2024年9月16日月曜日

ガウタマ・デル・カンポ、ぺぺ・バオ、ティノ・ディ・ジェラルド他『エレメントス』

23時からアラメーダ劇場で2015年ウニオン優勝のサックス奏者ガウタマ・デル・カンポ、

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

2013年ウニオン優勝のエレキベース奏者、ぺぺ・バオ、
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パーカッション奏者ティノ・ディ・ジェラルド、ギターのエセキエル・レイナ、


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からオスクーラ
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というメンバーで、大人のフラメンコフュージョン、という感じのコンサート。

アラメーダ劇場は冷房故障で暑かった!けれど、トリアーナのソレア、ブレリア、シギリージャ、サンブラ、タンゴ、ブレリア。

特にぺぺ・バオの超絶技と安心のティノが素晴らしく、耳に心地よい。

ぺぺ・バオ、機会があったらぜひ見てくださいね、この日のじゃないけど、ビデオあったので貼っときます。


この日1日でビエナル三個の公演見たわけだけど疲れました。やっぱ三個は無理なんで、なるべく一個、たまに二個くらいにしておきます。


 

マヌエル・リニャン『ムエルタ・デ・アモール』

満員のマエストランサ劇場が大喝采に包まれた。
マヌエル・リニャンの新作『ムエルタ・デ・アモール』はスペイン歌謡とフラメンコを組み合わせ、モダンにショーアップした作品。

歌えるダンサーたちを集めて、歌って踊る新しいタイプのエンターテインメントを作り出した、という感じ。
女装男性が踊る『ビバ!』もエンターテインメント志向だと思ったけれど、これはより振り切った感じ。
ミュージカル風とでもいうのかな。フラメンコというよりショーダンス、といった振り付け/場面もあります。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León
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金髪のドーンとしたセニョーラがスペイン歌謡を熱唱し、スペイン歌謡の歌手だとばっかり思ってたらマラ・レイでした。押し出しが立派。超貫禄。


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とはいっても、もちろんフラメンコもあります。注目の新進、フアン・トマス・デ・モリアのノンストップ超絶饒舌なアレグリアス。リボンを結んだ輪っかを使ってのセビジャーナス。マノリージョのソレア。女性的でも男性的でもない、彼独特のスタイルが出来始めているような。


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 最初の方にはボレーラを踊る子、最後の方には民族舞踊を踊り子もいて、ボレーラの形、とても美しくようございました。


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でも私が一番気に入ったのは、実はセビジャーナスのギターソロ(フランシスコ・ビヌエサ)だったりするのも事実。

周りが興奮するにつれどんどん冷めてく私の気持ち、場違いなところに来てしまった感をどう説明すればいいのでしょう。フラメンコ見にきたら歌謡ショーだった、みたいな。ダンサーそれぞれも実力者だし、新しいスタイルを作り出すリニャンもすごい。それはわかるんだけど、観客を熱狂させる何かがあるのに私にはそれが見えてないような。熱狂してた友達と今度ゆっくり話をして、私に見えていない何かを知りたいと思ったことでした。


2年前のロシオ・モリーナ、本人がフラメンコじゃなくパフォーマンスと言ってた作品では、私は熱狂し、おおかたは否定的な意見だったことを思い出しました。ひとりひとり見えてるものが違うんだな、と。        


初演時のビデオあったので貼っときますね。


ビエナルのオフィシャルのビデオも。



セグンド・ファルコン『エントレ・ドス・ギターラス』


19時からサラ・トゥリナでセグンド・ファルコン。
古風な響きながらポピュラー音楽のメロディを混ぜたりもする柔軟なスタイルで知られるラファエル・ロドリゲスの、シギリージャ、エバ・ジェルバブエナのパートナーとして繊細かつ芯がある演奏のパコ・ハラーナのファンダンゴと、二人のギタリストのソロに始まり、
パコがそのままグラナイーナを弾き始め、セグンドが登場してモレンテ風に歌う。

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グラナイーナはもっとしっとりと歌うイメージなのだけど、大きくパワー全開で歌い上げる。続いて、リビアーナ、セラーナ。ポロ、ロンデーニャ、ファンダンゴ・デ・フラスキート・ジェルバブエナと歌い継ぐ、いわば山の歌集。これも、続くソレア・アポラーもう歌い上げていく感じ。音程も不安定だし、時に声絞ったりはするものの基本大声。個人的に大声は苦手。でも客席からオレ!もかかっていたので好みは色々だな、と。


