直前にも夜の名画劇場みたいなテレビ番組のような音楽が流れたり。

客席にも普段のフラメンコ公演とはちょっと違った、パンクな人たちがたくさんいたので、ん?と思ったけれど、始まってみるとなるほど。これは普通のフラメンコ公演じゃない。

白いTシャツの胸に金の星、ふわっと広がったミニスカートにロングブーツ。アイドルみたいなファッション。自分でエフェクターを使って歌い始める。ちょっとエンリケ・モレンテのオメガを思い起こさせる。後で聞いたところによるとこれは彼女の『アラオラ』というテーマで彼女の村に伝わる歌を、今風にしたもので初のシングルとしてリリースしてるらしい。

このまま、エフェクターでバリバリ歌い続けるのか、と思うと、そんなことはなく、下手寄りにギタリスト、ベニート・ベルナルと座り、ギター伴奏でのシギリージャ。レバンテからのタンゴ。いや踊りじゃなくて、歌のリブレなレバンテからのタンゴだよ。曲順もシギリージャからとか、普通のカンテ公演とは一味違う。が本当にびっくりして、感銘したのは続くアレグリアス。彼女が子供の頃から一緒に歌ってきたという二人の女性と共にギターなしで歌ったこれが素晴らしかった。ポリフォニー。一人がメインのメロディーを歌い、それに従うように歌ったかと思うと、違うメロディ歌ったり。幕開けもそうだけど、これまたモレンテを思い出す。合唱と一緒にするのってエンリケが最初だったと思うんだ。声を重ねていくとか、モレンテが先駆者。

来週結婚式というカップルに捧げるソレア。ファンダンゴはセビジャーナスで終わる。やっぱどっか違う。最後のブレリアもしっとりと。フィン・デ・フィエスタの賑やかな感じとは一味違う。

抒情的な声とか、衣装とか、エフェクター使いとか、ロサリアの影響もあるのかな。でもロサリアよりもずっとフラメンコの知識と経験があるし、その上での自分のスタイル探し的な感じで好印象。

だけど、舞踊伴唱してる時とかと違って、コンパスの伸び縮みも激しいし、音程はいいけれど時々微妙に外す、ってかわざとなのかな? ギターも調弦があれ、って感じなんだけど、これもわざとやってるのか、単に外れているのか。

とにかく自由。なんでフラメンコにおいての自由はどこまで可能なのか、なんてことを考え始めたりしてしまったことでした。

とにかく型破り。最後はスタンディングオーベーションだったし、うん、また見に行きたい人には違いません。



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