2020年8月17日月曜日

ラウル・カンティサーノ『ソナ・アコルドナダ』

ビエナル夏の陣2回目はラウル・カンティサーノ『ソナ・アコルドナダ』
ソナ・コルドナダとは立ち入り禁止のテープで囲まれたゾーンのこと。
このパンデミックで、スペインでは子供の遊び場に感染拡大防止のため立ち入り禁止のテープが貼られていたのですが、それにインスパイアされたのでしょう、ジャンル/ゾーンの垣根やあれはやっちゃいけない、そこには入ってはいけないということについて考えてできたコンサート。ロス・ボルブレのビデオと、ラウルのギター(とサンプラーなど各種機械)での公演。


La Bienal


ラウルは1973年セビージャ生まれ。
ラ・チョニやアンヘレス・ガバルドン、アンドレス・マリンなどの伴奏で私は知ったのだけど、もともと、ジミ・ヘンドリックス大好きのロック少年でもあり、ロックのグループにもいたようだし、実験音楽などもやっていたそう。最近は何かと話題のニーニョ・デ ・エルチェの伴奏などもやっています。

ソロは初めてだし、ちょっと楽しみだったのだけど、いやあ、そうきますか。
面白かった!
イスラエル・ガルバンのギター版とも言える?
フラメンコの基礎はしっかり持ちつつ、昔ながらのフラメンコをなぞるだけなのはよしとせず、いろいろやってみる。
オープニングはトレモロでのグラナイーナなんだけどそれが最後はラスゲアードで爆発する。
かと思うとギターを膝の上に寝かせておいて、いくつかのバネがついたものをギターに取り付けギターを琴のようにつまびく。バネはパーカッションのような音を出す。かと思うとお箸でギターの弦を叩く。その情景をビデオで上から横から映し出す。
弦楽器で打楽器なフラメンコ ギターならでは?
鉱山を映し出すビデオでのタランタはサンプラーを効果的に使う。
かと思うと、「ビエナルで一番重要なのはフラメンコ」と言いつつ、ラモン・モントージャのロンデーニャを普通に演奏。
ファルキートやファルーカ、カナーレス、ジェルバブエナなどのSNSでのビデオを繋いだナン・ジュン・パイクに捧げる曲。
ギターなしでもギタリスト?というタイトルで、コンパスをバックにギターなしでギターの弾きまねなどするうちに座ったまま踊っているというもの。
サビーカスのビデオでサビーカスのモチーフを
ソレノイデというギターを叩いて音を出す彼の創作した機械をギターに取り付けての演奏。
プーロ・イ・アウテンティコ、純粋正統という曲では、正統派の巨匠マイレーナやエレキギターでラスゲアードしちゃうライムンド・アマドールなどの姿がビデオにうつされて、何が正統?何が純粋?と問いかけてくる。
最後は侵入禁止のテープを舞台上に張り巡らし、自分にもグルグル巻きにして終わる。

玩具箱のように、びっくり箱のように次々とでてくる趣向に笑い、感心し、唸らさせられました。いやあ、面白かったです。

普通のフラメンコを期待して聴きにきたとしたらびっくりするかもだけど、うん、こういうのもあり。

結局ね、フラメンコへの愛と敬意があるんだよね、そこでいろいろ試してみる。遊んでみる。いいじゃん?

純粋正統を突き詰めていこうというのも、新しい地平を開こうとするのも、どちらもいいよね、って思います。
















 

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