2023年12月1日金曜日

第12回 CAFフラメンコ・コンクール


11月30日、東京、北千住のシアター1010においてスペイン舞踊振興MARWA財団が主催する、第12回CAFフラメンコ・コンクール本選が行われました。14日の二時予選、そして30日の本選と、審査員を務めさせていただきました。マルワのコンクールの審査をするのは初めてでしたが、改めて、日本のフラメンコの力を実感する経験でした。

入賞者の方々、おめでとうございます。
でも入賞しなかった方も、それはその日、その時のパフォーマンスをその時の審査員がどう評価したか、という結果でしかなくて、最終審判が下されたわけではありません。受賞者が賞を励みとして一層の学びを重ね、より素晴らしい踊り手になっていくのか、残念ながら今回は賞を逃してしまった人でも、これを機に発奮して学びを重ね、受賞者を超える踊り手になるのか、未来は誰にもわかりません。でも、受賞者も、受賞しなかった人も、一次予選を通過できなかった人も、コンクールという目標に向かって、練習に励み、いろいろ考えたりしたことは、絶対プラスになっているはずです。コンクールの一番の意義はそこにあると、私は思います。受賞したという一文を自分の経歴に書くことで実力を保証される、ということもあるかもしれません。でも実際問題、コンクールに優勝しただけで一夜にしてスターになれる、というものではありません。それはスペインでも同じで、有名なラ・ウニオンやコルドバのコンクールで優勝したからといっても直ちに仕事が殺到するというわけではありません。コンクールの経験をその後のキャリアに、人生にどう活かすかは本人次第です。

今回のコンクールは非常にレベルが高く、誰が受賞してもおかしくないものだったと思います。フラメンコへの知識、技術、表現力など、どれをとっても一人突出した人がいるというわけではなく、皆、一定のレベルをクリアしていらっしゃる。なので、入賞するかどうかの命運を分けたのは、小さな要素の積み重ねだと思います。例えば衣装や小物、アクセサリーの選び方、髪型、曲に踊りに合わせた衣装/小物選びができているかどうか、サポートしてくれるミュージシャンたちをどう選ぶか。また、舞台への出入り(舞台の上を歩くのは街中を歩くのとは違います。また舞台袖から見切れないようにする、袖に入って客席から見えなくなるまでは気を抜かない、なども重要)、姿勢、表情、目線をどこに持っていくかなど、小さなことですが、どれも重要だと思います。
審査員が評価するのは踊りですが、その踊りは、サポートするミュージシャンによってより良くなる可能性も、反対に足を引っ張られてしまう可能性もあるというのも事実です。また、どの曲を二次予選で踊りどの曲を本選で踊るのか、というのもありますね。二次予選の方が本選よりずっと良かった人もいらっしゃったりすると、もし選曲が逆だったら、と思ってしまうこともあると思います。

兎にも角にも、大きな舞台で踊り、たくさんの人に見てもらう機会、いろんな意見を聞ける機会、そして入賞すれば留学をサポートしてもらえるというのは大変幸運なことだと思います。そういった機会を若い世代に与えてくれる、スペイン舞踊振興MARWA財団には感謝しかありません。参加者の皆さんは、与えられた機会を生かし、将来は素晴らしい舞台を作って皆を楽しませてくださいますように。




 

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