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この時点で20時となり、次の公演があるので退席しました。


 

2024年9月15日日曜日

アンドレス・マリン、アナ・モラーレス『マタリフェ/パライソ』

 セビージャにちょっと長く住んだ人なら知っていると思うのだけど、セビージャは聖母さん、キリストさんの街なのです。聖像を輿に乗せて、目だけ開いたとんがり帽子姿の信者と共に街を練り歩く有名な聖週間だけでなく、何かと聖像の行列が繰り出す街。ポベーダ見に行く道でも楽隊の行進に出会い、昨日は帰り道、聖像の大聖堂詣終わりの人混みに遭遇。そんなセビージャを知ってたら、すごくセビージャな作品だなあ、と思うだろうな、という作品でありました。

客席から演奏される聖週間の楽隊のコルネットで、上半身裸のアンドレスが一人踊り始める。舞台下手には肉屋の作業台。皮を剥いだ羊がぶら下がっている。その肉を切りながらアントニオ・カンポスが歌う。アンドレスは手につけたヤスリ?をズボンに擦り付けて音を出しながら踊る。寝っ転がったアンドレスのソレアでアナが踊り始める。長い付け毛をつけて。

アナは天性のダンサーなのだろう。手、腕、足、といった各パーツがそれぞれ独自の意識を持って動いているようで、こちらに語りかけてくる。

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きっとそれぞれにちゃんと理由があるのだろうけれど、それを全部理解する必要は多分なく、私たちは目の前に繰り広げられる音楽と動きを追っていけばいいのだと思う。
生肉を口に咥えたり床に放ったりまた加えたり、というのはカルネ、肉という言葉が食べ物としての肉だけでなく、肉欲とか、肉体とか、身体の意味でも使われるからなのかな。

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二人が聖母とキリスト像になったり、ブレリアがあったり、セビジャーナスがあったり。
セビージャのロック歌手、シルビオがスタンドバイミーのメロディにのせて歌った『レサレ』をアントニオが歌って、キリスト像のように壁に張り付いたアンドレスとアナの二人がサングラスかけたり、その前で楽隊の二人はボカディージョ、スペイン風サンドイッチ食べてたり(長い時間行列で歩く聖週間につきものの風景)とか、いや、これ、セビージャ知らない人見たらどう思うのかな、と思うような場面もいっぱい。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León


でもやっぱ先日リハーサルで見た、コルネットとパーカッションで踊る二人のデュオは素晴らしく、この場面だけであとはおまけ的にも思える。個人的には。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

最後は二人で教会の塔を積み木のように積み上げ、その中へ入っていく。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

と、舞台上で起きたことを順に追ってみたけど、何が何だかわからない、という人も多いだろう。劇場で見ていた人もそういう人もいるかもしれない。

マタリフェとは屠殺人、パライソは天国。作品についてのコメントの1行目に、天国への道は犠牲の問題、とあり、なんとなく、これ読んだだけでなんとなくわかった気になるけど、いやいや、いろんな思いはあるのだろうけど、アンダルシアの文化である信仰の音楽やモチーフを演じることで一歩前に進もうとしたのだろうな、と思う。フラメンコの曲やサパテアードなどの技術は使いつつも、古典的なフラメンコの枠組に縛られず、自由に、言葉にならない自分の考えや想いを語りたい、ということだったのだと思う。

フラメンコは踊りも歌もギターも、演者のその時その時の選択によって歌やメロディ、振りを変えることができる、かなり自由がきくアートだと思うのだけど、曲種ごとのリズムやメロディ、キャラクターなどの規則もたくさんあるわけで、で、またそこが、その制約の中でどう表現するかというところが、面白いところではないかと思っているのだけど、それすら捨ててもっと自由に自分の表現を求めるアーティストもいる、ということかと思うのでありました。


ビデオ貼っときますね。






マノロ・フランコ『エル・コロール・デ・ミ・ソニード』

14日19時からはサラ・トゥリナで、1984年ビエナルのコンクールでヒラルディージョ賞受賞。翌年、ソロアルバム『アルヒベ』を発表したベテラン・ギタリストのコンサート。

