2024年6月5日水曜日

オルガ・ペリセ『ラ・マテリア』

 セントラル劇場でオルガ・ペリセ。

開演前アンダルシア舞踊団に振付中のアルフォンソ・ロサや昔オルガと踊ってたこともあるマヌエル・リニャンらと話していたらエバ・ジェルバブエナ登場。会場には他にもホセ・アントニオやラ・ピニョーナらもいたし、うん、注目の公演。

ギター三部作の二作目。ロシオ・モリーナのギター三部作は歌なしでギタリストとの対話、っていう感じだったけど、オルガは、ギターそのものをテーマにしているという感じ。前作『ラ・レオナ』は今あるスペインギターの形の最初となったアントニオ・デ・トーレスの名器ラ・レオナをテーマにしていたけれど、今回はマテリア、材料がテーマ。ということで幕が開くと薄暗い中佇むオルガ。上手から木の板を持ってくる男性。その、木の上で、木を持って、というように、オルガが一人で、また男性と、木を使って踊る。

この男性が素晴らしい。聞けばコンテンポラリーのダンサーで、プレミオ・ナショナルもとっているダニエル・アブレウという人だそう。その動きが美しい。完璧にコントロールされ、音楽がそのまま動きになっているよう。圧巻。

いろんなフラメンコ舞踊家がコンテンポラリーダンサーと共演しているけれど、この人は格が違う。で、ダンサーとして個人の能力がすごいというだけではなく、自己主張を抑え、オルガをサポートしていく。二人で踊るところのバランスの良さ。フラメンコかフラメンコじゃないかとかそんなこと全然考えなくていい。とにかく美しく、観ていて気持ちがいい踊り。時に感応的、時に攻撃的、かと思うとパズルのようだったり、会話のようだったり。というのも頭の中に次々に浮かぶ考えとも言えなカケラのようで。ってこれはオルガがコンテンポラリーをちゃんと勉強してるってこともきっとあるんじゃないかな、勉強したのかどうか知らないけど、きちんとした知識があってやっているという気がする。

また彼が一人でギターを両手に持って踊るところがあったのですが、ギターの重さが感じられない、まるで飛んでいきそう。手品のよう。きっとこれも重心の捉え方とか、そういう技術なんだろうけど。とにかくすごい。

フアンフェ・ペレスがエレキベースで歌うように演奏するソレア。ハビエル・ラバダンのドラムスとベースのシギリージャ。マントンで二人で踊って始まるペテネーラ。ホセ・マヌエル・レオンのギターも思わずオレが出てしまう見事さだったし、いやあ、共演者大切。

今回はギターの材料である木をめぐる連想ということだと私は観たけど、作り手の思い、表現したかったことを全部受け取っているかは疑問。でもね、わかんなくても楽しめた。それでいいじゃん?

コンテンポラリーももっと観てみたいな、と思ったことでした。



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