2023年10月6日金曜日

アゲダ・サアベドラ『ベネロ』


 2022年ヘレスのフェスティバルで、アンダルシア舞踊団とメルセデス・デ・コルドバの群舞でありながら新人賞を受賞したアゲダ・サアベドラの初めてのソロ作品。今年のヘレスで初演したが未見だったのでセントラル劇場へ。

よくまとまった作品だと思う。照明も、フアン・カンパージョのギターも美しい。メルセデス・デ・コルドバの演出ということもあり、ジェルバブエナ系というか、メルセデスぽさが、構成にも振り付けにも色濃く出ている。

ベネロとは泉の意ということで、ポトン、ポトンという水音の中、舞台中央奥に置かれたフライトケースの後ろからゆっくり手を出していくオープニングはコンテンポラリー風だけど、ギターの音に彩られ、カンテが注がれ、フラメンコ色に染まっていく。アレグリアス、ブレリア…リズム遊び。

黒いバタ・デ・コーラでの、カスタネットのシギリージャが一番の見どころだったのではないかと思うし、バタを歌い手にふまれ身動きできず終わって倒れた彼女が脱いだバタがかけられ手を出すところで終わってもよかったように思うのだけど、その後も続き、ソレアで盛り上げ、また水音に戻って終わるという構成。

アゲダ、舞踊団作品じゃないところで踊っているのをみたのは多分初めてだったのだけど、イタリア風美女(ソフィア・ローレンとかモニカ・ベルッチとか系)なんだけど、首を前に突き出し顎を引いて踊るせいで、顔が大きく見えてしまうのが勿体無い。正面から見て首が見えない。コロカシオンフェチな私は、そこが気になって気になって。

あと、ミュージシャンたちも含めメルセデス色が強すぎて、アゲダという人が見えてこない。まあこれは最初の一歩だから、次作に期待、でしょうか。まあ、誰もがクリエーターというわけではないし、色々難しいですね。


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