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マティルデ・コラルの舞踊教室の伴奏でキャリアを始め、カンテ伴奏で数々のフェスティバルで活躍。その後、コルドバ音楽院のフラメンコギター教授を務めたギタリスト。1990年に小松原庸子氏企画のビエナルのスターたち、というタイトルの作品ツアーで、モライートやミラグロス・メンヒバル、ハビエル・バロンらと来日したこともある。

ミネーラ、ソレアのソロに始まり、パーカッション、第2ギター、カンテ3人、バイレ1というグループが加わり、アレグリアス、グアヒーラ、ファンダンゴ、ソロでファルーカ、再びグループで、タンゴ、シギリージャ、ポプリ(スペイン歌謡『オホス・ベルデス』などのメドレーというかミックス)、アンコールでブレリアという構成で1時間半。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León



 個人的はマティルデに捧げたのだろうと思うグアヒーラが、踊りが見えてくるような演奏で、好みでありました。最後にちょっとケコというコルドバのダンサーが踊ったのだけど、体の使い方とか腕や手の動かし方が笑っちゃうくらいにハビエル・ラトーレそっくりだったのが面白かった。昔、ビセンテ・アミーゴのグループで来日したこともあった人です。

前回のビエナルでも、この同じホールでギターのリサイタルのシリーズが行われたけど、ギター一本勝負。今回はグループもあり、ということで、構成とか変化はつけやすいかもだけど、靴音やパーカッションでギターが聴きづらかったりは本末転倒。また、歌い手も大声すぎて、主役のギターを引き立てているという感じではなかったのもちょっと残念。こういうグループでの演奏というのも、パコのセクステットの影響だと思うけど、うーん、共演者の選び方とか皆、もっと考えるべきですね。音響板使ってたせいもあるのかもだけど、マイク使うなら音響板いらないと思うんですが、どうでしょう。



2024年9月14日土曜日

ミゲル・ポベーダ『フェデリコ・イ・エル・カンテ』

 




スペインで最も人気がある歌い手、ミゲル・ポベーダはビエナルのためにロルカゆかりの伝統的なカンテを、ヘレスの少年カンタオール、マヌエル・モンヘを少年時代のロルカという設定でそれぞれの歌の説明をさせるという芝居仕立てでの新作を披露。

開演前の暗転から、照明で、舞台前面に立つミゲルが浮かぶオープニングはあっ!という驚きで、そこから歌う、無伴奏のカバルは、これから何が始まるんだろう、というドキドキ感もあって、良かった。


Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León



          Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

ミゲルは才能に恵まれているだけでなく勉強家だし、どんなカンテも自分のものとして歌うことができ、コミュニケーション能力も高く、人の心をつかむ本当の“アルティスタ”だと思う。

カンシオン歌謡ではなく、正統派カンテと真っ向から向き合って、全力投球で見事に歌い上げる。その歌だけで説得力があると思うので、解説や小芝居(マヌエルくんはお芝居もお上手だったけど)が果たして必要だったのか、という疑問は残る、っていうか、そんなんなくて、ただ、普通のリサイタルで良かったのでは?と思うのであります。

ロルカも発起人の一人だった1922年に行われたグラナダのカンテ・ホンドのコンクールで優勝したテナサスのカーニャをはじめ、コンクールに出演したり協力したアントニオ・チャコン、マヌエル・トーレ、パストーラ・パボン“ニーニャ・デ・ロス・ペイネス”、トマス・パボンらのカンテ。中ではパストーラが歌ったロルケーニャがなんとも懐かしく、そういえば長いことパストーラ聴いてなかったわ、と思い出させてくれました。パソコンにパストーラの全曲集入っているんだけどね。

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

曲目としては現在ツアー中のポエマ・デ・カンテ・ホンドと重なるところも多く、サポートメンバーも、ギターにヘスス・ゲレロ、パルマにカルロス・グリロ、ロンドロ、マカリネス、パーカッションにパキート・ゴンサレスという面々も一緒なのだけど、ゲストで、ヘレスのお婆様たちとディエゴ・デル・モラオが唐突に登場してブレリアのフィエスタをやったり、後半、エバがバンベーラを踊るとか、

