2020年10月3日土曜日

イスラエル・ガルバン&シルク・ロマネス『ガトマキア』

イスラエル・ガルバンの新作はパリのジプシーサーカスとの共演。
セントラル劇場に入ると、舞台は客席とフラットになっており、舞台脇にも客席ができています。可動式の客席であるこの劇場ならでは。
真ん中に赤い丸い円。後ろにはカーテン。と、サーカスのテントを模しています。
そして片隅には猫!本物の猫ちゃん!



一本歯の高下駄で登場し、なんと、これでサパテアードするんですよ!
歩くだけでも大変なやつですよ、これ。
歌いながらこれでサパテアードやってるの。歌というか、ごちゃごちゃした掛け声。
最後なんてベティ、ベティと彼が愛するサッカーチームの名を唱え、ゴール!とか言ってたし。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

客席の隅でブーツに履き替え、猫の鳴き真似をしながら、イスラエルファンにはお馴染みの金属製のゆり椅子(確か『アレーナ』で使ったのが最初)を使って踊ります。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

ここでサーカス一座の親方であるお父さんが説明したのによると家族と19匹の猫でトレーラーハウスに暮らし、ショーを行なっているそうな。彼がイスラエルの公演を観に行った時に、イスラエルが今度はあなたたちのを観に行きます、と行ってやってきたのが最初で、その後、空いているトレーラーハウスに2ヶ月住み込んだんだそうな。

おどけた音楽で登場し、帽子を使って踊ったり、ピエロでございますな。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

カーニャの歌詞をギター弾きつつパソドブレ風に歌うカラカフェ。

エプロンつけて、ポケットからおもちゃのピストル出したりして踊ったり。ドラえもん?(後ろで見てた友だちに聞かれて、あ、たしかに!と思ったのでした。)

小さい丸い台に乗って踊ったり。

サーカスのカリカチュアって感じ。最初の高下駄も竹馬に乗ってるような感じだしね。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

『フィナル・デ ・エステ・エスタード・デ ・コーサス』で使った(ひょっとすると『ガルバニカス』でもかな?)所々、凹んだり、跳ね上がったりする板の上で踊って、その上に並べられた鍋釜フライパンを落としたり。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

今度はカフェエプロンに替えて、闘牛場の喝采の中、ポーズだけで踊ったり、サパテアードにピトーや体叩いたりの人間パーカッションになったり。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

猫に餌をやり、というかぶちまけ、その上でサパテアード。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

猫の鳴き真似で歌われる曲で猫耳つけて踊って、

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

バストン使って踊ったら、最後、バストンが尻尾になるというオチ。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

カーニャ風ガロティン、ガロティン風カーニャ?とかも面白い。

とここまで45分、ほぼ踊りっぱなし。

「僕の妹」と紹介し、パストーラ登場。王冠つけて、超ピンヒールで色っぽく動く。

さっきの高下駄がピンヒールに変わって、これもやっぱり竹馬なのね。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

金色の靴に履き替え、カラカフェによる詩(エウヘニオ・ノエルがパストーラ・インペリオの踊りをたたえたもの)の朗読で、踊る。ソレアのリズムでマルカールしていく感じ。

そのフラメンコなこと!

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

なんかね、ちょっと太ったんだけど、その太り方が理想的で、よりフラメンコで、よりセクシーな感じ。

裸足になって、エプロンつけて、カラカフェが奏でるスペイン歌謡のアレンジ集はラジオのイメージかな、おばちゃんが台所で踊っている感じで、彼女の作品『パストーラ』で最初にタンゴ踊ってた、あの感じ。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

フライパンをギターのようにしたり、ブルブル震える機械の上で、声だしてビブラートかけたり。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


で、次はサーカスの登場。大きなワッカを回してそこに乗ったり、

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

フラフープにしたり
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

新体操のような女の子と絡みながらのお手玉だったり、素朴な芸。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

布に体巻き付けての空中遊泳エアリアルがこの日一番の大技。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

彼女が空中ブランコに座って、そこに猫が登るはずだったのだけど、猫、餌食べ過ぎか、登らず。ハムでつるも、登らず。またたびでも送ってあげようかしらん。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

再び登場した兄妹による踊りはかつてマエストランサ劇場で踊ったセビジャーナスだよね?

音楽違うけど。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

ルーマニア風のジプシーダンス?をスカートひらひらさせて踊ってフィナーレ。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


曲はラス・グレカスの『Anma Inmi』

客席にいたイスラエルたちのお母さんや弟も舞台に出てひと踊り。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

 ジプシー万歳、ってとこですね。

ん〜。イスラエル、パストーラ、サーカスの三部構成って感じで、バラバラな感じだったのはちょっと期待外れかも。

いやね、イスラエルが自由に遊んでる、っていうか。

いつか観たような動き/振りが多く、ある意味、今までの踊りの総集編みたいな感じで、新味はないけど、足技もすごいし、腕なんかもばっと伸ばすとそれがどこまでも伸びていくような感じがするくらいに、個人技は堪能できて、それはそれで満足だし、パストーラのかっこよさも再認識できたし、それはそれで良かったんだけどさ。でもやっぱもうちょっとつながって欲しいというか。

サーカスの人が膝叩いて踊るのとか、一緒にやるかな、と思ったんだけどなあ。なんかこれだと一緒にやる意味があんまないような。


結論。天才はやりたいことを自由にやることができる。

天才の見せる一瞬見たいもんなあ、やっぱり。

あ、今回なぜかあんまりイスラにいつものような内包するコンパス感じなかったんだけど、なぜだろう。解体中?

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