静岡の、グランシップ中ホールで、小島がすっと腕を天に伸ばした瞬間、天とつながった。
雲の隙間からお釈迦様が垂らした糸のように、光の道ができた。
そんな気がした。
そんな永遠に記憶に残るような瞬間を感じることができただけで静岡まで来た甲斐があったと思う。
SHIZUOKA せかい演劇祭の一環で、5月2日に上演された『叫び』。
作品というよりも、昨年秋の公演で小島舞踊団の柳谷歩美、松田知也と、小島とフラメンコ協会の公演で共演した石川慶子、漆畑志のぶ、知念響の5人によって踊られたバラディージャ・デ・ロス・トレス・リオスや、柳谷と松田のパレハによるソレア、石川、漆畑、知念の3人によるファルーカ、チクエロのギターソロという、個別のナンバーが次々に登場するガラ公演的なものだった。が、最後に登場した小島は唯一無比。なにものでもなくすべてであった。男でも女でもなく年寄りでも子供でもない。華やかかつ地味。彼が長年愛し追い求めてきたフラメンコへの切なる思いがそのままそこにあったのだと思う。
4日のスタジオ公演では山形志穂による男装のファルーカ。フリルのブラウスにベストとパンタロン、と伝統的な衣装で正統派の振り付けを真摯に踊っていて好感が持てた。松田知也はアレグリアスを気持ち良さそうに踊り,柳谷歩美はティエントで確実な技術と多彩な表情で楽しませてくれた.その後チクエロのグラナイナのソロに続き来日アーティスト三人によるカンテソロ。トップバッターのミゲル・ラビは舞踊伴唱よりもさらに魅力的。ヘレスらしいソレア・ポル・ブレリアもファンダンゴも歌好きが喜びそう。続くドゥエンデもマラゲーニャからのアバンドラオのロンデーニャ(この伴奏がモダンでめっちゃ良かった),最後はロンドロがビダリータとカンティーニャと幅広くも深い味わいで聴かせて締めた。そして小島.先日の劇場での人間離れした感じとは違いもっと身近な感じ.距離や空間の違いだけじゃない違いが興味深かった。
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