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最後、聖週間の楽隊が登場して、サエタ歌うとか

Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León

スペクタクル感のある場面も作って、というのはさすがのエンターテイナーでございます。

ただ音響はボリュームがデカすぎて、低音が響きすぎ、耳にティッシュ詰め込ん真なくてはいられない状態だったのはちょっと残念でございました。

エバ、衣装がちょっとゴテゴテしたジャケットとかなのはなんかちょっと違う、って気もするんだけど、踊りはより熟成された感。今さらなんだけど、一つ一つの動きが丁寧で完成されている。歌との呼吸、とか、音楽との一体感あってこそのフラメンコだなあ、と改めて感じさせてくれました。



       

2024年9月13日金曜日

ビエナル開幕ガラ『カウダル』

 なんというか、本当に、パコの偉大さを改めて感じさせる公演でありました。


トマティート、アウロラ・バルガス、ミゲル・ポベーダ、イスラエル・フェルナンデス、ファルキートがゲストという、超お買い得詰め合わせセットみたいな出演者。いやメインはパケーテ、デイエゴ・デル・モラオ、アントニオ・サンチェス、ホセ・デル・トマテ、ダビ・デ・アラアルという5人の世代の違うギタリストたちで、パコの曲をソロで、デュオで、トリオで、グループで、という形で綴っていくというものなのだけど、パコの曲もそのまま演奏するだけではなく、アレンジされていたりするし、ゲストのパートも、トマティートは『トゥーマッチ』から始めたし、アウロラが歌ったタンゴも『ソロ・キエロ・カミナール』以外はほぼいつものレトラたちだったり。そこらへん、ポベーダ、オマージュしたレトラとパコゆかりのレトラを組み合わせて歌ってて、さすがだな、と思ったことでした。でも2時間の公演は流石に長いし、演奏者の構成が変わるので仕方ないとはいえ、大道具さん(なのか?)がしょっちゅう舞台に出て椅子動かしてるし、ガラ公演だからしょうがないのかな、と思うけど、色々、もっとなんとかなったんじゃない?と思ったことでした。ほらさ、椅子動かさなくてもいいように、最初からあちこちにセットしておくとかさ。ここオペラ劇場で舞台広いし。

 Archivo Fotográfico de La Bienal de Flamenco / ©Laura León
イスラエル・フェルナンデスの歌で踊るファルキート。このジャケットがギターのデザインで、後ろにギターホールがあって、右手で隠れているところがギターネックになっている。


でね、パコの曲やフレーズ演奏するでしょ、でも間合いが違ったり、コンパスの回し方が違ったりするわけなんですよ。うーん、ガデスの『カルメン』をアドリアンが踊ったのを最初に見た時のような違和感というか。いや、そこは足がもう少し、伸びる、そこの姿勢は、とか頭に入っている姿と重ね合わせて違うよと思う感じ、と近いかもしれない。

で、音の芯というか重みがまた違うわけで。それはそうですよ、違う人間なんだから。こっちも別にパコのイミテーションを求めているわけじゃない。でもさあ、パコを演奏するならあの重みとかコンパス感覚とかがやっぱ懐かしくなる。ファルキートに習って、そのパソやってるのに歌に足を入れちゃう人っているじゃないですか、いや、だから、そうじゃなくて、ファルキートの歌に呼応するマルカールとか持って帰ってきてほしいなあ、って思う感じ。

個人的には、さすがのトマティートだったし、ディエゴ・デル・モラオがやっぱ良かった。音の太さとか、コンパスの回し方とか、モラオだけどやっぱパコにもいっぱいもらってきたんだなあ、と感じたことでした。当たり前なんだけど。ダビ・デ・アラアルのソロも良かったよ。

昔、パコにギタリストは誰が好きかと聞かれて、モライートと言って「違うスタイルだけどいいギタリストだね」って言われたことだとか、パコの公演聴きにきてたディエゴをパコに紹介しようとしたけどいいよとか遠慮してるうちにパコが帰ってしまったヒメナでのこととか(その数日後にパコから電話があり録音で一緒に演奏することになった!)なんか、見ながら色々思い出してた。思い出は財産。

