2024年10月1日火曜日

ラ・トレメンディータ&ラ・カイータ『マタンセーラ』

 マヌエルの公演がとても良かったので高揚した気分のまま、23時からのラ・トレメンディータイとラ・カイータの公演へ。

そしてこれがまたとてもとても良かったのであります。

トレメンディータはセビージャ、トリアーナ生まれの40歳。左は刈り上げ、右は巻毛の長髪というユニークなスタイル。エレキベースやギターでの弾き語りで伝統的なフラメンコを今風に、トレメン風に届ける歌い手。カイータはバダホス出身の64歳。野生的な、エネルギッシュな歌いっぷりで、知る人ぞ知る、エストレマドゥーラ地方を代表するフラメンコ歌手。

この二人が一緒に公演、ということを聞いた時からドキドキしてた。なんだかわからないけどこれはきっとすごい公演になるに違いない、と。予感的中。

すごかった。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


トレメンのベース弾き語りでのマラゲーニャに始まり、タランタを歌うとカイータが登場し、カルタヘネーラを。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

タンゴは、トリアーナとエストレマドゥーラの架け橋。

あとはもう止まらない。マルティネーテにハレオ・エストレメーニョ、ファンダンゴにソレア。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

一見、トレメンが、カイータを自分のテリトリーに連れてきてコントロールしているようにも見えるのだが、実は、そのトレメンのテリトリー、彼女のスタイルというのは、伝統的なフラメンコで、楽器や姿がちょっと違うだけなので、二人は深く理解しあい、トレメンのかイータへの深い敬意と愛情により、カイータはとても心地よい空間にいたのだと思う。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

だから、彼女は歌い、踊り、まるで内輪のフィエスタで歌い踊っているかのように。楽しんでいたように見えた。で、多分その想像はあっている、と思う。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

二人の共犯者感というか、当事者だけに共有される感覚みたいなものが響き合い、二人が楽しんでいることが伝わって、観ているこちらも楽しくなる。

フラメンコは楽しむもの、なのだ。苦しんだり、競争したりするものではなく、共有し楽しむものなのだ、と改めて教えてくれた、そんな作品でありました。

なおタイトルのマタンセーラとはマタンサという、家畜を屠殺してチョリソなどに加工する時、血の処理などをする女性のこと。フラメンコの、アルテの血にまみれて、自分の仕事をし、すくっと立つ彼女たちほどかっこいいものはない、のであります。

しかし今回のアンダルシア近代美術館なんですが、場所が遠い!車も滅多に通らぬところで日曜23時からの公演ってどうなのよ。タクシーも日曜少なくて捕まりにくいし、また会場も入場してから飛行場ですか、って感じですごく歩かされ、迷子になりそう、いや足腰弱い人たどり着けないでしょ、というのも、なんだかなあと思う。
あと音響。今回のビエナル全般、どうしてあんなにボリュームあげるんだ。私は毎日耳栓命で会場にいます。今年はいつになくセビージャ人観客多いと思うけど、セビージャの人、耳丈夫なんですか、耳遠いんですか?私あの大音量生で聴くと耳痛くなるんですけど。

ってのは置いといて、この二人の公演、またどこかで見たいなあ。できればビールも飲めて、スタンディングも可能なライブハウスか野外フェスみたいなのがいいなあ。


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