2021年7月2日金曜日

ペーニャ、トーレス・マカレーナの萩原淳子

セビージャの老舗ペーニャ、トーレス・マカレーナで萩原淳子が踊る。
元々昨年3月末にここで踊る予定だったのが、感染拡大で外出禁止になり延期に。
ビエナル後の10月に予定されたのも、またの感染拡大でペーニャが閉まることとなり延期。
そうしてようやく辿り着けた公演。

ワクチン接種が進んだこともあってか、夜間外出禁止も終わり、公演も昔のように、とまではまだかもだけど、だいぶ戻ってきました。
ここのペーニャは毎週複数のイベントがあり、そして舞踊公演も多いというのが特徴。
普通、ペーニャはカンテ中心。ペーニャの舞台は小さいところが多いから、というのもあるんでしょうね、きっと。
フラメンコ好きというと歌が好き、という人が大部分で、踊りやギターはよくわからない、という人もあったりするわけなんですが、ここはとにかく公演数が多いので、観客も歌だけでなく踊りをよくわかっているという感じ。
踊りの決め所で反応するし、いいなあ。こういう観客の前で踊るって幸せだろうなあ。


パコ・イグレシアスのギターソロ、ガジとモイのカンテソロ(タンゴ)に続いて、

マントンのアレグリアス。

楽屋から客席を通って舞台に向かう、その時からすでに舞踊は始まっていて


アレグリアス以外のなにものでもない、観客をも巻き込むような大きな笑顔



いつもながらに安心してみていられるのは、基本がしっかりしているから。
姿勢、技術、リズム感、フラメンコの知識。一朝一夕に学べるものじゃないよね。

贅沢を言うとマントンやバタはもっと大きな舞台で見てみたいなあ。
顔や目を動かさなくとも、そのままで全体の動きがきちんと見えるような劇場の舞台で。





いい笑顔!


でね、最後、ひっこむところ、ブランカ・デル・レイみたいな感じだったのであります。

ブランカといえばコルドバ生まれだけどマドリーのタブラオ、コラル・デ・ラ・モレリアの看板スターだった、マントンの女王。彼女はソレアなんだけどね、マントンと言うことでブランカのイメージが出てきたのかな? ブランカのマントン技をやっているわけでなく、こう言う表情や、手指の形とかがブランカを思い出させたのであります。




いろんなものを見る、と言うことはとても大切。
いろんなものを見ておくと、自分で踊りを組み立ていくときにもイメージを描きやすいと思うのですよ。ここは誰それのパソみたいに、とか、誰々のイントロのイメージで、とか。
その振りをそのまま、ではなく。

スペイン語でレヒストロって言うんだけど、辞書引くと登録、ってある。いろんなものを見ることで、いろんな要素がその人の記憶の奥底に登録、記録されていくわけで、これが多いと、その人のアルテの幅も広がる、って言うことがあると思う。日本語で言うと引き出しが多い、っていう感じかな。

やるのはもちろん、だけど、見るのも大切。

休憩を挟んで2部はカンテソロ、シギリージャから始まって


萩原はバタ・デ・コーラでソレア。

顔がしっかりソレアになってる。うん、表情も大切。

フラメンコってその曲が持つキャラクターを演じるって面があるからね。

振りを踊るのではなく、その曲を踊る。曲のキャラクター、イメージに、自分の中にある思いを寄り添わせて、消化/昇華していく感じ。ギターや歌の表現も一緒じゃないかな。






ペーニャの舞台が低く、客席が近く、頭越しになっちゃって、バタの動きがあまりちゃんと見えなかったのが残念。

やっぱり大きな舞台で踊るところ見たいなあ。


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