2024年5月22日水曜日

ダビ・コリア『ロス・バイレス・ロバーダス』

 踊る、踊る、踊り続ける。3人の女と2人の男。輪になって、列になって、同じ動きもあれば違う時もあり、一人で、二人で、三人で、フォーメーションを変え、舞台をいっぱいに使って踊り続ける。

サパテアードも重要なテクニックの一つとして使っているけれど、全体の印象はスパニッシュ・コンテンポラリー。音楽も、フラメンコ以外のものが大部分、ダビ・ラゴスの最高にフラメンコな声もあるけれど、それをそのまま踊っていたのはほんの少し。チェロでのファルーカのコリアのソロ。とダビの歌うアレグリアスに足で答えるコリアくらい? ダビと男性ダンサーが歌うセビジャーナス・コラレーラは手を組んだ女性ダンサー3人が踊ってたけど。チェロ奏者 イシドラ・オリャンが歌うエル・ビトとかクリスタルボウルの音とか、ちょっとスピリチュアル系な匂いもして眠りを誘う。私的にはフラメンコがもっと欲しい、というのが正直なところ。イスラエル・ガルバンとの共演でもお馴染みにサックスのフアンMヒメネスとダビ・ラゴスのデュオは好き。

ワークインプログレスを昨年3月にヘレスで見て、夏にイタリカで初演みて、今年2月にヘレスで見て、と来たわけだけど、今でも最初のが一番良かった、という気持ちは変わらない。それでもヘレスの時よりも前方中央と席が良かったこともあってか、ヘレスの時よりも良かったような気はする。

同じ作品を何度も見ると(この作品はヘレス、イタリカ、ヘレスで内容がだいぶ変わっているけれど)最初に見えてなかったものが見えてくるってのもあって、今回は特に照明の素晴らしさに目がいったのでありました。

照明はグロリア・モンテシノ。ラファエラ・カラスコの作品なども手掛けている舞台照明家。もやがかかったようなオープニング。バックが黒、黒い衣装というと、見えにくいことが多い印象があるけれど、表情も動きもはっきり見える。この作品の物語的な諸々を全部理解できたとは思わないけれど、照明による説明というか、照明が作り出すそれぞれのシーンの雰囲気は伝わってくる。照明は踊りの一部、というと語弊があるかもだけど、いい照明は舞踊をより良くする。見せたいものを浮かび上がらせる。そんなふうに思ったのでありました。




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