それとね、実はこの夜の主役だったのはずーっとカホン叩きまくってたピラーニャかも。何がきてもしっかりサポート。かっこいい。

©︎ Kyoko Shikaze 2010年ラ・ウニオンでのリハーサル中のピラーニャ。ちょっとボケてるけど

ピラーニャとはピラニアのこと。つまり食い尽くす人なんです。パコのグループにいる時もいつもケータリングにいたような記憶。この写真にも食べかけのサンドイッチが写ってますね。あんだけのパワーにはやはりエネルギー必要ってことですよね。



あと一つ、これは舞台と関係なく最悪だったのは、私の前の席の二人と隣の席の人が度々ビデオ撮影してたこと。あれ、非常に明るいんで、視界に入っちゃうんですよ、舞台に集中したいのに。禁止されてるのに、マエストランサは通路が少ないせいか、注意しにも来ないし。入場料50ユーロで、お土産持って帰りたい気分はわかるけど、やっぱダメでしょ。写真なら一瞬だけどビデオ、長々撮るんだよ。ほんと頭くる。昔、パコのグループでの東京公演で、ラモンが公演中に舞台袖から客席にいた私に合図して、駆け寄った私に何列目のどこどこあたりでビデオ撮ってるから注意してくれ、って言われて、劇場の人にいってやめさせたことがあったなあ、そういえば。あの頃は赤いランプがつくので舞台からわかったそう。

禁止されてることで周りに迷惑かける奴らにおろしたての靴で犬のうんこ踏むとか、鳥のフンが落ちてくるとか、どうぞ天罰を与えてやってください。



ビエナル開幕

 

©︎ Kyoko Shikaze左からティノ・ディ・ジェラルド、パコ・デ・ルシア未亡人ガブリエラ、ラファエル・デ・ウトレーラ、トレメンディータ、アルヘンティーナ、監督、文化担当官・ガウタマ・デル・カンポ、オレマトン製作者。



いよいよビエナルです。

朝11時からトリアーナではオレマトンという、みんなのオレを録音するという現代美術?みたいなものをやっていて、その前で、出演者らと記念撮影。

今年はパコに捧げるということで、セビージャに来たというガブリエラに久しぶりで会えたのがうれしくて、そのままビエナルの事務局がある陶器センターに行っても、ずっとおしゃべりしてた。パコの第一次セクステットの最後のカンタオール、ラファエル・デ・ウトレーラも一緒に。あの時乳母車に乗ってたお嬢さんがもう20代だって。月日の経つのは早いもの。




夜は、アメリカ広場で、サラ・バラスによる開幕宣言、プレゴンとセビージャの舞踊教室生徒とアンダルシア舞踊団によるフラッシュモブがアップされていたので貼りますね。


https://www.youtube.com/live/Xk0-uPRS0wI?si=m8fny6T4cTO6FRT2&t=585

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フラッシュモブって、予告なく現れてやるものだったけど、スペインでは予告ありで、みんなで参加してやるもの、的になっています。

2024年9月12日木曜日

映画『ラ・シングラ』





旧万博会場内の地中海三文化財団では、ビエナル並行プログラムの一つとして毎週火曜日に無料のフラメンコ上映が行われているのですが、10日上映された『ラ・シングラ』を観てきました。
ラ・シングラ。名前を聞いたことがあるという人はかなりのフラメンコ狂ではないかと。
60年代から70年代かけてに活躍したバルセロナ出身の踊り手。
パコ・デ・ルシアらも参加していたドイツでの『フェスティバル・フラメンコ・ヒターノ』の録音で、その名前だけは知っている人も多いのかも?
カルメン・アマジャの『バルセロナ物語』にも出演しています。髪油を少量買って通りで踊る少年少女の場面、覚えていますか?あの女の子です。

映画は彼女という存在を知って、その謎を追っていく形。推理小説を読んでいるような、ドキドキ感で最後まで見せてくれます。


耳が聞こえない踊り手だという彼女の生い立ち、スペインおよびヨーロッパでの活躍、そして、なぜ表舞台から突然いなくなってしまったのか。
彼女を直接知っている人へのインタビューや、彼女の映像の挟み方も上手です。
ビデオは限られているのですが、写真も上手に使っています。

映画は彼女の踊りの映像もいっぱいあるし、日本でも公開されるといいですね。
予告編、貼っておきます。






 


2024年9月11日水曜日

2025年ヘレスのクルシージョ 内容発表

毎冬恒例ヘレスのフェスティバル、そのクルシージョの内容が発表されました。

©︎Javier Fergo Festival de Jerez



今回、一番大きな変更はクラスの時間。すべてのクラスが20分少なくなりました。よって入門クラスは1時間半、そのほかのクラスは2時間です。


また、クラスのレベルが、これまでの基礎、中級から、中級、上級に名前が変わりました。

講師陣はほぼ同じ、ですね。で受講料は少し値段が上がっています。

時間が減っているのに値段が上がる、ということに抵抗がある方もいらっしゃるかも?

