2021年7月16日金曜日

マリア・モレーノ『ベルソ・リブレ』

イタリカ国際舞踊祭、アルカラ・デ・グアダイラの城跡に作られた特設舞台での公演。
先のビエナルで魔法の瞬間賞を受賞したマリア・モレーノ。
その対象が、ソレアを踊っている時だったということから始まった作品。
ワーク・イン・プログレス、進行中とあるので、次回新作の一部なのかな、と思ったのだけどそうではなくて、ソレアを深めてみようと研究してみた、習作という感じなのだという。ここから次の作品に確実に何かが使われるかどうかはまだわからないそう。
ふむ。

ソレアだけだというので飽きちゃわないか、ちょっと心配だったのだけど杞憂でした。

最初はペペ・デ・プーラの歌、フアン・レケーナのギターという、ビエナル公演の時と同じ二人が、ご当地アルカラのソレアを初め、様々なスタイルのソレアを歌い継いでいく。それをマルカールして踊るマリア。

©︎Festival Italica Lolo Vasco

でもレトラでも足入れてくるんだよね。
それが彼女のスタイルなんだろうし、今の人ぽいといえばそうなんだけど、歌を聴かせるつもりじゃないのかな、とかも思っちゃう。古い人間なのかな。
あと衣装。白いガウンみたいな衣装に白いマントン。マントンはあまり重厚な漢字じゃなく、それもあってちょっと安っぽく見えるのと、体のラインや胴体の動きとかが見えにくいのはちょっと残念。
バックが黒で、彼女が白というのは主役を目立たせるためなんだろうけど。

©︎Festival Italica Lolo Vasco
照明は両袖に低く設置されてました。舞台の上の円は塩で。

マリアの語り。「ソレアは生ハムみたいなもの。お腹いっぱいでも食べたくなる」
客席からカルメン・レデスマが声をかける。「いろんなソレアがあるでしょう。ソレアは母」
舞台へ上がったカルメンの語りが続き、それを聴くマリア。
ちょっとマルカールするカルメンの動きの凄さ。
マリアとのそれあについての対話。
©︎Festival Italica Lolo Vasco
©︎Festival Italica Lolo Vasco

下手から現れたトレメンディータはベースでソレアを弾き語り。
かっこいい。
©︎Festival Italica Lolo Vasco

ベースで刻むリズムを、素晴らしい歌唱を、マリアが踊る。
©︎Festival Italica Lolo Vasco

ちょっと気になったのは横向きのせいかもだけど、サパテアードするときにちょっと腰を曲げてやってること。これも最近の流行りなのかな。ヘレスでもこういうふうに上体をちょっと曲げてサパテアードしてる人がいたな。誰だったか今思い出せないのだけど。

©︎Festival Italica Lolo Vasco

フアン・レケーナのギターソロで踊り、結界を崩すかのように円をけり、やがて舞台に横たわる。
©︎Festival Italica Lolo Vasco

舞台の整理(構成、そして舞台の上の動きの整理)はよくできているし、カルメンが持っていたバケツの中からマントンが出てきた李、それが照明になってマリアが手持ちでカルメンを照らしたり、自分を照らしたり、とか面白い工夫もあるし、演出家の手が感じられるのだけど、どれもその技が悪目立ちするわけではないのに好感を持ちました。

さて、ここからどんな作品が生まれてくるのかな。

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