2023年12月2日土曜日

ロシオ・モリーナen ガルロチ

信じられないようなことが起きるんですよね、日本では。

ロシオが日本に行く、ガルロチに行くと聞いた時もちょっと信じられなかったけれど、12月1日、前日来日したばかりのロシオが仲間たちと見せてくれた舞台も、信じられないほどすごいものだった。 

伝統的な、というか、オーソドックスなフラメンコしか見ていない人はびっくりしてしまうかもしれない。え、これもフラメンコなの?と思うかもしれない。私にとってはあらゆる意味でムイ・フラメンコだったけど、そう感じない人もいるかもしれない。でもそれでいいんだと思う。感じ方も考え方も人それぞれ。

アンダルシア風のジャケットに黒いスカートという、アマソナと呼ばれる女性の乗馬服風衣装で登場。クリアで完璧な靴音を聴かせる。手が体とは別の、意識を持った他の生き物のように動く。シギリージャやファンダンゴなどフラメンコの森を彷徨ったかと思うと、伝統的なスタンダードなフラメンコを解体して再構築したような、フラメンコの決まりの中にある音/拍を飲み込んでしまったような、不思議なフラメンコを作り上げる。  その中に飛びこむオルーコのストレートなフラメンコ。いい感じに年をとり、重厚さと深みが加わっていて素晴らしい。そして雫が落ちる、ぽたんぽたんという感じに聞こえるギターの音から始まったロシオのソレア。歌はない。でも歌が聴こえる。体の?心の?奥底に溜まったものを掻き回して引きずり出してくるような、そんな感じ。涙が溢れるのは何故だろう。ロシオの中に息づいているたくさんの先人たちや感情に導かれているような。

お辞儀をしておしまい、と思いきや、始まったフィン・デ・フィエスタではぺぺが熱唱し、ジェライが踊り、ロシオがオルーコを引っ張り出す。




偉大な人ほど普通。と言ったのは誰だったろう。偉大な人はコンプレックスもないから自分を大きく見せたりする必要がないので、威張らない。偉ぶらないので普段は普通の人っぽい。昨日の公演後、楽屋に走って行って感動と感謝を伝えたのだが、彼女も他の女友達と同じように、ナチュラルで可愛い笑顔で答えてくれた。舞台に上がった彼女は宇宙人のようだけど、楽屋に向かう道で地球人に戻るのかもしれない。


翌日の公演はまた全く違ったものだったらしい。だろうなあ。彼女の懐はとてつもなく深くてメリーポピンズのカバンか、ドラえもんのポケットみたいに底なしで、いろんなものが出てくるはず。一度見てください。見たらまた行きたくなるはず。行ける人はぜひどうぞ。

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