でもすべての値段が上がっている昨今、仕方がないのかもしれません。


あなたの好きな踊り手はいますか?

通常、レギュラークラスを持っていない人が大部分なので、

大好きな踊り手のそばで、そのパソだけでない、その人の雰囲気がデテールを学ぶまたとないチャンスかも。フラメンコのメッカ、ヘレスで、土地の匂いを感じ、美味しいタパやシェリー酒も飲み、毎日フラメンコ公演を観ることもできるというフラメンコ合宿。ぜひ一度は来てみてください。


なお、フェスティバルは21日開幕です。プログラムも発表され次第お伝えしますね。






2025年 第29回ヘレスのフェスティバルのクルシージョ

▽舞踊クルソ

222(土)〜228(金)

930分〜11

[教]〈b〉イレネ・カラスコ

[内容]入門1;ヘレスのブレリア入門

 

930分〜1130

[教]〈b〉ロシオ・コラル

[内容]中級;『バタ・デ・コーラと帽子とのカディスのタンギージョの技術』

[教]〈bピラール・オガージャ

[内容]中級;『アレグリアスの舞踊の技術』

[教]〈b〉メルセデス・ルイス

[内容]上級;『エル・ポロの技術とスタイル』

[教]〈b〉マヌエル・リニャン

[内容]上級;『バタ・デ・コーラとアバニコとのカンティーニャスの技術とスタイル』

[教]〈b〉マリア・デル・マル・モレーノ

[内容]上級;『ロス・プエルトスのシギリージャの舞踊の技術とスタイル』

 

1230分〜14

[教]〈b〉フェルナンド・ヒメネス

[内容]入門2;『ヘレスのブレリア入門』

 

1230分〜1430

[教]〈b〉インマクラーダ・アギラール

[内容]中級;『マルティネーテの舞踊の技術』

[教]〈­b〉ラ・モネータ

[内容]中級;『ティエントスの舞踊の技術』

[教]〈b〉マルコ・フローレス

[内容]上級;『タラントスの舞踊の技術とスタイル』

[教]〈bオルガ・ペリセ

[内容]上級『ソレアの舞踊の技術とスタイル』

[教]〈bラファエラ・カラスコ

[内容]上級;『バンベーラスの技術とスタイル』

 

1530分〜17

[教]〈b〉ソラジャ・クラビホ

[内容]入門2;『トリアーナのタンゴスの入門』

 

1530分〜1730

[教]〈bフアン・アントニオ・テヘロ

[内容]中級;『カンテを知ることによるソレア・ポル・ブレリアの技術』

[教]〈b〉アゲダ・サアベドラ

[内容]中級;『タンゴスの舞踊の技術』

[教]〈b〉ラ・モネータ

[内容]上級;『ブレリアスの舞踊の技術とスタイル』

[教]〈b〉コンチャ・ハレーニョ

[内容]上級;『アバニコのグアヒーラの技術とスタイル』

[教]〈b〉ハビエル・ラトーレ

[内容]上級 ;『アレグリアスの技術とスタイル』

 

32(日)〜8(土)

930分〜11

[教]〈b〉ベアトリス・モラーレス

[内容]入門1;『ヘレスのブレリアス入門』

 

930分〜1130

[教]〈b〉アンドレス・ペーニャ

[内容]中級;『シギリージャの舞踊の技術』

[教]〈b〉マリア・ホセ・フランコ

[内容]中級:『アバニコのカラコーレスの技術』

[教]〈b〉メルセデス・ルイス

[内容]中級;『阿波にこのカンティーニャスの舞踊の技術』

[教]〈b〉アンヘル・ムニョス

[内容]上級;『ブレリアスの舞踊の技術とスタイル』

[教]〈b〉マヌエル・ベタンソス

[内容]上級;『カーニャの舞踊の技術とスタイル』

 

1230分〜14

[教]〈b〉アルムデナ・セラーノ

[内容]入門2:『アレグリアスの舞踊入門』

 

1230分〜1430

[教]〈b〉アンヘル・ムニョス

[内容]中級;『タラントスの舞踊の技術』

[教]〈b〉アリシア・マルケス

[内容]中級;『カーニャの舞踊の技術』

[教]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ

[内容]上級;『アレグリアスの舞踊の技術とスタイル』

[教]〈b〉メルセデス・デ・コルドバ

[内容]上級;『ロマンセの技術とスタイル』

[教]〈b〉ウルスラ・ロペス

[内容]上級;『ソレア・ポル・ブレリアとラ・カーニャの身体技術』

 

1530分〜17

[教]〈b〉カルメン・エレーラ

[内容]入門2;『タンゴスの舞踊入門』

 

1530分〜1730

[教]〈b〉マヌエラ・カルピオ

[内容]中級;『ヘレスのブレリアの技術』

[教]〈b〉イバン・バルガス

[内容]中級;『アルバイシンのファンダンゴスの技術』

[教]〈b〉アントニオ・エル・ピパ

[内容]上級;『ティエントス、タンゴスの技術とスタイル』

[教]〈b〉アナ・モラーレス

[内容]上級;『技術と動きの自覚、バタ・デ・コーラのソレア』

[教]〈b〉ハビエル・ラトーレ

[内容]向上/プロ;『タラントスの舞踊のスタイルと振付』

 

 

集中クラス

32(土)

11時〜1330分、15時〜1730

[教]〈b〉ソラジャ・クラビホ

[内容]『ヘレスのブレリアス』

[教]〈b〉アゲダ・サアベドラ

[内容]『ソレア・ポル・ブレリアス』

[教]〈b〉メルセデス・デ・コルドバ

[内容]『タラントスの舞踊

[教]〈b〉マルコ・フローレス

[内容]『シギリージャの舞踊』

[教]〈b〉マヌエル・リニャン

[内容]中級;『タンゴスの舞踊』

一般クラス共通インフォメーション

▽ レベル

・1イニシアシオン(入門)1初心者。フラメンコの素養がほとんどない初心者 

・2イニシアシオン(入門)2;フラメンコの素養があるもの

・3インテルメディオ中級):受講する曲種についての知識とフラメンコ舞踊の経験をもつ (スペイン国外でのクラスの中級程度)

・4アバンサード級):テクニックと受講する曲種について知識双方において高いレベル、その曲種の技術と振り付けを向上させようとす(スペイン国外でのクラスでの上級程度)

以下のレベルはじゅうぶんなテクニックを持った上級者のみ参加可能。

・5ペルフェクショナミエント・オ・プロフェシオナル(向上 プロ):振付とそのスタイルの表現を深める。このレベルのためには十分な技術レベルが必要。 

※スペインのレベルは国外のレベルよりも高い。レベルについての疑問はフェスティバルに問い合わせること。cursosfestivaldejerez@teatrovillamarta.es

 

▽クラスの所要時間

・イニシアシオン(入門);7日間計10時間30(1日1時間30分)

インテルメディオ(中級)、アバンサード(上級)、ペルフェクショナミエント/プロフェシオなる(向上/プロ);7日間計14時間(1日2時間)

▽定員 25

ハビエル・ラトーレの振り付けクラスのみ20

▽受講料

・イニシアシオン(入門);350ユーロ 

インテルメディオ(中級)、アバンサード(上級)380ユーロ

ペルフェクショナミエント。プロフェシオナル(向上/プロ);390ユーロ

       割引;同じ週に2つ以上の7日間のクラスを受講の場合、同時に申し込めば金額の低い方のクラスが25パーセント引き。同時に申し込んだ場合は自動で行われる。後から申し込む場合は申し込みの前にcursosfestivaldejerez@teatrovillamarta.esまでメールで割引コードを申請のこと。

※ 受講料には7日間のクルシージョ受講期間中のビジャマルタ劇場公演6回の入場券が含まれる。

・ハビエル・ラトーレの振り付けとテクニックのクラスでは最終日に期間中に振り付けたものを公演する。この公演は観客が入って行われるもので、生徒のうち希望者が出演できる。

 

 

申し込み

・申し込みはフェスティバルの公式ウエブ、www.festivaldejerez.esで申込書を送り、支払いを行う。

申し込み受付は916日スペイン時間朝9時に開始。

支払い

・支払いはユーロでクレジットカードまたはBIZUM(スペインの銀行に口座がある人のみ可能)により行われる。

・使用可能カードはVISA, EURO6000(スペインのカード)、MASTER, MAESTROVPAYヨーロッパのVISAデビットカード) JCBUNION PAY銀聯国際16桁の番号と有効期限、セキュリティコードが必要。

 

・支払い後のキャンセル、返金は不可。

 

なおフェスティバルはいかなる代理店とも契約を結んでいないので、直接の申し込み以外のものの責任はフェスティバル事務局にない。

 

 

▽公演チケット

クルシージョ受講期間中のビジャマルタ劇場公演の入場券6枚はは講習料金に含まれる。受講生は劇場入り口で入場証を見せなくてはならない。入場証なしでは入場不可。

 

▽修了証と受講生のサポート

・主催者は何時間のクラスを受講したかを記した修了証を発行する。

・すべてのクラスはスペイン語で行われる。

・ 全てのクラスに歌い手とギタリストをつけられるようにしているが、クラスをどのようにオーガナイズしクラスをすすめるかは講師次第。歌い手、ギタリストの有無はフェスティバル事務局に問い合わせ可能。

 

フェスティバル事務局

festivaldejerez@teatrovillamarta.es

電話 スペイン34 956149685

 

劇場入場券売り場

taquilla@teatrovillamarta.es

電話 スペイン34 956149686

 

クラスの会場は変更されることがある、

アンダルシアフラメンコ資料センターはフェスティバルの協力者であり、修造の映像、録音、書籍などの利用が可能。開館時間は直接問い合わせのこと。

 

[問]https://www.festivaldejerez.es/cursos/

 

2024年9月2日月曜日

セビージャ ギター祭

 9月です。日本は新学期?スペインも王道の8月に各地で夏休みを過ごした人たちが帰ってきたり、夏休みでしまっていたお店が開いたりして、なんとなく街が賑やかです。

もうすぐビエナルですが、ビエナルの後に始まる、セビージャのギター祭のプログラムが発表されました。

元々メインはクラシックですが、フラメンコ公演もあり、今年はメイン会場となるエスパシオ・トゥリナでの公演は、基本がクラシックとフラメンコのジョイントコンサートで、フラメンコだけの公演も2回、とあればフラメンコ好きも見逃せません。

なお、クラシックの公演はここの他にもアルカサル内などでも開催されるので、トータルではクラシック公演の方が多いです。昨年に引き続き、今年も幕開けは10月22日、日本人クラシックギタリストの、横村福音(ねね)さんhttps://www.youtube.com/@neneyokomura5038が飾ります。また、11月16日には山田唯雄(イオ)さんhttps://ioyamada.studio.site/の公演もあります。



◇第15回セビージャ・ギター・フェスティバル

1022(火)〜1117(日)※フラメンコ公演中心 

1031(木)20

[出]『オイ・エス・シエンプレ・トダビア』クラシック〈g〉クアルテト・デ・ギターラ・デ・アンダルシア、『ギターラ・ネグラ』〈g〉ホセ・マヌエル・レオン

111(金)20

[出]クラシック〈g〉トーマス・ウォルシュ、『ライセス』〈g〉ラモン・アマドール

112(土)20時『ミランド・アル・スール』

[出]〈c〉ダビ・ラゴス、〈g〉アルフレド・ラゴス

116(水)20

[出]クラシック〈g〉アルバロ・トスカノ、『ビアへ・イマヒナリオ』〈g〉ヘスス・ゲレロ

117(木)20

[出]クラシック〈g〉フランツ・ハラ―ス、『イネファブレ』〈g〉ホセ・フェルミン・フェルナンデス

118(金)

[出]クラシック〈g〉マルコ・ソシアス、『アシア・ラ・エセンシア』〈g〉ハビエル・パティノ

119(土)20時『テスティモニオス・フラメンコス』

g〉ミゲル・バルガス、〈c〉ラ・カイタ

[場]セビージャ エスパシオ・トゥリナ サラ・シルビオ

[問]https://www.guitartfestivalsevilla.com/